現在国会に提出されている有期契約法案の実効ある改正を求める院内集会が6月15日、国会で189人を集めて開催された。日本労働弁護団有志が呼びかけ、上部団体の違いを超え多くの労組が参加した。社民党から福島瑞穂参議院議員、阿部知子衆議院議員と吉田忠智参議院議員、日本共産党から田村智子参議院議員が駆け付けた。他に民主党や国民新党の議員秘書らも参加した。
5年手前での雇止めを防止することが重要
日本労働弁護団の水口洋介幹事長は、「雇用は原則無期であるべきで、入口規制が法案に入らなかったことが最大の問題。また、無期転換権は実効性がない。なぜなら無期転換を嫌う使用者が手前で雇止めする恐れが大きいにもかかわらず、それを抑制する方策が法案にはなく、不更新条項が規制されていない。不更新条項を規制することが重要であり、この修正を勝ち取りたい」とあいさつ。
ヴェローチェが4年雇い止め通達ー労働の現場から
有期労働の現場から当事者や労組が次々発言。首都圏青年ユニオンの河添誠さんは「喫茶店チェーンベローチェは、法案成立を前に無期雇用化を嫌い、有期労働者を4年で雇い止めするという通知を出した」と告発した。ハリソン東芝で、19年働き76回の契約更新を繰り返した挙句、不更新条項で雇止めされたユニオンヨコスカの稲葉俊之さんは「毎日100人が自殺をしている。私もその中の一人になるところだった」「時代の犠牲者ではなく会社に殺されるんだ」と述べ、会社がそこまでの覚悟もなく、いとも簡単に解雇を通知することに対する憤りをあらわにした。派遣切りとたたかういすゞ自動車の五戸さんや日産自動車の阿部さんも、自らのたたかいについて発言した。
4点の修正を求めアピール
棗一郎弁護士(日本労働弁護団常任幹事)は、「やっと4点の修正項目を挙げて集会が持てるようになった。今日を起点に有期法制に対する運動を組みたてていきたい」と述べて政府改正案に対する修正提言を行った。
まず、無期転換権について「5年はあまりにも長い。労基法に合わせて、せめて3年とすべきだ」。また、「6ヵ月のクーリング期間はあまりに短い」「1年にすべきと言ってきたが、通算して5年を超えたら無期転換権を与えることが必要だ」。判例法理について、「法案では『労働者からの契約更新の申し出』という要件が加わっている」「これを外すことが求められる」と指摘。不更新条項については「雇い止め濫用法理を封じるために考え出された手法だが、これほど広がっているのに今回の法案で手当てされていない」と述べ「不更新条項は法の趣旨に反し許されないとの通達をとる必要がある」と訴えた。
最後に法案について、(1)無期転換権を付与する期間は3年に短縮すること、(2)クーリング期間は規制の抜け道であり、削除すること、(3)雇い止め凡例法理はそのまま条文化すること、(4)雇用契約書における不更新条項は無効とすることの4点の修正を求めるアピールを参加者全体で決議した。