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パート・臨時労組連絡会 第7回総会/貧困と格差を解消し、ディーセント・ワークを実現しよう/2007年度運動提起(案)/2007年10月14日(日):全労連会館

はじめに

 7月の参議院選挙での与野党逆転、そして内閣改造、所信表明演説まで終えた安倍首相の突然の辞任、そして福田内閣の誕生と情勢がめまぐるしく展開しています。この間の大変動は小泉構造改革により生まれた社会のひずみ、貧困と格差の拡大に対する国民の怒りが爆発し、引き起こしたものです。
 崖っぷち内閣といわれる福田内閣は、自・公政権の延命策で国民の怒りを静めるべく、障害者自立支援法や後期高齢者医療制度などの悪法を一部修正したり、実施を凍結するなどの手直しに着手しつつありますが、「小泉構造改革路線に間違いはなかった」という基本姿勢は崩していません。
 参院での与野党逆転は、私たちの運動に大きな契機を与えるものです。来春には衆議院選挙が行なわれるとも言われています。
 今、私たちに求められているのはどう攻勢的な運動を作り、政治を動かすかということです。

パート・臨時、派遣など労働者をとりまく情勢

1.「構造改革」のひずみと矛盾が参議院選挙で与野党逆転に
 財界の21世紀戦略・雇用の流動化政策によって非正規労働者が増大させられ、貧困と格差が拡大、働く貧困層「ワーキング・プア」や、ネットカフェ難民、スポット派遣などが社会問題となっています。いまや非正規雇用で働く労働者は全労働者の三分の一をしめ、とくに女性、青年層では5割を超えています。
 私たちの取り組んだ第2回パート・臨時・派遣などではたらくみんなの実態アンケートでは非正規労働者の収入が家計維持の中心となっていることが明らかになり、夫婦ともに非正規雇用世帯やダブルワークをしている仲間の増大など私たちの仲間や周辺の労働者の貧困化が見て取れる結果となっています。
 また、2003年の労働者派遣の製造業解禁を契機に、名だたる大企業での偽装請負がつぎつぎと摘発され、その劣悪な労働条件や違法な働かせ方が明るみに出ました。
 このような労働の劣悪化は、大企業が世界の競争に勝ち抜くとして、徹底的に人件費コストを削減し、雇用のジャスト・イン・タイム化を進めてきた結果もたらされました。
 また、小泉以後の安倍政権も構造改革路線を引き継ぎ、自助自立をうたい文句に、増税、社会保障費削減で高齢者、障害者、母子家庭などの社会的弱者に耐え難い負担を強いています。その一方で、大企業や大金持ちには大減税を実行するなど、まさに弱者切捨て政治を進めてきました。
 このような貧困と格差を拡大させてきた政治への国民の怒りは大きく、7月に行われた参議院銀選挙では自民・公明の与党が歴史的大敗で、与野党逆転という厳しい審判が下りました。この結果は構造改革路線によってもたらされた社会のひずみへの国民の怒りが反映したものであり、以後の国政運営では国民の声を無視できないことを自・公政権に知らしめることになりました。安倍首相は政権を放棄し、後継の福田首相も構造改革路線で生じた傷の修復に取り掛からざるを得ません。
 民主党は最低賃金法、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、母子児童手当削減などの凍結や修正案と新法労働契約法案を臨時国会に提出し、新テロ特措法に断固反対の姿勢を示していますが、一方で、小沢代表が政権を取ればとして、アフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)への参加を示すなど、危険な体質も現しています。民主党を参議院で最大野党におしあげた民意が踏みにじられることがないよう、監視と要求運動を強めることが重要です。

