国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は1月16日、東京労働会館・ラパスホールで第1回単産地方代表者会議を開催し、22単産20地方から125人が参加。「2013年春闘方針」「春闘闘争宣言」を満場一致で採択しました。会議に先立ち、渡辺治一橋大学名誉教授が「安倍新政権と改憲・新自由主義構造改革のゆくえ」と題して講演。12月に行われた総選挙の結果、安倍政権のねらいを鋭く分析し、新自由主義政治を打破するために労働組合に求められている課題などについて語りました。
大黒作治代表幹事(全労連議長)は開会あいさつで、内需拡大による景気の立て直しとデフレからの脱却が求められている今、賃上げと雇用の拡大こそがデフレ不況脱却の土台となることを強調。大企業が貯め込んだ267兆円にも上る内部留保を国内に還流させるためにも、賃上げ、下請け単価の改善、非正規から正規雇用への転換などを求めていくことをのべました。そして、安倍内閣が目論む「改憲」を許さない運動を強め、大震災を風化させず、原発なくせ、TPP交渉参加反対、オスプレイ配備反対、米軍基地撤去のたたかいなどでも国民的共同を広げ、要求実現に向け攻勢的なたたかいを展開していくことを訴えました。
小田川事務局長が2013年春闘方針を提案
小田川義和事務局長(全労連事務局長)が「2013年国民春闘方針案」を提案。財界がグローバル化の名のもとに、定期昇給実施の方法について議論を始めていることに言及し、「13春闘では、賃金抑制、雇用破壊に対し反撃を強めることが必要だ」と強調。「変えよう 職場・地域と政治、勝ちとろう 賃金・雇用・くらしの改善」をスローガンとし、賃金闘争の課題では、「誰でも月額1万円以上、時間額100円以上」の賃金改善と、「誰でも月額16万円以上、日額7,500円以上、時間額1,000円以上」の最低賃金要求を掲げ、積極的な賃上げを求めていくことなどを提案しました。
いのち・くらしを守る春闘に
討論では各組織の代表10人が発言しました。
JMIUの川口副委員長は、「『春闘再生』でくらしと雇用をまもりきる春闘」「組織建設春闘」「世直し春闘」の3つの大きな目標を立てたたかう確認をしたことを報告。春闘アンケートでは、76%もの人々が「企業の将来展望への不安」を回答しており、金融円滑化法期限切れや賃金が上がらないことへの不安など、アンケートの背景にある思いをたたかいに結び付けていくことの重要性を強調しました。
自治労連の熊谷中央執行委員は、安倍政権が地方交付税の削減で自治体に賃金削減を強要しようとしていることを告発。昨年から引き続く確定闘争と春闘を統一したたたかいとして展開し、安全・安心の自治体づくりを全面に掲げ、公務員攻撃を跳ね返し、職場から、地域から官民共同でたたかいを進めていく決意をのべました。
出版労連の寺川書記長は、この間、「ディーセントワーク」を合言葉に取り組んできたとのべ、「今春闘ではこれに加えともに働く非正規の仲間の正規雇用化、格差の是正をめざしてたたかう。また、言論の自由、教育の民主化、平和を守るために、『憲法改悪反対ストライキ権』を提起し、たたかいを強めていく」と意気高く発言しました。
東京春闘共闘の柴田書記次長は、9回目となる自治体キャラバンなどの運動の成果で、多摩市、渋谷区、国分寺市の3自治体で公契約条例が制定され、世田谷区、足立区でも取り組みが前進していることを報告し、公契約条例が制定された自治体では、賃金改善に繋がっており、一層の取り組み強化が求められていることを強調。3月1日に行う全都駅頭での宣伝行動を成功させ、地域から「目に見え、音が聞こえる春闘」を作り上げていくと力を込めました。
討論のまとめで小田川事務局長は、春闘のたたかいの本格化を前に、(1)官民問わず職場の繁忙度が強まっているが、春闘期こそ学習・論議の場をできるだけ多く持つこと、(2)この間の運動の成果に確信を持ちたたかうこと、(3)非正規雇用問題に力点を置き共同の取り組みを具体化していくこと、(4)繰り返しの学習を行い粘り強くたたかうことが、組織の強化・拡大に繋がり、要求を前進させていくことを強調し、13春闘勝利に向け意気高くたたかおうと呼びかけました。