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コムスン問題でシンポジウムを開催

写真 全労連ヘルパーネットは7月3日、「コムスン問題―問われる介護保険制度 緊急シンポジウム」を東京・社会文化会館で開き70人が参加した。福祉保育労、自治労連、日本医労連の共催。全労連の小田川義和事務局長が主催者あいさつ。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員、社会民主党の保坂展人衆院議員が政党あいさつを行った。

 はじめに、東京介護労の清沢聖子書記長が「コムスン介護労働者・緊急ホットラインに寄せられた現場の実態」について特別報告。労働相談の内容は、雇用不安の相談が最も多かったこと、長時間労働やガソリン代不払いなどさまざまな問題についての相談もあったこと、「利用者へどう説明したらよいか」、「ヘルパーと利用者を一緒に引き取ってくれる事業所はないか」など利用者のことを真剣に考え誠実に働くヘルパーからの相談があったことなどが報告された。清沢氏は「自治体の予算編成はこれから。今、コムスン対策のために国が予算をつけますと言えばやれる。早急に対応すべき」と強調した。

 シンポジウムでは、3人のシンポジストが発言。シルバー新報・編集長の川名佐貴子氏は「規制緩和にはメリットがあると考える。非営利でもひどいところがある。広告でいい企業と思わせているところが多く、利用者はイメージで選択するとあぶない。日本の介護は、個々のボランタリー精神で成り立っている面があり、利用者にとっていいというだけでなく、働く人にとってどうかという視点が重要」と指摘した。特別擁護老人ホーム緑陽苑・施設長の岸田隆史氏は「介護が商品になり、買えない人は相手じゃない、利用者ではなく商品の購入者にしてしまった。出発点に戻り議論すべき。公的責任を再確認し、憲法と老人福祉法を思い出してほしい」と述べた。福祉保育労全国高齢者種別協議会・事務局長の細谷英正氏は「厚労省は、利用者に不利益を生じさせないことや2万人以上にも及ぶ労働者の雇用を守り、監督官庁としての公的責任を果たすよう強く求めるアピールを出した。無秩序な市場化によるモラルの低下、『儲かればなんでもいい』『不要なサービスでも収益があがればよい』といった現状がある」と、指摘した。コーディネーターの明治学院大学副学長の河合克義氏は、高齢化率が多い山口県の旧東和町が実施してきた365日毎日行っていた高齢者給食を、合併後もいい制度なのでと合併後の町でも実施している例を述べ、「介護保険とその対象外とするものとを考え、地域の現状と特殊性を考えて高齢者の生活をどう守るか、高齢者問題を総合的に考えることが重要。また、都市部と過疎・離島などの違いも見て、社会保障・社会福祉のあり方を考えなければならない」と問題提起した。

 まとめ・閉会あいさつで福祉保育労の桑本文幸副委員長は「介護サービスへの企業参入のあり方、介護保険はこのままでいいのか、高齢者福祉とセットでとらえなおすことが必要ではないかなどの問題が提起されたと思う。介護は公共サービス。営利・非営利に関わらずどこがやろうが品質保証を確保することが大事。これらの問題について引き続き議論していこう」とまとめた。

 
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