2.狙われる「労働ビッグバン」・・・正規も非正規も強いられる劣悪な労働
 2006年から厚生労働省で「労働時間法制の見直し」が議論されてきました。財界はホワイトカラーを労働時間法制の適用除外とするホワイトカラー・イグゼンプションの導入を執拗に求め、年末ぎりぎりまで激しい労使の攻防が行われました。しかし、労働総研が試算した「イグゼンプションの導入で残業代14兆円失われる」ことをマスコミが取り上げたことから、「残業代ゼロ法案」反対の世論が大きく動き、反対の声が広がりました。そしてついに参議院選挙への影響を懸念した安倍首相は通常国会への上程を断念しました。
 しかし、財界はホワイトカラー・イグゼンプションの導入を完全にあきらめたわけではありません。経済財政諮問会議や規制改革会議から労働者保護の全面廃止や労働法制の大改悪(労働ビッグバン)が検討されています。日本経団連は参議院選挙の結果を「構造改革路線が否定されたわけではない」としています。財界の狙いを許さないためにも、私たちは常に世論を味方につける運動の継続こそが重要です。
 2007年通常国会では「改正」パートタイム労働法が成立しました。パート法が制定されて以来はじめての法律本体の改定です。しかし、パートタイマーの差別的取扱い禁止対象者を、正規と職務が同一で、正規並みの転勤や配転なども可能で、期限の定めのない雇用契約(繰り返し更新を含む)の者に限定したため、対象者がほとんど存在しないという、パート労働者全体の均等待遇実現には程遠い、実効性のないものとなってしまいました。
 また、通常国会には最低賃金法改正、労働基準法改正、労働契約法新設も上程されましたが、審議未了で継続審議となりました。
 最低賃金法改正法案は、格差拡大への社会的批判が広がる下で、現行法の見直しがされたものです。地域別最低賃金と生活保護費の逆転現象を是正するとし、「生活保護との整合性を考慮する」旨の条項が盛り込まれました。私たちの運動による成果ですが、一方で生活保護費を切り下げて、整合性を図ろうとする動きがあり注意が必要です。
 労働基準法の改正は残業代の割増率を月45時間から80時間以下では25%を超えるものとすることを努力義務として求め、80時間を超えた場合は割増率50%以上を義務化するとしています。月80時間の残業は厚生労働省の基準で「過労死ライン」と言われています。これでは過労死ラインまで仕事をさせていいと言うようなもので、国際的な基準である「法定労働時間を超えると割増率50%」から、大きく立ち遅れています。
 新しく制定される「労働契約法」は「就業規則の変更による労働条件の不利益変更ルール」が盛り込まれています。就業規則は使用者が一方的に決めることができるため、使用者に改悪のフリーハンドを与えることになりかねない問題の多い法案です。
 福田新内閣のもと、今臨時国会での取り組みが重要となっています。
 また、来年の通常国会提出を予定して労働者派遣法の改悪が検討開始されています。財界の要求は派遣禁止業務(港湾・建設・警備・医療)の全面解禁、事前面接の解禁、派遣期間満了後の雇用契約申し入れ義務の撤廃など、派遣の全面自由化とも言えるものです。

4.憲法改悪、戦争する国への動き
 自らが首相のうちに憲法を変えるとしていた安倍首相が退陣しました。憲法改悪を最優先課題とする安倍政権と、貧困と格差問題、年金や増税などの問題を何とかして欲しいという国民の要求との大きな意識のずれが参議院選挙で自民党を大敗させ、安倍首相を退陣においこんだのです。世論こそが政治を動かすという事実の前に、福田新政権は一定の政策の修正を余儀なくされています。しかし、自民党は3年後の改憲発議・国民投票実施の基本方針は変えていません。また国際貢献の名の下にアメリカのアフガニスタンへの報復戦争を支援するため自衛隊をインド洋に派遣しているテロ特措法についても、新法による継続を狙うなど、アメリカべったりの姿勢は変りません。
 沖縄の集団自決に日本軍が関与した事実を削除させようとする教科書検定に沖縄県民の怒りがひとつになって燃え上がっています。戦争の風化と美化を許さないという沖縄県民の想いは、沖縄だけにとどまらず全国民の想いとして広げることが大切です。

