労働界が一体となって反対していた派遣法の大改悪法案が6月19日、衆議院厚生労働委員会で採決が強行され、その後本会議に緊急上程され可決されました。労働者・国民に危険な内容が知らされず、審議も不十分でありこのような暴挙は断じて許されません。
「派遣法案の採決強行反対」「派遣法案は廃案にしろ」―委員会終了直後、時折強い雨が吹き付けるなか採決強行に抗議し、全労連、全労協、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)などでつくる「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」や派遣切り裁判でたたかう仲間など200人が結集しました。全労連の井上事務局長は「委員長職権による委員会開催など、はじめから不正常な国会運営が行われ、まともに審議されず採決が強行されたことに抗議する。採決にあたり、党利党略で修正・改悪がされた。正社員ゼロ、生涯ハケンという雇用ルールの大改悪になることは明らかだ。参議院で廃案にむけて奮闘しよう」と呼びかけました。
派遣切り裁判でたたかう原告が次々と訴え。DNPファイン争議の橋場さんは「さいたま地裁判決は全面棄却だったが、職安法44条、労基法6条違反が認められた。7月13日から東京高裁でのたたかいが始まる。常用代替はダメであり、法案が通ることがそもそも間違い。派遣は派遣先企業の利益優先で、首切り自由で税でも優遇される。派遣先にもっと責任を持たせないといけない」と強調。ニコンとたたかう浜谷さんは「ニコンで5年半働き、直雇用になったが1回の契約で雇止めになってたたかっている。3年で雇止めとは労働者を無視していており許されない。派遣法案は廃案しかない」と訴えました。
小雨の中でも、チラシ入りティッシュが次々と受け取られ
演説に聴き入る人も
全労連・労働法制中央連絡会は19日夕、新宿駅西口で派遣法案の採決強行に抗議し宣伝を行いました。全労連・野村副議長、新婦人・小島中央常任委員、自由法曹団・鷲見弁護士、東京地評・松本副議長、生協労連・北口委員長、全労働・秋山副委員長、JMIU・三木書記長が次々と訴えました。しとしとと小雨が降り続く中での宣伝でしたが、チラシ入りのティッシュが次々と受け取られ、演説に聴き入る人も数多く見受けられました。
全労連・野村副議長は「衆議院厚生労働委員会での派遣法案の採決強行に強く抗議する。26業務で働いている人は3年経てばクビになる、法で一方的に働く権利が奪われてしまう。参議院でのたたかいにむけ、派遣だけでなくみんなの雇用の問題として反対の声を広げていこう」と呼びかけました。
新婦人・小島中央常任委員は「採決が強行されたことに抗議し、安倍首相、公明党・山口委員長あてに抗議文を送った。派遣法の改悪は働く人たちが知らないうちに通してしまおうという魂胆が見えみえだ。女性の活躍を言うのなら、正規で働くのがあたりまえの社会にしてほしい。廃案のために力を尽くそう」と訴えました。
自由法曹団の鷲見弁護士は「正社員を増やす改正と言うが真っ赤なウソだ。今までは、派遣先での直雇用、正社員への道があったがそれがなくなる。3年で無条件に首切り、大量の首切りが作り出される」と指摘。「7月2日に、自由法曹団、労働法制中央連絡会、全労連、東京地評で派遣労働者110番を行う。派遣労働者の声を国会に届けていく」と決意を語りました。
東京地評の松本副議長は、「法案が通れば、正社員ゼロ、派遣の首切り自由になる。派遣労働者の正社員への道が閉ざされ、不安定な職、不安定な収入という人たち日本中があふれることになる」と指摘。生協労連の北口委員長は「委員会を傍聴したが、安倍首相、塩崎厚労大臣、厚労省は質問に対しきちっと向き合わず、時間をやりすごしているという感じを受けた。委員会の国会運営もひどく、自民党が数の力で強行したことは許せない」と怒りの発言。全労働の秋山副委員長は「労働法が改悪されれば、監督官は取り締まりしたくてもできなくなる。労働法は改悪させてはならない」と強調。JMIUの三木書記長は、「そもそも労働者を他の事業者のもとで働かせてピンハネする派遣という働かせ方は、職安法で禁止されていた。それが規制緩和でどんどん広げられてきた。今度の改悪を許せば、正社員が派遣に置き換えられ、正規になるのはますます厳しくなる」と訴えました。
●全労連事務局長談話