派遣法の抜本改正を! 改正最賃法を実効あるものに!
08春闘山場、集中回答日の3月12日
厚生労働省交渉を実施
全労連は、08春闘の山場、集中回答日の3月12日に厚生労働省に厚生労働行政の基本に関わる要求書を提出し交渉を行った。特に、日雇い派遣労働者の低賃金・労働条件が問題になっており、議員立法で派遣法改正案が提出されようとしているもと、派遣法改正にむけた対応を加速させることや、改正最賃法にある「生活保護との整合性」について、審議会まかせにせず、イニシアチブを発揮して具体的に提案していくよう求めた。
はじめに、坂内議長があいさつ。「国鉄問題の解決、中労委委員の任命問題など一貫して要請してきた。舛添厚生労働大臣は、自身のホームページで『各種の審議会についても、自分の役所に好意的な委員を中心に集めるようなことはあってはならず、むしろ批判的な声を謙虚に聞き、自分たちの準備した政策であれ、改めるべきは改めるという姿勢が不可欠です。そのため、現在の審議会委員の人選を抜本的に見直し、新しい血を入れつつあります。これもまた、厚生労働省改革の一つであります』と述べている。大臣の発言にそった回答を求める。景気回復が言われているが、労働者の賃金・労働条件は低下、年収200万円を下回る人が1023万人にのぼり、偽装請負、日雇い派遣、二重派遣、最低賃金など問題がある。全労連と厚労省の違いはあるが、改善にむけて本日の交渉が実りあるものになるようにしたい」と述べた。
小田川事務局長が(1)改正最賃法の生活保護との整合性についての水準の問題、(2)労働基準法における長時間規制、不払い残業代問題、(3)日雇い派遣禁止など、派遣法の抜本改正など雇用の安定のための施策をはかること、(4)国鉄問題の早期解決、(5)中労委や各種審議会委員の公正任命問題、(5)公務員の労働基本権回復などの要請項目について趣旨説明を行った。
これに対し、厚生労働省は、現段階の厚生労働行政の3つの基本理念が、(1)公正の確保、(2)安定の確保、(3)個人の多様性の尊重、にあると述べ、さらに、4つの方向性として、(1)働く人の意欲・能力が発揮できる就業支援、(2)雇用の安定性、(3)安心・納得して働ける施策、(4)仕事と生活の調和を述べた。複雑・多様化するニーズに応えるべく推進していると表明した。
その上で、要請項目について厚労省は、(1)最賃問題では、「生活保護との整合性を配慮し、それを下回ることは問題との認識のもと、今後の審議会で審議をお願いする」、(2)派遣法については、「日雇い派遣の指針を出した。また違法派遣一掃プランを作成し、努力している。『派遣あり方研究会』を設置し派遣法の根幹に関わることについて議論をお願いしている」、(3)国鉄問題については「政府として必要な施策を講じてきた。できることはすべてやってきたという認識」、(4)中労委委員任命については「労働者の利益を代表する、総合的に勘案して選んでいる。審議会についても適格者を任命しておりスタンスは同じ」、(5)公務員の労働基本権回復問題については「行革推進本部専門調査会報告や公務員制度の総合的な改革に関する懇談会での報告をもとに、公務員制度改革基本法案の作業がすすめられている。全般的な労使関係を所管する省として対応していく」と述べた。
この回答に対し全労連は、派遣法問題で福田首相に非正規労働者の労働条件改善発言や取り組み、超党派による議員立法での派遣法抜本改正の動きにふれ、「派遣労働者の実態や意識にあったテンポになっていない。企業に監督・指導だけでなく、政府として早急に取り組みを進めるべきだ」と強く要求した。また派遣法改正をめぐる情勢について厚労省の認識を問いただすと「昨年来、検討してきたが労使双方に意見があり、いま研究会で審議しており、急いで取りまとめていきたい」との回答に終始したため、議員立法による法案提出があった場合も想定し、積極的に対応するようさらに迫った。
また改正最賃法問題では、改正法第9条に文言として補足された生活保護水準の整合性について、「水準問題については、中央最低審議会に任せるのではなく、厚生労働省として整理し、方向性を示すべきだ」と追及。これに対し、「これまでと同じ資料ではできない。充実した資料を出して審議頂くようにしたい」と再回答するに留まった。
最後に中労委の公正任命問題や国鉄闘争の早期解決にむけて、政府としての解決テーブルの設定を求めたが、同報告の回答に留まった。
今日の政策統括官との交渉を受け、18日の基準行政、21日の厚生行政、24日の安定・雇児行政についての交渉を行うこととしている。
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