この1年の運動の経過と総括

(1)実効あるパート法改正を求める運動
 2006年9月から厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会でパートタイム労働法の改正議論が行なわれ、2007年の通常国会で「改正」パート法が上程、5月25日に全野党反対、与党のみで可決・成立しました。2003年の改正議論は法律本体にはさわらず、指針のみの改定でしたが、今回はパート法制定以来はじめての法律本体の改定となりました。
 改正内容は指針に定められてあった「人材活用の仕組みの違いによる均衡処遇」を一部、法律に格上げしました。それは「人材活用も含めて正規並みの働き方」をするパートのみ「差別的取り扱い禁止」と定めたことです。(詳細はパンフレット)しかし、現実には対象となるパート労働者はほとんどいない(1〜5%程度)のではないかと、国会でも紛糾しました。
 法律に「差別的取り扱い禁止」が明記されたことは、一歩前進といえますが、逆に人材活用の仕組みを理由にパート差別を合法化する危険をもっています。また、現在の正規労働者を短時間労働者化し、この「差別的取り扱い禁止」対象部分に落とし込んでいくことも懸念されます。
 しかし、国際的にも遅れている日本のパート労働者の処遇改善に政府も乗り出さざるを得なくなっていることは確かで、この「改正」パート法をあしがかりに、現場での均等待遇実現運動をいっそう促進させることが重要です。
 連絡会は学習テキストの作成、学習会の開催、審議会へ意見はがき運動、署名(17万筆達成)国会請願行動、議会傍聴行動、参考人意見陳述などを取り組みました。(資料参照)
 事務局から審議会や国会の進行状況をニュースで逐次発行、情勢が良く分かると評判でした。

(2)「均等待遇」、パートの労働条件改善もとめる運動
 全労連、春闘共闘委員会は07春闘で非正規労働者の賃金引上げ、均等待遇実現を重要課題として位置づけました。パート賃上げの結果は、賃上げ獲得数335組合、単純平均17.8円で連合を上回る前進を勝ち取っています。(春闘共闘6/26現在・資料参照)
 また、諸労働条件での均等待遇で前進した組合も44組合。生協では慶弔休暇や祝い金などの福利厚生で、また全印総連や出版労連では夏季一時金、全医労では世帯主パートに扶養手当を支給させるなど、前進を勝ち取っています。企業内最低賃金協定では227組合(春闘共闘集計6/26現在)が協定し、内85組合が時間給1000円以上を勝ち取りました。
 日常的な職場点検活動を繰り返し、職場内での正規と非正規の対話を通じた合意形成、粘りづよい要求闘争を引き続き取り組むことが重要です。

(3)格差社会の是正もとめ青年・女性・パートの共同行動
07春闘では格差社会の是正を求める「3・6青年・女性・パートの共同行動」を取り組みました。当日、パート連絡会は早朝宣伝、経営者団体要請、全国会議員要請行動、厚生労働省前集会、日比谷野外音楽堂全体集会、銀座パレード、日本経団連前集会に全国から800名が集結、意気高く終日行動を展開しました。全体集会には2000名が参加、青年、女性、パートなどがそれぞれの要求パフォーマンスを行い会場を沸かせました。パレードはコンテストが行なわれたこともあり、例年よりにぎやかで華やかなコスチュームや横断幕、プラカードがあふれ、アピール度満点でした。
この三者共同を地方に広げることが大切です。

(4)最低賃金闘争
 各地方パート連絡会の多くは地方での最低賃金闘争を運動の軸にすえて、地方労連とともに奮闘して来ました。
 今年は格差解消のために最低賃金の大幅引き上げが必要だという世論が大きくなり通常国会での最低賃金法審議のなかでも、柳澤厚生労働大臣(当時)は大幅引き上げを明言しました。全労連は時間給1000円要求実現のため、署名、国会議員要請を行い、中央最低賃金審議会傍聴、厚生労働省前行動を繰り返しました。私たちが監視するなかで、出された中央最低審議会の答申は7円〜19円となりました。中央最低賃金審議会答申を受けて行なわれた各地の最低賃金審議会は9月下旬ごろには最賃額を決定しました。今年の最賃額は全国平均14円となりました。しかし、中賃目安がランクによる格差をつけたことで、地方によって7円〜20円の引き上げ幅があり、地域間格差をさらに広げるものとなっています。
 今年の最低賃金改定はここ数年の低額引き上げからは前進したものとなりました。私たちの掲げる「どこでもだれでも1000円以上」の要求へのあしがかりとして評価できます。長年のねばりづよい運動の成果として、誇れるものです。14円アップの成果を組合員みんなの成果とすることが大切です。しかし、この金額ではフルタイムで年間2000時間働いても、東京で148万円、秋田や沖縄では124万円にしかなりません。これでは格差を解消し、ワーキング・プアをなくすことはできません。
 各地のパート連絡会は地方労連とともに最低賃金体験やハンガーストライキ、集会、要請行動などを取り組み、最賃引き上げに奮闘しました。また、15地方では地方最低賃金審議委員にパートの仲間が立候補し、運動の先頭に立っています。
 最低賃金闘争は「均等待遇」実現の運動と切り離せない関係にあります。パート・臨時労働者の運動の要として位置づけ、未組織労働者にも興味を持ってもらえるような運動の工夫をはかりましょう。

