春闘勝利へ、賃上げも雇用も ――3.4中央行動 3000人が多彩に展開――
3月17日の春闘集中回答日を控えた4日、全労連と国民春闘共闘委員会は、春闘勝利に向けて中央行動(霞が関総行動)にとりくみ、全国から3000人が参加しました。新宿駅での早朝宣伝を皮切りに、交運共闘決起集会(明治公園)、人事院・厚労省前での要求行動、「春闘勝利・総決起集会」(社会文化会館)、国会請願デモなど、単産独自行動も含め、終日多彩な行動を繰り広げました。
早朝、新宿駅西口で、労働者派遣法の抜本改正を求める宣伝行動(主催:全労連、労働法制中央連絡会)を実施し、60人が参加しました。全労連の大黒議長らがマイクを握り、政府が提出しようとしている改定案について「製造業派遣、登録型派遣は『原則禁止』と言いながら抜け穴だらけだ」「派遣労働は臨時的・一時的なものに限定し、正社員との均等待遇を実現させましょう」と訴えました。通行人の中には、宣伝隊に近づいて自分から手を差し出し、チラシ入りティッシュを受け取っていく人も多くみられ、用意した1000個は40分程度でなくなりました。
派遣法抜本改正、最賃引上げを 人事院&厚労省前行動
午前中の独自行動をはさみ、正午から人事院・厚生労働省前で「貧困・格差の解消、賃上げ・雇用確保で内需拡大めざす3.4霞が関総行動」を実施。1700人が省庁側と日比谷公園側の歩道にあふれました。
主催者あいさつで国民春闘共闘・大黒代表幹事(全労連議長)は、「景気は底を打ったというが、国民には実感がない」として、賃上げと最低賃金の引上げが必要だと強調。大企業が「取り崩せない」と主張する内部留保を実は取り崩し、株主配当にあてている事実を告発し、「財界がヒステリックな反応を示すのは、ここに彼らのアキレス腱があるからだ」とのべ、いまこそ内部留保を労働者・中小企業に還元させ、内需主導の経済への転換をかちとろうと訴えました。
同時刻に国土交通省前で個人請願行動を行っていた交運共闘から、佐藤議長(建交労委員長)がかけつけ、エールを交換。佐藤議長は、規制緩和による貧困と格差の拡大が国民の怒りをよび、世論の広がりとたたかいが政権交代の力になったと力説。「安全安心の交通運輸確立のため、規制改革・強化が産業界として大きな流れになっている」「国鉄労働者1047人の大量解雇問題もいよいよ大詰め。納得のいく解決に向けて、大請願行動にとりくむ」と決意を述べました。
つづいて各団体代表がリレートーク。「社会保険庁職員の大量解雇問題で、70人以上が人事院に不服申立てを行っている。労働者の権利を守るための機関が首切りするなど許されない」「医療・福祉など暮らしに直結する公共サービスを守るため、非正規労働者とともにたたかう」(国公労連・秋山書記次長)、「与党が公約していた後期高齢者医療制度廃止が先送りされ、4月からの保険料引上げにも予算上の手当てがされないのは裏切りだ」「何としてもベアをかちとり、働き続けられる職場づくりに全力をあげる」(医労連・相沢書記長)、「11月から毎月のように最賃時給1000円の実現を求めて国会議員要請を行ってきた。消費税増税の動きが着々と進んでいる。反対の世論を広げていきたい」「パート法改正でも、待遇はほとんど改善していない。均等待遇を明記した法律の改正を」(生協労連・北口副委員長)、「保育所で17年間も契約を更新しつづけてきた非常勤職員が解雇されたが、分会の仲間の激励を受けて組合に加入した」「学童保育や給食調理、清掃業務などが民間に委託され、自治体みずから偽装請負を行っている。抜け穴だらけの派遣法改正を許さず、最賃の引上げを求めて署名の山を国会に届けよう。府知事選も全力でたたかう」(京都自治労連・新田書記次長)と力強い発言がつづき、参加者は大きな拍手でこたえました。
