不況の今こそ最賃大幅引き上げを!
7.13厚生労働省前で宣伝行動
中央最低賃金審議会の目安小委員会の第2回目の審議が、7月13日10時から厚生労働省で開催された。地域別最賃の改定額の目安を決める重要な審議会である。
梅雨も明け、蝉の声が響く厚労省前。全労連と国民春闘共闘は朝9時半より、審議会委員にむけて最賃の大幅引き上げを求めて宣伝行動を行い、50人が参加。様々な立場の弁士が、宣伝カーから最賃の引き上げを訴えた。
首都圏移住者ユニオンの川崎俊二委員長は、外国人研修生・実習生の問題にふれた。時給300円で働かせている事例や、時給は最賃と同額にするが、残業代や時間外・休日・深夜手当をつけずに働かせて、結局時給300円程度になっている事例を告発。労働基準法・最賃法違反の摘発と同時に、最低賃金の大幅引き上げが必要と訴えた。
公務公共一般の伊藤和己書記長は、「官製ワーキングプア」と呼ばれる公務で働く非正規労働者の実態を告発。
東京都では最賃766円にプラス100円を乗せた程度の時給で、一時金や経験給の加算もなく、20年30年と働いている人が少なくない。自治体職場にはこうした人が増えており、いなければ仕事はまわらない。生活のために働いていても、生活保護以下の賃金しかないなんて、こんなことは許されないと大幅引き上げを要求した。
「昨年改定された最賃では、地方間格差が拡大する一方だ」と、ナショナルミニマム確立のための全国一律最賃制の必要を訴えたのは全労連・全国一般の塩田副委員長。「世界では新自由主義の広がりの中で労働者の生活を守るために最賃を引き上げている。先進国中最低の最賃を引き上げよう」と述べた。さらに「現行最賃では政労使の合意が必要だが、委員任命が公正でないために国民合意が得られにくくなっている」として労働側委員の公正任命を求めた。
千葉生協労組のパートの代表、阿部百合子さんは千葉派遣村の相談者の様子を紹介しながら、「大本を変えなければ彼らは救われない。最賃引き上げはセーフティーネットの再構築の最たるものだ」と述べ、「“貧困大陸日本”の汚名を晴らすため最賃大幅引き上げをよろしくお願いします」と厚労省と審議委員に呼びかけた。
日生協のパート労働者、中島範子さんは62歳になり、再雇用制度で、最賃プラス10円の賃金にされた。まさか自分が最賃労働者になるとは思っていなかった。一番最賃に近いパート労働者がもっともっと奮闘し、組織された労働者が頑張らなければ、いつ自分の身に降りかかるかわからないと呼びかけた。
青年部から報告。
京都から駆けつけた永井宏和さんは、「京都総評では毎年、最賃体験を続けてきた」と述べ、体験者が一様に述べていることとして、ただ食べられないだけでなく、心のバランスを崩すという問題点を指摘した。京都では、最賃体験をブログにアップしているが、年々増えているのは“私は最賃レベルで生活している”という声。マスコミの反応も良く、先日NHKのラジオ番組に出た時には、担当者は聴取率が普段の倍になったという。
中小零細企業の経営者からも、「つらいが引き上げないといけない」という声がたくさんあった。最賃生活をしながら、この間、2つの行動をした。ひとつは街頭の求人の時間額の調査。最賃ぎりぎりの募集が多くあった。もうひとつはポスターを貼らせてもらうこと。ふつうは店の外に貼らせてもらうが、「店の中に貼りな」と言ってくれる居酒屋さんなどたくさんあった。これ1つとっても中小零細が最賃上げて困るわけでないということは明らか。厚生労働省に対し「貧困を抱える国を改善する省庁になってほしい」と求めた。
「自分も時給700円でアルバイトしていた」と述べ、当時の同僚の窮状を訴えたのは東京地評の平田さん。同僚で一人暮らしのAさんは、もうひとつバイトをかけもちし、米だけ実家から送ってもらっていた。しかし、それでも給料日前は3パック100円のもやしで食いつないでいた。学生だったが、結局体を壊して学校を辞めて実家に帰った。シングルマザーも2人いた。1人は子育ての苦労と生活苦から鬱になって働けなくなり生活保護を受けた。もう1人は子どもを保育園に預け、仕事を2つ掛け持ちして残業しても生活保護より少ない賃金しかもらえないため、「いっそ病気になりたい」と漏らしていたと述べ、「一生懸命働いている人が暮らしていけない社会はおかしい」と訴えた。
最後に参加者全員で、厚生労働省にむけてシュプレヒコールを行った。
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