(5)パート連絡会結成と地方での運動推進
 今年度は静岡で06年11月に連絡会が結成されました。これで全国23箇所に連絡会、準備会が誕生しています。2000年11月に全労連パート・臨時労組連絡会を発足させて7年、まだ連絡会が全県の半分に至らない原因を検討することが必要です。
 また、すでに発足した地方でも、運動がかろうじて定例の宣伝と集会で精一杯、会議に人が集まらない、運動の行き詰まりを感じているなどの悩みや問題を抱えているところも多くあります。
 パート連絡会の運動の発展は非正規労働者の組織拡大と表裏の関係にあります。常に非正規で働く新しい仲間たちをどう組合に迎えるか、地方労連、単産と一体となり、方針をたて、行動をすることが重要です。

(6)第15回パート・臨時、派遣などではたらくなかまの全国交流集会
 2007年5月25日〜26日にかけて神戸で全国交流集会を開催しました。
 一日目全体会401名、2日目7分科会328名延べ729名、実人員でも481名と過去最高の参加者数となりました。参加者の特徴は地元兵庫と近畿ブロックからの参加が多く、単産の特徴としては地元兵庫に単組がないために例年に比べ生協労連の参加者は減ったものの、自治労連の参加者が倍増しました。郵産労、国公労連は参加者を10人以上増やしました。また、26、27日と連続して地元神戸新聞に取り上げられたことで、パレードや事前の街頭宣伝などで配布したチラシを手にした個人での参加も10余名にのぼりました。
 パネルでスカッション「格差是正と均等待遇実現へのアプローチ」〜深刻化する格差と貧困、この時代に生きる私たちが取り組むべき課題と、運動に求められるものとは〜にはパネラーとして、中田進氏(勤労協講師)、北野紀子氏(兵庫自治労連組織拡大専任者)、橋本のり子氏(パート連絡会事務局次長・生協労連)、河添誠氏(首都圏青年ユニオン書記長)が意見を交わしました。参加者の感想では「組合の重要性を再認識した」「政治革新、憲法を守ることの重要性を認識した」の感想が多く寄せられ、参加者の心が一体となる盛り上がった集会となりました。
 今集会では全労連に入っていない地元の生協労組が参加したり、福祉保育労がパート部会を発足させたり、地元の初参加者が多かったなど、運動の明るい未来を展望させるエピソードがたくさん生まれました。
 これからもみんなが元気になり、一歩を踏み出せる集会となるよう工夫を重ねることが大切です。

(7)第2回パート・臨時ではたらくなかまの実態アンケート
 2001年に実施した「パート・臨時ではたらくなかまの実態アンケート」を5年ぶりに実施しました。2001年調査では組合加入者6369名分、未加入者7963名分、合計14.855名分を回収・分析しました。今回調査は2006年9月から10月に実施、2007年1月末で7628名分を中間集計しました。その後、2月末で締め切り、組合加入者5008名、未加入者5760名、(回答なし278名)合計11,046名分を回収集計しました。(単産・地方毎の回収数:資料参照) 回収合計数は前回調査を下回っていますが、回収単産、地方組織数は前回を大きく上回っています。また、男性非正規労働者からの回収が前回の倍となりました。
 第1回アンケートに引き続き、今回の第2回アンケートも組合未加入者からの回収を仲間のみなさんの奮闘で行なうことができました。今後、回収結果を運動に生かせるよう、取り組みをすすめます。