このほか、全労協から藤崎議長のメッセージが届き、司会者(医労連・山田中執)が全文を読み上げました。 最後にシュプレヒコールを全員で唱和し、「団結がんばろう」で締めくくりました。
不況だからこそ、賃上げで内需拡大を 春闘勝利・総決起集会
14時すぎから、国会議事堂近くの社会文化会館で、全労連・国民春闘共闘主催による「春闘勝利・中央総決起集会」を開催しました。
公務部会の木原幹事の司会進行のもと、主催者あいさつで国民春闘共闘の小田川事務局長(全労連事務局長)は、今春闘での要求書提出が例年にもまして多くなっていること、要求額は福祉保育労の4万円をトップに積極的な賃上げを掲げていること、地域での公契約条例のとりくみが前進し、最賃引上げ・地域経済の活性化こそ内需拡大につながることなどをあげ、「変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需拡大、雇用確保でねばり強くたたかおう」と呼びかけました。
情勢報告で国民春闘・黒田常任幹事(全労連公務部会事務局長)は、「民間も要求が出そろってきており、連合労組は軒並みベア要求を放棄しているが、内部留保を取り崩せば賃上げは可能だ。大企業の横暴を追及し、誰でも1万円以上の賃上げ実現にむけ力を合わせよう。幅広い共同と対話を進め、目に見え音が聞こえる春闘をたたかおう」とのべました。全国統一行動日の18日には、郵産労、JMIU、通信労組、全労連全国一般などでストライキが配置されていることにもふれ、「すべての組合員の参加で統一行動を大きく成功させよう」と訴えました。
決意表明では、「国公労連は92年からビクトリーマップ、企業通信簿をつくり大企業のアキレス腱ともいえる内部留保を告発してきた。行政分野から対話をひろげ、国公労働者の存在を地域から見えるよう大運動をすすめいく」(国公労連・岡部書記長)、「年末年始の派遣村にとりくんだが、第2のセーフティーネットが壊れている。財政健全化とあわせ、働くルールを確立するために公務・民間共同してたたかおう」(自治労連・猿橋書記長)、「30人学級実現を文科省にねばり強く求めていく。貧困と格差の拡大から子どもたちを守るたたかいに奮闘する」(全教・北村書記長)とのべました。
民間を代表して全労連全国一般の鈴木副委員長は、「宮城の商店街で200軒と訪問・対話を重ね、中小企業振興と消費税増税反対のポスターを貼らせてもらっている。力をあわせてたたかう」と春闘にむけた決意をのべました。
閉会あいさつで自治労連・野村委員長は、「多くの労働者、国民と一体になって飛躍のたたかいへ踏み出そう」と呼びかけ、最後に「団結がんばろう」でしめくくりました。
集会終了後、参加者は国会請願デモに出発。小雨が降るなか、三宅坂から赤坂見附、溜池を通って、道行く人たちに元気よくアピールしました。
このほか、各共闘組織・単産がそれぞれ独自行動を展開しました。
非正規の正社員化と均等待遇求め郵政本社前行動―郵産労
郵政民営化の見直しの柱として「希望する人は正社員に」の声が浮上するなか、期間雇用社員の正社員化と均等待遇を求め、郵政産業労働組合は郵政労働者ユニオン、郵政倉敷労働組合とともに郵政本社前行動を実施、全国から200人が参加しました。
主催者あいさつで山崎清郵産労委員長は、「郵政民営化の国民本位の見直し、正社員の労働条件改善と賃金引き上げ、非正規雇用の均等待遇と正社員化が10春闘の大事な課題。力を合わせ、元気よく春闘をたたかい、大きな変化をつくるため団結して頑張ろう」と強調した。
