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このままでは救われない派遣法の実効ある改正求め派遣労働者が座り込み

写真 08年の派遣切りとたたかっている当事者が、派遣法「改正」法案にたいし、「このままでは救われない実効ある改正を」と、4月14日、国会前で座り込みをした。各地から当事者をはじめ、支援の労働組合、弁護士が駆けつけ、「改正」法案の修正を訴えた。

偽装請負の蔓延を許すような改正法案はやめて
〜栃木キヤノンで偽装請負を告発し、たたかっている阿久津さんの訴え

 あの時、今回の改正法案があれば私たちはどうしただろう。改正法案の「みなし雇用」は従前の労働契約を引き継ぐとしている。期間制限違反を告発しみなし雇用されたとしても、雇用契約期間も賃金もかわらず、2年11カ月で退職しなければならなくなる。「偽装請負のままでいたほうが長く働くことができる」と、決して申告しなかっただろう。偽装請負の蔓延を許すような改正が、なぜ「規制強化」と言われるのか理解できない。少なくとも声を上げている者、派遣で苦しんでいる者が救われるものにしてほしい。
 労政審が原案を出したが、果たしてそこに出席していた労働者委員は非正規労働者の代表だろうか。派遣労働者保護のための法律と言うなら、私たちの声を反映したものにしてほしい。

自公の改悪案を引き継ぐな

写真 自由法曹団の鷲見幹事長も駆けつけた。自公政権時代につくられた法案を引き継いだため、派遣先の雇用申し入れ義務の撤廃や、グループ派遣を8割まで認めるなどの改悪部分が含まれていると指摘し、「自公の改悪案引き継ぐな!」と訴え。
 派遣労働者が200万人に増えている中、「改正」法案が適用される派遣労働者は2割で、8割は全く適用されない点に触れ、「これで実態は改善されない。特に、製造業派遣について、リーマンショック後の派遣切りでは一方的に期間途中で多くの派遣労働者が解雇された。あの時、いすゞ、日産、CANONなどの製造大企業が一体何をしたか。このことを考えるなら製造業派遣全面禁止は当たり前の話ではないか。この製造派遣でさえ、禁止するのは4割。6割は抜け穴だらけだ」と強調した。
 また、今国会に提出された「改正」法案には、現与党が野党時代に出した3党案に入っていた、「均等待遇原則」も「団交応諾義務」も入っていない。違法派遣の際のみなし雇用も、1回こっきりで契約が切られることが明らか。こんな危ない「みなし雇用」など誰も応じることはできないと断じ、「これでは派遣労働者はまったく救われない。社民、民主、国民新の各党は、かつて自分たちが約束したことを思い出して、『改正』法案は出しなおしてほしい」と述べた。

世界も注目する「改正案」を実効あるものに

写真 全労連非正規センターの井筒事務局長が「(今回の改正法案は)改悪に改悪を続けてきた派遣法を何とか改正したいというたたかいを踏みにじる暴挙だ」と述べ、「派遣の当事者がこのように座り込んで訴えていることに励まされる思いだ。全労連もバックアップしたい」。「お隣の韓国など世界の労働者が注目する改正法案を実効あるものに修正せよ」と訴えた。

派遣切りとたたかうなかまが次々発言

 資生堂から派遣切りされたアンフィニの池田さんが、「台湾から日本に来て一番びっくりしたのは雇用差別があることだ」と述べ、「同じ仕事をしていれば同じ賃金・労働条件で働かせてほしい」と訴えた。

違法派遣は期限の定めのない雇用に

写真 日産車体で派遣切りにあった岡田さんは、最初日産で派遣社員として働いていた。3年過ぎて正社員にと声を掛けられていたが、労災申請したらその日のうちに契約解除された。日産車体で働き、リーマンショックで期間途中で解雇されたと訴え。改正の中身は派遣労働者を救うものになっていない。みなし雇用で直雇用契約を結んでも有期の3〜6カ月ですぐ雇止めされてしまう。「違法があれば期間制限なく正社員にしてほしい」と訴えた。

製造業派遣は全面禁止に

 全労連の寺間組織局長は今回の改正案について「羊頭狗肉とはこのこと」と怒りをあらわにした。一昨年の派遣切りの際に、長崎ソニーのワールドインテックから解雇された青年はみな、常用雇用の正社員だった。「正社員の僕たちがこんな目にあうなんて」と信じられない様子だった。「派遣元の正社員であっても簡単に首を切られるのが派遣だ。一方的解雇許さない改正案に。法案審議の最初から当事者が決起していることは素晴らしいことだ。ともに断固として真の派遣法改正を勝ち取るためにたたかう」と述べた。

