全労連・労働法制中央連絡会は4月13日、日本教育会館中会議室で「労働法制緊急学習決起集会―労働ビッグバンの再来は許さない」を開き、安倍内閣が進めようとしている、解雇の自由化、ホワイトカラー・エグゼンプションや限定正社員の導入など労働・雇用破壊の内容を学び、たたかっていくことを意思統一しました。
全労連労働法制闘争本部長の生熊副議長(JMIU)委員長が主催者を代表してあいさつ。「今回の改悪は異次元のもので、雇用の在り方を根底から変えるものだ。しかし、雇用問題は、政治を変えるチャンス、キーポイントにもなる。攻勢的に大きく構え、くらしと雇用を守るためたたかっていこう。今日をそのスタートにしよう」と呼びかけました。
法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授が「安倍政権の規制緩和の正体―労働ビッグバンの再来は許されない」と題して講演しました。五十嵐氏はまず、「安倍政権は、憲法や選挙制度を変えることに本格的に取り組むなど悪政ビッグバンだ」と指摘。続いて、民主党に政権交代し、労働分野の再規制が期待されましたが、頓挫してしまった状況について検証しました。そして、「安倍内閣は、財界の春闘方針『経労委報告』の内容を経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議で、『解雇の自由化、労働時間規制の緩和と自由化、限定正社員、派遣の常用代替防止の見直し』などを具体化し、雇用維持型から労働移動支援型へと転換しようとしている」と指摘。「問題は、規制(ルール)のあり方であって、規制の撤廃ではない。自由と競争は矛盾し、何でも自由にしたら強いものが勝に決まっている。よりよいルールの実現と現存のルールやILOの活用が重要だ。規制緩和の再稼働でどうなるか、非正規や格差の拡大など悪影響や被害は熟知している。安倍内閣は参議院選挙もあり、選挙で不利となれば撤退するだろう。労働組合は資本の暴走を抑制するブレーキ役。労働ビッグバンを押しとどめる可能性はある」と、労働組合のたたかいへの期待を述べました。
全労連の井上事務局次長(労働法制中央連絡会事務局長)が規制緩和をめぐる現状と取り組みについて報告。産業競争力会議、規制改革会議での資料を示しながら、労働ビッグバンの内容について報告し「職場・地域での学習運動、宣伝を急速に広める。宣伝・集会を集中する行動強化週間(5月13〜19日)、5月15日の『解雇自由社会を許さない霞ヶ関行動』や『労働弁護団のシンポジウム』、5月28日の中央行動を成功させる。パート法、均等法の実効ある改正、労働契約法の5年雇止めや違法派遣などの実態の可視化と改善を結んで奮闘する」ことなどを提起しました。
自由法曹団の鷲見弁護士が特別報告を行いました。「労働ビッグバンは、『雇用の劣化・悪化をさせていい』という思想とのたたかいだ。ホンダやいすゞの非正規切り裁判をたたかっているが、『何十回も更新していても、最後の契約で不更新条項が入っていてサインをしたのだからいい』という判決だ。『非正規は、同じ仕事をしていても、正規の補助であり雇用の調整弁でいい』ということだ。雇用をどう見るか、有期は差別していいのか、放っておいていいのか。労働ビッグバンのひどさを明らかにしたたかっていこう」と呼びかけました。
討論では、「全体像を明らかにする必要がある。限定正社員など、労働者にとってメリットがあるように報道されている。学習と宣伝が大事だ。雇用調整助成金廃止の問題は中小企業の経営や雇用を守るためにも大事だ。廃止反対のたたかいも重視する」「マスコミのデマ宣伝に対抗する、こちら側のわかりやすい内容の解説が必要」「限定正社員は非正規にとって魅力的に見えるかもしれない。危険な内容やディーセントワークという私たちのめざす方向をきちんと示していくことが重要」「解雇の金銭解決は、世界標準でも何でもない」などの発言がされました。
井上事務局次長は、まとめで職業紹介の見直しについてふれ、「民間開放にとどまらず、雇用政策全体の労働移動支援型への転換、産業の新陳代謝促進のための労働移動の強制装置化が狙われている。日本では、失業時保障がきちんとしていない。きちんとしていれば質が悪い仕事にしがみつくことはない。安定した良質な雇用、社会保障の拡充が必要だ。運動を急ピッチですすめていこう」と呼びかけました。