2016年国民春闘最大のヤマ場となる3月16日の集中回答日、17日の全国統一行動日を控えた9日、全労連、国民春闘共闘委員会は、大幅な賃金引上げ・底上げ実現、労働法制の大改悪阻止、戦争法廃止などの要求を掲げ中央行動に取り組みました。
日比谷野外音楽堂での労働者総決起集会を中心に、厚生労働省前要求行動、国会議員要請、国会請願デモを実施。全労連の各部会、各単産も宣伝行動、省庁要請、院内集会など多彩な行動を展開しました。
16春闘勝利!労働者総決起集会〜「パートなめんな!」「うちら人間じゃけぇ!」〜
冷たい雨に傘の花が咲く日比谷野外音楽堂で労働者総決起集会が開催され、全国から2000人の仲間が結集しました。
主催者を代表して国民春闘共闘・小田川義和代表幹事(全労連議長)があいさつ。東日本大震災、原発事故から5年を迎えるなか国の復興予算削減や、原発事故被害者への賠償打ち切り、汚染地域への帰還政策、原発再稼動に強く抗議しました。また、戦争法廃止に向けて野党共闘を後押しする市民運動の強まりに「労働組合も傍観者であってはならない」と述べました。格差と貧困の改善に向けて「春闘でベアにこだわると同時に、賃金底上げ、均等待遇実現を重視し、非正規雇用労働者や若者をたたかいに組織しよう」と呼びかけました。
全労協の金澤壽(ひさし)議長が「春闘はアベノミクスのためではなく、私たちが安心して暮らし働くためのたたかい。大幅賃上げ、格差是正を勝ち取るためにともにたたかおう。そして安倍政権打倒の戦線をつくりあげよう」と連帯あいさつを行いました。日本共産党・高橋千鶴子衆議院議員の国会情勢報告の後、生協労連、全教、広島県労連、自交総連、日本医労連の仲間が決意表明を行いました。
大阪パルコープ労組・森尾由紀子さんは、「専門学校に進学したいという子どもに資金を用意することができずあきらめさせた」など非正規雇用、低賃金で貧困に苦しむ労働者の悲鳴を紹介。安倍首相の「パートで月収25万円」という言葉に私たちパート労働者は絶句し、怒りは頂点に達した。『パートなめんな!』と突きつけ、最低賃金1500円の実現をめざす」と怒りの発言をしました。
全教の中村尚史(ひさし)副委員長は、最近20年間で子どもの貧困率が倍増したことに触れ、「アベノミクスによって家庭や地域の経済基盤が壊され、高学費や教育ローンとなっている奨学金が子どもたちの学ぶ権利を奪っている」と述べ、「学費無償化、給付制奨学金の確立にむけて全力をつくす」と決意表明しました。
広島県労連からはパート臨時委託労組連絡会・大内理枝会長など5人の仲間が発言。最低生計費試算調査で単身世帯年収254万円(時間額換算1400円)、母子世帯年収400万円、4人世帯では大学教育費を除き年収660万円という結果を紹介した。「好きな食事ができ、好きな服を買え、たまには旅行もしたい。若者には希望が必要だ。うちら人間じゃけん!憲法25条を実現させるためにたたかおう」と呼びかけました。
中央行動前日に白タク合法化阻止で、歴史上はじめてナショナルセンターの枠をこえたタクシー・ハイヤー労働者の総決起集会を成功させた自交総連・菊池和彦事務局次長は、「軽井沢スキーバス転落事故の原因は規制緩和にある。それなのに安倍政権は究極の規制緩和といえるライドシェア解禁を進めようとしている。違法な白タクであり、労働時間管理もアルコールチェックもなく、危険極まりない」と述べ、「安倍政権を倒さない限りタクシーの安心・安全は守れない」と力を込めました。
看護師の北海道医労連の松田加寿美(かすみ)さんは、人員不足で命を削り健康を犠牲にして働いている看護師の実態や、政府が全国で20%の病床削減を計画していることに、「春闘とともに政府に処遇改善を求める運動を進めることが重要。医療・介護難民をさらに増やすことになる。絶対に許す訳にはいかない」と力強く発言しました。
国民春闘共闘の森田稔代表幹事(東京春闘共闘代表)が「政府・財界は政治闘争と経済闘争が結合することを恐れている。大幅賃上げの旗を高く掲げ、政治闘争との相乗効果で2016年国民春闘勝利にむけて全力をあげよう」と閉会あいさつし、団結ガンバローで集会を締めくくりました。
国会請願デモを行った後、「戦争法廃止、長時間労働の抑制と良質な雇用の確立」を求めて議員要請行動を実施しました。
厚生労働省前要求行動〜頑張れば前進つくれる情勢〜
労働者総決起集会に先駆け厚生労働省前要求行動を実施しました。
国民春闘共闘・大谷充代表幹事(出版労連委員長)が主催者あいさつ。中央社保協の山口一秀事務局長が連帯あいさつし、医療・介護総合法、医療保険制度関連法の成立で制度改悪が進んでいることを指摘。「地域活性化、国民の命・暮らしを守るために共同を広げていこう」と訴えました。
国民春闘共闘・井上久事務局長(全労連事務局長)が情勢報告を行い、賃上げを求める世論が広がり、戦争する国づくりに抗するたたかいの中で、野党5党が戦争法廃止、安倍政権打倒、国政選挙での協力を合意するなど、「頑張ればこれまでにない前進をつくることができる春闘だ」と述べました。そのうえで、「賃金を上げ、最低賃金いますぐ1000円の実現、全国一律最賃制確立、人間らしい暮らしができ賃金にしろという声を徹底して強めよう。戦争法廃止2000万署名を徹底してやり切り、春闘を安倍政権打倒のたたかいに発展させよう」と呼びかけました。国公労連、全労連・全国一般、建交労の代表が決意表明しました。
公園清掃で働く89歳になる建交労広島県本部の廣木昭代副委員長の訴え――――――
厚労大臣に一言いたいので上京した。歴代の自民党は社会保障費を削減して軍事費を増やし続けている。特に、小泉首相のときに社会保障費を毎年2200億円ずつ減らし、安倍首相は毎年3000億円から5000億円を削ろうとしている。年よりはもう後がない。腹がたってしょうがない。
憲法27条には「すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負う」とある。ならば国は失業者や求職者、若者から高齢者にいたるまで、きちんと働ける仕事をつくりなさい。
軍事費に5兆円まわす予算があるなら、その財源を社会保障にまわせばいい。いっぱい内部留保をため込んでいる大企業から法人税をたっぷり支払ってもらえばいい。貧乏人から税金をふんだくる前に、お金持ちから税金をとったらいいじゃないですか。私も財産があったらあげます。
建交労は一貫して失業と貧乏と戦争に反対してきた。安定した雇用で働いて、暮らしも豊かに、そして平和な日本で生きつづけたい。
戦争法はきっぱり廃止させましょう。絶対に戦争はしちゃいけん。戦争を体験し、終戦のときはかわいい19歳の乙女だった。来る選挙では、口先だけ良いことをいうんじゃなく、本当に国民の命と暮らしをまもる政治家をたくさん国会に送りましょう。
100歳まで一緒に世直し運動つづける。みなさんも健康で長生きしてがんばりましょう。