全労連の小田川義和事務局長、全労協の藤崎良三議長、日本労働弁護団の棗一郎弁護士が連帯あいさつ。小田川事務局長は、3労組が共同して非正規労働者を中心に会社に異議を申し立てていくことは、社会的・歴史的意義があると強調。「亀井郵政改革担当大臣が非正規社員の皆さんの正社員化の方向を打ち出す追い風の2010年春闘。要求前進のたたかいを全国の郵政職場に広げるために共に頑張ろう」と呼びかけた。期間雇用社員6人が発言。岡山の男性は「われわれは企業の利益を守るための調整弁ではない。均等待遇を求めて頑張る」と訴えました。続く衆院第2議員会館での院内集会には90人が参加。日本郵政と総務省に正社員化を求める署名(2万5千人分)や要請書を手渡した。
交通運輸の安心・安全守れー交運共闘1300人が車両デモや請願
交運共闘は3月4日、3・4中央行動を実施、全体で1300人が参加し、明治公園での決起集会・車両デモ、国交省前行動・個人請願などを展開、交通運輸の安心・安全を守れと訴えました。
9時半からの明治公園での集会には、ダンプ・トラック・タクシー50台に、公務・医療からの連帯参加も含め300人が参加、渋谷・青山などをまわる車両デモを行いました。11時半からの国交省前行動には1000人が結集、安全を守れ、JR採用差別問題の解決をなどの個人請願書を提出しました。
規制緩和と不況のなかで労働条件が年々悪化し、交運共闘が共同して行った運転者アンケートでは、交通事故を起こす危険を感じるが、トラック63%、タクシー68%、観光バス69%、居眠り運転の危険を感じるも5割を超えるなど、安全を脅かしている実態が明らかになっており、交運共闘の参加単産は、この中央行動を契機に2010年国民春闘での要求実現に全力をあげることにしています。
最賃1000円以上、均等待遇実現訴えパレードなど―生協労連
中央行動ではのべ650人の生協のなかまが、最低賃金1,000円以上、均等待遇の実現など、7つの課題で要求を掲げ、署名宣伝行動、議員要請、決起集会、銀座パレードを実施しました。銀座パレードは、約500人の生協のなかまで行進。竜の舞い、最賃君、トラ、軽快で楽しいシュプレヒコールなど、元気でにぎやかに私たちの要求を、市民へアピールすることができました。今年はオリンピックイヤーということで、金銀銅賞を準備。金賞は沖縄の衣装に身を包み、竜が舞った九州地連でした。
長時間労働・夜勤問題に関するシンポジウムー医労連
日本医労連、自治労連、全大教の主催で星陵会館で行われた「長時間労働・夜勤問題に関するシンポジウム」には、会場いっぱいの400人が集まりました。
主催者挨拶に立った田中千恵子委員長は、「茨城で50代の看護師が嫌がらせ人事で2時間通勤の職場に異動させられ、脳幹出血で死亡した。東京の7つの私立大学病院で2交替が導入されていないのは慶応のみ、急性期病棟にも急激に長時間2交替夜勤が拡大している」と悪化の実態を報告。また、1月28日に日本看護協会が医労連を正式訪問し、久常会長が看護の処遇改善に言及したことに触れ、医療費のOECD並みを目指す政府に、働き方もOECD並みを要求していこうと決意を語りました。
シンポジウムは、自治労連の高田なお子氏をコーディネーターに、全日赤大阪労組副委員長・大阪赤十字病院看護師の西山幸代さん、日本航空キャビンクルーユニオン執行委員・日本航空客室乗務員の森陽子さん、佐々木司労働科学研究所・慢性疲労センタ―長、川人法律事務所代表・川人博弁護士の4人がシンポジストとして職場の実態や夜勤・長時間労働が体に与える影響、過労死した看護師の職場実態などを報告、会場と意見交換しました。医労連は5日に対政府交渉を行い、看護師の大幅増員や社保拡充を求めました。
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