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安倍「地方創生」は地方切り捨て
憲法をいかす地域の再生を考えるシンポジウム

写真 全労連は11月8日、東京都内で「憲法をいかす地域の再生を考えるシンポジウム」を開催し、全国から96人が参加しました。各地の取り組み経験を交流し、「地方創生」や「ローカル・アベノミクス」などと称しながら、実際には地方切り捨てをすすめる安倍政権と対決し、真の地域再生にむけた課題を考えるために開催されたものです。  

各地の実践と経験を交流
 シンポジウムは、全労連公務部会・民間部会が協力して準備をすすめ、4人の特別報告や3人のシンポジストによるパネルディスカッションを交えて、公務・民間の両面から問題点を掘り下げました。司会は日本医労連の三浦宜子書記長。
 主催あいさつで全労連の小田川義和議長は、「ローカル・アベノミクスとは、破綻したアベノミクスを地方にもひろげることがねらいだ。戦争法強行の国民批判をかわし、経済に目をむけさせるもので、明らかに来年夏の参議院選挙を意識している。苦しみの大元には安倍暴走政治が横たわっていることを忘れてはならない。安倍政権の退陣をもとめて、ノーの声を突きつけよう」と呼びかけました。
 その後の特別報告では、4人からそれぞれの実践と経験を交流しました。

◆自主経営タクシー会社が「地域の足」に
 〜自交総連山形・ハイヤーセンター支部の武田幸夫委員長
 人口減少がすすむ鶴岡市で、地域の生活と移動の自由を守りたいと、デマンドタクシーを2008年から運行を開始した。2005年に5市町村が合併して14万4000人の鶴岡市が誕生したが、1985年に鶴岡市の2社と藤島町の1社が合併し、労働組合の自主経営による(株)ハイヤーセンターを立ち上げた。乗合タクシーの実現までに紆余曲折のなか11年の歳月がかかったが、介護タクシーや通園バス、スクールバスなどを運行し、利用者や行政とも信頼関係を築き、公共輸送の責務を果たして30周年を迎えることができた。自主営業はきびしい道のりだが、組合員と地域の人たちの団結を力にすすんでいく。

◆地域最賃の改善を経営者にも訴える
 〜京都総評の梶川憲議長
 「大企業に頼らない地域」づくりをめざして、地域の経済団体や業者、自治体を訪問・懇談して、地域にお金を循環させるまちづくりが基本合意になってきている。「フトコロをあたためて地域も元気に」をスローガンに、地域循環型経済の起動力は賃金にあることを、地元企業や商店に訴えて、最賃改善にとりくんできた。地域最低賃金では審議会で中小企業対策に言及した意見書を全会一致で採択させた。公務員賃金をめぐっては、自治体の「給与制度の総合的見直し」に公務・民間が力を合わせてたたかい、賃下げを最小限に押しとどめてきた。地域循環型社会の起爆剤として、住宅改修助成制度や公契約条例など、自治体ができることは、今すぐやらせることが大事だ。

◆中小企業の6割が所得300万円未満 対策は急務だ
 〜全商連の勝部志郎常任理事
写真 2015年1〜3月におこなった75,000人の会員調査では、16,516人から回答があったが、2014年の所得は6割以上が300万円未満となっている。中小企業の主体は5人未満の小規模零細事業者であり、アンケートからもきびしい現状がみてとれる。中小企業対策の予算は不十分だが、安倍「地方創生」には予算がつぎ込まれている。住宅リフォーム助成制度は、現在628自治体が実施している。真の中小企業の支援を求めていきたい。

◆TPPで家族経営の農家は暮らしていけない
 〜全農協労連の舘野豊書記長
 規制改革会議の答申は、農業・農協を解体することにあり、郵政改革の次は農協改革だ。その裏には、郵貯・簡保と同様に信金90兆円、保険300兆円という農協の資産にねらいがある。TPPで家族的経営の農家はどうなるのか、米価は下がるばかりで暮らしていけない。やがて企業が農地を支配することになる。国会で農業・農協関連改革法案は通過したが、食の安全・安心を破壊する攻撃を許さない。TPP反対で一点共闘が広がっている。アベ農政改革を許さない共同を広げ、地域つぶしを許さない。