(8)ヒルトン、中野保育園、国立病院など非正規労働者の雇用を守るたたかい
 ヒルトンの非正規労働者雇い止め争議は、最高裁での敗訴後(2005年5月16日)も会社への行動を継続し、最終的に2007年1月9日、7年7ヶ月ぶりに和解解決を勝ち取りました。ヒルトン争議は賃金切り下げ提案に対して、労組として争う権利を留保し、賃金切り下げを認めたものの、労働者を雇い止めにしたもので、東京地裁では労働者勝利、東京高裁で逆転敗訴、最高裁で控訴棄却となりました。一方で、労働法制の改悪のうごきのなかで、「変更解約告知」「労働契約法」などが検討されている時期と並行しており、裁判結果は労働者に厳しいものでした。しかし、仲間たちは屈することなく、支援を広げ、ヒルトンに解決を迫り続け、和解勝利を勝ち取ったものです。
 また、東京都中野区の民間委託によって解雇された非常勤保育士28名は自治労連公務公共一般に結集し奮闘しています。06年6月の東京地裁判決は解雇無効・地位確認の請求については、「公法上の任用行為である」としましたが、解雇が無法なやり方で行われたことを厳しく批判し、損害賠償を命じました。長年、幾多の裁判でも打ち破れなかった「任用」壁の一角が崩されたことは運動の大きな成果であり、公務非常勤労働者の雇用と権利を守る上で画期的なことです。現在、東京高裁での争いとなっています。
 国立病院・療養所が2004年4月に独立行政法人国立病院機構に移行した際、職員の賃金・労働条件が一方的に不利益に変更されたこと、および雇止めされたことに対して是正を求めて全医労組合員28人は裁判を起こしたたかっています。東京地裁は06年12月27日、独立行政法人移行にあたって定員職員の雇用継続は法律や国会答弁で示されているが、賃金・労働条件の継承は約束されていないことや、就業規則の労使協議は行われてきたなどと国側の主張をそのまま認めた極めて不当な判決を行いました。仲間たちは判決に抗議し、現在、東京高裁に控訴したたかっています。
 ひきつづき、仲間たちのたたかいへの支援強化が必要です。
 「官から民へ」と公務・自治体の構造改革が強力に推し進められるもとで、多数の非常勤職員が雇い止め解雇の攻撃にさらされています。また、非常勤職員を派遣・請負に切り替える攻撃も相次いでおり、仲間たちは労働組合に結集し、雇用と権利を守る闘いに奮闘しています。

2007年度の運動課題と取り組みの方針

 ILO(国際労働機関)は今日の最重要目標としてディーセント・ワーク(人間らしい仕事)の実現を掲げて活動をしています。
 ILOはディーセント・ワークの実現には以下の六つが重要だとしています。
① 公正なグローバル化(現在のグローバル化モデルは充分な仕事を生み出していない。とくに若い男女により多くのディーセント・ワークを提供するものに作り変えなければならない)
② 貧困削減 (仕事は貧困脱却への道である)
③ 保障(仕事のあるコミニティは平和に暮らせるところである)
④ 社会的統合(雇用におけるあらゆる種類の差別の克服)
⑤ 尊厳(人間の尊厳と家族の幸福の源となる、仕事に対する対価)
⑥ 多様性(それぞれの国に特有の必要性に応じた政策)

構造改革路線は貧困の深刻化と格差の拡大を生み出しました。私たちは最低賃金闘争や「均等待遇」実現の運動をとおして、ディーセント・ワークの実現をめざします。

1.日本を「戦争する国」にしない運動

(1) 日本を戦争をする国にしないため、改憲発議、国民投票実施をさせない世論作りを職場・地域から広げていきましょう。
(2) 憲法署名(全労連目標500万)をまわりのパート・臨時労働者にもよびかけ取り組みましょう。

2.最低賃金闘争にパート・臨時労働者の力を集中しよう

(1) 「最賃1000円実現を求める署名」(仮称)・・・全労連が08春闘期に取り組む署名を20万筆を目標に「働くルール第2次署名」とあわせて取り組みましょう。
(2) 「最低賃金法」の実効ある改正をめざす取り組み・・・全労連、労働法制中央連絡会が取り組む第168臨時国会での国会行動に結集しましょう。
(3) 署名の取り組みのなかで、「全国一律最賃金制度」の学習を取り組みましょう。
(4) 中央と地方の最低賃金審議会委員にパート・臨時労働者の代表を擁立し、その任命をめざしましょう。
(5)「最賃・公契約・均等待遇」の自治体要請・地方議会採択運動を推進しましょう

① 自治体関連ではたらく臨時・非常勤の仲間の賃金実態調査活動や公契約運動を地方労連とともに取り組み、賃金引上げに取り組みましょう。
② パートの仲間が先頭に立ち「最賃」・「均等待遇」「公契約」の地方議会採択運動に取り組みましょう。

