全労連、国民春闘共闘、東京春闘共闘は1月17日、「2014年春闘闘争宣言行動」を実施しました。午前中の厚労省前行動から丸の内昼休みデモに続き、日本経団連を包囲し、「ベースアップを実施せよ」「大幅賃上げ・雇用の安定を」「大企業は内部留保を賃金・下請け単価にまわせ」「労働法制大改悪反対」などの声を冬晴れの空に響かせました。
厚生労働省前行動
〜許すな!雇用・くらし破壊の暴走政治〜
この日は、派遣法の見直しを議論している労働力需給制度部会が開かれ、早朝から、「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共同アクション)」などが、「派遣労働の自由化反対」を求め厚生労働省前行動を実施。その後、11時から全労連・国民春闘共闘、東京春闘共闘は、春闘闘争宣言行動に入り、厚生労働省前に350人が結集しました。
主催者あいさつに立った東京春闘共闘の伊藤潤一代表は、「低賃金で不安定な非正規雇用の増加が労働者の平均賃金下落の一番の要因だ。労働法制の規制緩和が進めば、ますます貧困は広がり、税収も減り、社会保障にもマイナスになる。安倍雇用破壊を阻止し、安倍政権の終わりの始まりにしよう」と呼びかけました。
国民春闘共闘・小田川義和事務局長が行動提起。冒頭、「戦争ができる国への歯止めをかけ、新自由主義構造改革への反対運動を本格化しなければならない」と述べ、要求前進と安倍政権の暴走に抗するたたかいを一体的に進めていくことを強調しました。労働者派遣法改悪阻止について、労働政策審議会やマスコミへの要請、宣伝行動などを強めていくことを訴えました。「『労働者の賃上げで景気回復を』と経営者に強く迫り、消費税増税中止などくらし守れの要求を高く掲げ、地域と職場の共同を広げ、3月13日の「50万人総行動」の成功をめざし取り組みを進めよう」と力強く呼びかけました。
つづいて、各組織の代表がたたかう決意を表明。全労連・全国一般東京地本の森治美書記次長は、「正社員になれるという言葉を信じて働いていたが、いつクビになるのか分からず暗澹たる気持ちになる」と労働相談に寄せられた派遣で働く女性の言葉を紹介し、「派遣法の改悪は、こうした人々の気持ちを打ち砕くものであり断固として許してはならない」と怒りを込めました。そして、国が「中小企業の整理淘汰」を言い始めていることに言及し、「企業の吸収合併や部門閉鎖などで希望退職や退職勧奨が行われている。一旦退職すると正社員での働き口はない。非正規雇用は自然に増えているのではない」と指摘。「職場では、労働法制大改悪の先取りがすでに起こっており、非正規雇用の増大を防ぐためにも、合理化を許さない未組織職場の組織建設を柱の一つとしてたたかっていく」と決意を述べました。
国公労連・全労働の津川剛書記長は、「政府・財界は、執拗に労働分野の規制緩和・廃止を求めている。そして、民間人材ビジネスの活用を打ち出し、ハローワークの求人・求職情報の提供も検討されている。求人情報に関しては、民間人材ビジネスの多くが派遣会社でもあるため、ハローワークの良質求人が派遣求人に置き換わったり、劣悪な労働条件に変更させられることも十分に考えられる。まして、求職情報に至っては、二次利用、三次利用の危険性が拭えない」と述べ、「今、求められるのは、官民ともに労働者の権利が確立されることである。ブラックな社会ではなく、働く者が大切にされる社会、働くルールが保障される社会、そして、憲法が生きる社会であり、そのために全労働も奮闘したい」と訴えました。
福祉保育労・澤村直書記長は、「政府は『自助、自立を強調し、自己責任で生活をしろ』と言い、財界は『賃金や雇用の抑制につながる』といって法人税や社会保険料負担の軽減を求めているがとんでもない。社会保障や社会福祉には国民のいのちがかかっている。税の応能負担原則に従い、政府の責任で、企業に応分の負担をさせることが必要だ」と、大幅賃上げとともに、「福祉は権利」の世論を広げ、社会保障の維持・拡充を求めて、これまでにない大きな運動を展開していく決意を表明しました。
首都圏青年ユニオン・山田真吾事務局長は、東京労働局が行った「若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督」について、対象企業の8割が労働基準法違反と指摘をされながら、企業名が公表されていないことを指摘。「若者を使い捨てにする企業では、大量採用しても労働条件が悪いので大量に離職する。ショップ99(現・ローソンストア100)では3年間での離職率が95%だった。若者は働き方に不満もあり、不安を持っている。労働組合が先頭に立ち、地域から若者の使い捨てを許さない包囲網を張っていこう」と呼びかけました。
行動後、参加者は丸の内に移動し、新春恒例となった荒馬座による太鼓を先頭に、色とりどりの横断幕やのぼり、要求プラカードをかかげデモ行進。シュプレヒコールと鳴子を響かせ、お昼時の丸の内・大手町を行きかう人々に春闘決起を呼びかけました。
経団連包囲行動
〜大企業は内部留保を賃金・下請け単価にまわせ〜
丸の内デモを終え、大手町の日本経団連を450人が取り囲みました。
主催者あいさつで国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)は、大企業は、272兆円もの内部留保を大幅賃上げ、下請単価の改善や非正規社員の正規社員への雇用の転換へ回すべきだと強調。「経団連は社会的責任を果たし、2000万人を超える非正規雇用労働者にも賃上げを波及させ、正規雇用への転換を提言せよ」と訴え、「すべての労働者が生活できる賃金の獲得、労働法制の改悪を許さず、安倍暴走政治をストップさせるために最後まで粘り強くたたかおう」と呼びかけました。
決意表明で、JMIUの三木陵一書記長は、「今、賃上げせずして、いつするのか。賃上げは切実な要求だ。評価や査定で誤魔化す上っ面の賃上げではなく、真に生活改善につながる大幅賃上げ、すべての仲間の大幅賃上げを高くかかげてたたかい抜こう」と訴えました。
全教・今谷賢二書記長は、全国平均で6人に1人の子どもたちが就学援助を受ける家庭から学校に通っていることを報告し、「父母・保護者の生活が直接的に影響している。すべての労働者の賃上げを実現し、安定した雇用を作り出すことは、子どもたちの教育を守るためにも欠くことのできない条件だ」と強調し、大幅賃上げ・雇用の安定とともに、「安倍教育『再生』ストップ!憲法を守り生かそう」の運動を大きく前進させていくと力を込め訴えました。
愛労連・幹事でJMIU愛知地本・平田英友副委員長は、2013年度決算でトヨタの連結内部留保が15兆円を超え、営業利益2兆円となったのは、「労働者の賃金抑制と下請け単価引き下げがもたらしたものであり、その上、2012年度の消費税の輸出戻し税が1801億円も還付されているからだ」と指摘。「愛知では中小業者などと共同して2月に1万人規模の集会を開催し、『大企業は内部留保を社会的に還元しろ』の世論を広げるために奮闘していく」と決意を述べました。
全労連の国吉事務局員が「2014年・春闘闘争宣言(案)」を読み上げ、最後に経団連に向け「大企業は内部留保をはき出せ」「賃上げと雇用、中小下請にまわせ」と力強くシュプレヒコールを唱和し、行動を締めくくりました。