中小企業に派遣はいらない

 神奈川労連の水谷議長は民主党議員は派遣切りから行った何を学んだのかと述べ、「まともに暮らせず、解雇されれば家も失う、憲法25条(生存権)、27条(働く権利)、社会権の保障されている日本で、こんなことを許してはいけない」と訴えた。「民主党は中小企業には派遣が必要と言うがとんでもない。神奈川の労働審議会では、中小企業の社長が『派遣はいらない』という。『中小企業は人が宝、長くしっかり働いてくれる人が必要だ』と。タクシー会社の社長も、『規制緩和で不安定な業界になり大変なことになった。派遣法は変えるべきだ』と発言していた。今こそ政治主導で、まともな法案に」と訴えた。

女性のニーズなどとんでもない

 日産で派遣切りにあった土谷さんは、デザイナーとして6年余りも日産で働いてきたのに、カルロス・ゴーンの「非正規は解雇する」の一言であっさり首を切られたと告発。客先の契約が切れれば雇用も修了、派遣元は責任を持てないといい、派遣先も労務の提供は受けていたが賃金も払っていないし雇用責任はとれないという。6年以上派遣で働いても会社に対する権利がまったくないのが派遣労働者だ。抜本改正されると聞き、これで、無責任な雇用が終わると期待した。1カ月前にいきなり次の契約がないと言われあわてて次を探すこともない、3カ月の雇用期間で次の更新がされるかどうか心配しながら働かなくても良い、非正規でも何年か働けばみなし雇用とされる…。
 全く違うもの、改悪の中身まで入ったものが12月の審議会で答申され、事前面接の解禁はなくなったものの、このままでは「改正」されない方がましなくらいだ。
 派遣は女性のニーズなどと言うがとんでもないと強調。3カ月契約を繰り返して3年も5年も働いている人は派遣から正社員になりたいと望んでいる。非正規と言っても、自分勝手な選び方で働き続けられる職場は少ない。正規と同じように働き、それ以上の成果を上げなければ首になる。同一労働には同一賃金で報いてほしいと述べ、今ならまだ間に合う、正しい労働の道を私たちに開いてほしいと訴えた。

全労連の小田川事務局長が激励。

 皆さんのたたかいが、派遣法抜本見直しに躊躇する政権与党を大きく後押しするのではないかと期待しながら、私たちもご一緒に汗をかきながら実現へ向けてたたかっていきたいということを約束したい。
全労連は4月21日を国会行動集中日に5月19日を中央行動に設定した。署名を武器に地方からの議員要請を進めながら要求実現を図っていきたい。派遣法審議は当初の予測より遅れている。たたかいは長くなっている。状況とかかわって2・3申し上げてあいさつに代えたい。
 民主党政権は混迷を深め、失望を超えあきらめに近くなっている。3つの問題を感じている。鳩山政権は子ども手当、高速道路無料化など、公約の最大の目玉として掲げたものの実現が難しくなっている。最大は財源問題で、軍事費や大企業優遇税制に手をつけられないのが原因だ。
 2つ目は普天間基地の問題。交渉というのは、お願いではないのだから相手の嫌がることをどう、のせるかということだ。アメリカと交渉せずに、普天間基地をどこに持っていくか、日本国民と交渉しようとしていることに今の混迷の原因がある。
 3つめは、派遣法ではまさに公約破りが進められていること。最大の障害は、国際競争力や企業の引き続く儲けなどの圧力を強めている財界との関係で、新しいルールを作ることができないことに問題がある。財界は「雇用の安定や地域、生活の底上げが企業の国際競争力を阻害する、経済成長の足かせになる。企業は国外へ出ていく」と主張するが、これが嘘だということは実証されてきている。最低賃金については先日、東京財団が実証的な研究をした。青森で最低賃金が上がっても雇用は一切失われていない。また、製造業派遣を禁止すれば企業は海外へ出ていくというが、数カ月前の東京新聞では、企業は派遣法改悪以前に海外に出て行ったと報道されている。そういうごまかしに負けている。
 そのことが最も端的に表れたのが4月1日の労政審。労政審では「公労使がぎりぎりの中で議論したのに、3月19日の閣議決定で事前面接を削除する修正をしたことは遺憾だ」という意見書をわざわざ出し、長妻厚労大臣が「大変申し訳ない」と謝った。これを通したのは労働側委員であることは間違いない。大企業中心主義、大企業中心の仕組みにしがみついている方々が労働政策の決定をしていることに大きな問題がある。
 ILO雇用勧告では、「雇用政策の中心課題は、最も被害が集中する非正規、女性、移民、障害者に目を向けた労働政策がとられなければならない」といっている。労政審は大企業中心の構成で、大企業中心主義の人が政策を決定している。私たちのような中小企業労働者や、派遣切りにあった皆さん方のような人たちの声が審議会に反映しない。そのことがさっきの話にもあったような派遣法の大きな穴のある、改正内容になっていったり、不十分な内容になったりしている。
 今こそどう声を届けていくか。政治の場で変えてほしいというのは民主主義だと思う。その声を強めていきたい。その立場で私たち全労連は大いに力を尽くしたいと思うし、7月の参議院選挙を意識した国会での行動を強めていきたい。

 
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