東日本大震災から1年が経過した3月11日、全国各地で「原発なくせ、住民本位の震災復興を」と集会などが取り組まれた。
東京・井の頭公園で開かれた「震災復興 なくせ原発3・11行動in東京」には8000人が参加。全労連の大黒作治議長が主催者あいさつ。「政府・財界は、まだ原発依存のエネルギー政策にしがみついているが、日本にある原発54基中、稼働しているのは2基であり原発を再稼働する必要も大義もない。原発なくせの一致点で運動を発展させよう」と呼びかけた。ドイツ環境自然保護連盟のエアハルト・シュルツ氏が「風力で65%の電力を賄えるという試算を発表した。日本でも可能性はある。再生可能エネルギーを普及させ、原発に頼らない社会を作ろう」とあいさつした。
被災地から3人が訴え。岩手・田老町漁協の前川昌人氏は「定置網等で75億円の被害を受けたが、復興にむけ努力し続けている。政府は、消費税を上げる前に、年金を切り下げるまえに、やるべきことがあるのではないかと言いたい」と訴えた。宮城・坂総合病院の矢崎とも子医師は、「国の支援が必要なのに補助金が不十分。これでは地域医療の再生ができない。実効ある支援を」と呼びかけた。福島県労連の斉藤富春議長は「1〜2月で1800人の雇用保険の受給が切れた。1万人の雇用が足りない。消費税増税・社会保障が改悪されれば復興に重大な影響を及ぼす」と批判した。
原発労働は危険業務の最たるもの
全体集会の前に行われたブース企画で、全労連は原発問題連絡センターと共同で「原発労働の実態、脱原発・自然エネルギーへの転換めざして」と題しパネル・ディスカッションを行った。パネラーは原発問題福島県連絡会代表の早川篤雄宝鏡寺住職、日弁連貧困問題対策本部の三浦直子弁護士、週刊東洋経済記者の風間直樹氏。
早川氏は、福島の被害状況などについて述べ「政府の収束宣言に怒っている。東電はいまだ人災と認めず、賠償も進んでいない。全国に原発はあり、原発を止めさせるためには運動が大事だ」と述べた。三浦氏は、多重下請け構造のなかで働く原発労働者の実態を告発。「ロボットでは不十分なところに非正規労働者を入れ使い捨てにする。こんな非人間的労働に依存する原発労働はなくすべき。労働者は権利を知れば不当なことに対し声をあげていけるようになると思う。そういうことが重要であり、サポートしていきたい」と発言。風間氏は「原発労働は危険業務の最たるもの。それを多重下請けでやっている。しかし、労災申請の件数は少なく、それは東電が申請をさせないように圧力をかけているからだ。申請したら仕事が来なくなることは明らかであり、こういったことから被曝問題は表面化してこなかった」と述べた。