安倍流「富国強兵」型の国家づくりは許さない
 ひきつづくパネルディスカッションでは、自治労連の中川悟書記長をコーディネーターに、福岡・直鞍(ちょくあん)地区労連の津田久則議長、全労連の井上久事務局長、京都大学の岡田知弘教授をパネラーにむかえました。
 中川書記長が、自治労連は、「憲法をいかし、住民生活を守る」ことを任務に、全国各地で自治体首長との懇談を進める憲法キャラバンや地域での共同をすすめていると述べたうえで、「ローカル・アベノミクス」や「骨太方針」などが地域にもたらす問題点を明らかにし、それの対抗軸になる「憲法をいかす地域再生」にむけて、どのような取り組みが必要なのか、政策や運動のあり方について議論を深めたいと問題提起しました。

写真◇福岡県直方市で公契約審議会委員も務めている直鞍地区労連の津田議長(国公労連・国交労組九州建設支部)は、筑豊の石炭で栄えた町であり、公契約条例を全国で6番目に成立させ、2回目の条例改正の時期をむかえている。直方市の公契約の状況や審議会での審議状況に合わせて、県労連での公契約運動適正化に向けた運動を推進するなかで、地区労連や公務員労働組合が果たしてきた役割を報告しました。

◇全労連の井上久事務局長は、暮らしまもる課題でも“地域”を基礎に共同を広げようと、全労連が提起する「地域活性化大運動」と「社会的な賃金闘争」を位置づけていると発言。アベノミクスの誤りはもはや明らかになり、危機的な状況に陥っている。グローバル化の矛盾が集中する地域を基礎に、暮らしをまもる課題で大きな共同を広げることができるのではないか。大阪のダブル選挙にみられるように新自由主義と対峙していく。「地域活性化大運動」として、当面すべての労働者の賃金底上げと中小企業支援、社会的な賃金闘争として、最賃・公契約・公務員賃金の改善を地域総がかりで取り組むと報告しました。

◇京都大学の岡田知弘教授は、今の情勢は安倍流の「富国強兵」型の国家づくりの一環であり、究極の構造改革としてTPP・道州制という経済的背景があると報告しました。地域経済の持続的な発展のカギを握る中小企業・業者と地方自治体の役割は再投資できることが一番大事である。「小さくても輝く自治体」の取り組みから学んだ生活の向上、幸福度を上げることだと述べました。

地域から憲法をまもりいかす共同を広げよう
 特別報告とシンポジストからの発言をうけて、会場から自治労連、郵政ユニオン、日本医労連、全教、自由法曹団から発言がありました。
 最後に各シンポジストが、「福岡市は地方創生特区で東アジアの玄関口になるとしているが、TPPによる市場開放でどうなるのか危機感をもった。地域の問題として、地区労連・県労連でも考えていかなければならない」(津田)、「格差と貧困の根絶と憲法をまもりいかす取り組みを地方からすすめよう」(井上)、「多国籍企業化は日本の経済の発展とは逆のこと。安倍政権のやろうとしていることが害悪をともなってきている。医療・教育・福祉が地域で循環できるのか。地域での分析をすすめ対案を示すことが大事だ」(岡田)、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富。持続可能な地域づくりのためにあらためて地域に入ろう」(中川)と発言しました。
 最後に閉会あいさつで自治労連の猿橋均書記長は、「対抗軸ははっきりした。議論も深まった。憲法をまもりいかす公務・公共サービスの拡充をめざして、16春闘では公務単産で共同した取り組みの具体化をすすめている。地域からおおいに共同を広げよう」と呼びかけました。

 
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