3.均等待遇実現を求める運動

 パンフレット「すべての働く人のディーセント・ワークめざして〜改正パート法を活用しよう」を使って、職場学習運動を広げましょう。

(1) 「改正」パート法の08年4月施行に当たって、「均等待遇」チェック運動を行い、法律や指針が職場で実施されるようにしましょう。
法律違反が是正されなければ、都道府県労働局に是正を申告するなど積極的にパート法が生かさせるような取り組みを行ないましょう。
(2) パートタイム労働法の3年後見直しに向けて、「改正」パート法の効果を検証する「職場点検活動」を2008年6月に実施します。検証結果をもって08年秋、厚生労働省要請行動・交渉に取り組みましょう。
(3) ILO175号条約の批准など国際基準の実現、パート法を職場で実施させ、法律違反を厳しく取り締まるための都道府県労働局の体制強化を政府に求めましょう。 

4. これ以上の国民負担は許さない運動

(1) 低所得層に一層の負担を強いる「消費税」増税に反対し、署名活動などを取り組みましょう。
(2) 「パート労働者への社会保険の適用拡大」実現、課税最低限度額の引き上げ(180万)に取り組みましょう。 

5.労働ビッグバン、労働法制の改悪に反対し、働くルールの確立めざす

(1)「労働ビッグバン」を許さないたたかい
① リストラを促進させる「労働契約法」に反対し、ホワイトカラー・イグゼンプションの再浮上を許さないため全労連、労働法制改悪反対中央連絡会に結集し、運動をすすめましょう。
「労働ビッグバン」(仮称)学習・キャンペーン運動に取り組もう・・・学習用テキスト
② 08春闘から取り組まれる「働くルール第2次署名」に取り組みましょう。

(2)有期労働契約を制限させ、「期間の定めのない雇用契約」への転換運動を
① 「雇用は原則、期間の定めのない雇用に」「有期労働契約は限定的なもののみ」という有期労働契約の規制をする法整備を求めるキャンペーン運動を広げましょう。
② 均等待遇実現運動と結合させた職場討議、学習運動を広げましょう。
③ 職場での有期労働契約を「期間の定めのない雇用契約」に転換させる要求運動をすすめよう。

(3)労働者派遣法の改悪阻止・抜本的改正の運動を広げよう
① 派遣法違反がまかり通っている現状や、派遣が不安定で劣悪な雇用を増大させている現実を厳しく告発し、規制緩和より、規制強化を求める運動を広げ、改悪法案を国会に上程させない運動を取り組みましょう。
② 派遣労働や労働者派遣法について学び、職場に存在する派遣労働者との対話運動などを通じて、組合への参加を呼びかけましょう。
③ 全労連が呼びかける「登録型派遣の禁止」など労働者派遣法の抜本的改正運動に参加しましょう。

6.パート・臨時労働者の08春闘

(1) 青年・女性・パートの共同で「貧困と格差解消」を要求に掲げ、中央行動を08春闘時に取り組みましょう。
(2) 春闘で要求を提出し、時給1000円以上、企業内最低賃金協定、賃金・労働条件での均等待遇を実現しましょう。
(3) 職場で組合にはいっていないすべての非正規労働者も含めた賃金引上げ、労働条件改善を取り組みましょう。

7.要求実現の力をつける〜仲間を増やそう、パート連絡会をつくろう

(1)定期宣伝行動、学習会、交流集会、労働相談会など地方労連とも協力し合い、職場・地域で目に見える行動を行ないましょう。
(2)「パート・臨時ではたらくみんなの実態アンケート」の活用をしましょう。
アンケート結果ダイジェスト版をアンケート協力者に返し、組織化につなげる対話運動を取り組みましょう。
(3)各地にパート・臨時労組連絡会をつくりましょう。
 準備会結成の地方は5月パート集会までの正式結成をめざしましよう。次回総会までに九州、四国を含む30地方での連絡会(準備会)結成をはかりましょう。
 各地方パート連絡会の運動強化・組織拡大を図るため、実態調査と地方労連を含めた対策会議の開催をすすめましょう。
(4)第16回パート・臨時、派遣などではたらくなかまの全国集会を成功させよう

 08年5月24日(土)〜25日(日)に宮城県仙台市で開催する第16回パート・臨時で働くなかまの全国交流集会を成功させましょう。 

8.中野区立保育園、全医労賃金職員裁判、国立情報研究所非常勤裁判、など非正規雇用労働者の権利と雇用を守るたたかいの支援を強化しよう。

以上

 
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