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2016年度労働法制中央連絡会総会を開催
安倍「働き方改革」はまやかし だまれてはいけない!
労基法改悪法案は廃案に 労働法制改悪を阻止するたたかい大きく

 労働法制中央連絡会は10月15日、2016年度総会を全労連会館2階ホールで開催ました。安倍首相は「働き方改革」で労働時間上限規制、同一労働同一賃金など労働者のための施策を実行するかのようにマスコミも活用しアピールしていますが、検討されている内容をみれば、わずかな改善で大改悪をごまかしていることは明白です。安倍政権は、一貫して「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりを目指し、労働法制を「岩盤規制」とみて破壊しようとしています。こうした情勢のもと、中央連絡会の1年間の活動を総括し、労働法制改悪を阻止するためたたかっていくことを確認する総会となりました。

写真 開会あいさつを荒井代表委員(自由法曹団団長)が行いました。「電通で、また過労死が起こり労災認定された。そして、労働局と労基署が立ち入り調査に入った。過労死ラインの80時間より長い100時間を超える時間外労働だった。前の事件から20年以上が経っているのに長時間労働の状況は変わっていない。政府はホワイトカラーエグゼンプションの労基法改悪法案を国会に出しているが、法案を取り下げて、長時間労働を根本的に見直す必要がある」と指摘しました。

写真 総会に先立ち、「雇用の結果と『働き方改革』をめぐる対抗」と題し金沢大学名誉教授の伍賀一道教授が講演しました。はじめに、雇用と働き方がどうなってきたか、統計を活用して過去から現在までを分析。雇用構造については、この15年間で正規は543万人減り、非正規は784万人増え、女性の非正規率は6割弱となったが、正社員の減少は男性で、業種では製造業や建設業で顕著であること、一方、女性では福祉・介護分野の正社員が増えているが低賃金が多いことが紹介されました。賃金については、男女ともに最近では年功賃金カーブに乗れない低賃金正社員が増えており、長期雇用も崩れてきていること。さらに非正規はかつての「主婦パート、若年フリーター」から、「単身化、中・高齢化」が進み、生活苦が広がっており、老親の年金・非正規収入に頼る中年非正規層も増えつつあること、「最賃1500円の支持が広がる背景にはこうした構造変化がある」と説明されました。
 さらに、安倍政権が人材ビジネスをテコに雇用流動化を推進していると指摘。労働移動支援助成金を活用したリストラを人材ビジネスが企業に指南していることや、ハローワークの求人情報が人材ビジネスに提供されるようになり、企業が正規で出した求人に対し、人材ビジネスが『派遣で試してみては』と営業をかけるなどが起こっている問題に言及されました。
 「一億総活躍プラン」、「働き方改革」については、「安倍首相は同一労働同一賃金、長時間労働の是正、高齢者女性の就労促進、非正規という言葉をこの国から一掃すると聞こえの良いことを言っているが、これまでの『雇用制度改革』はそのままに『働き方改革』という『衣』をかぶせても、企業の利益最優先政策の中身に変更はない。『衣』に目を奪われると中身が見えなくなる。私たちの要求を整理してたたかっていくことが重要」と指摘しました。また、「働き方の未来2035」で「時間や空間に縛られない働き方に」「兼業や副業は当たり前に」と書かれていることを紹介し、「これは個人事業主化へ誘導するものと考えられる。労基法改悪での高度プロフェッショナル制度の行き着く先は個人事業主化ではないか」と、提起しました。

写真 講演の後、総会の議事へと移りました。主催者あいさつを小越代表委員(労働総研代表理事)が行いました。「安倍首相は労働時間の上限規制、同一労働同一賃金など労働組合が言ってきたことを打ち出しているが、派遣法の大改悪を強行し、残業代ゼロ・定額働かせ放題の労基法改悪、解雇の金銭解決制度を推し進めようとしている。悪法を打ち破る実りある議論をお願いする」と呼びかけました。

 議案提案を伊藤事務局長(全労連・常任幹事)が提起。はじめに「安倍首相は『働き方改革』をスピーディーに進めるためとして、働き方改革担当大臣を設け官邸主導で進めている。働き方改革は、労働条件のわずかな底上げを講じてみせつつ、全体としては雇用・労働条件の大幅な劣化につながる猛毒が仕込まれている。安倍政権は一貫して『世界で一番企業が活躍しやすい国』づくりをめざしている」と指摘。働き方改革実現会議があげている9つのテーマのそれぞれについて、実際に検討会や審議会で議論されている内容のひどさについて指摘し、さらにそれらを、労働者代表との協議を軽視して進めている問題を指摘しました。
 取り組みの重点として、安倍「働き方改革」の欺瞞性を暴き広く知らせること、労基法・労働時間法制改悪を止め規制強化を勝ち取ること、解雇の規制緩和を止めること、ブラック企業根絶・使用者のモラルハザード防止、派遣労働者・有期雇用労働者の処遇の改善、直接雇用・正社員化を進めるなどの取り組みや中央連絡会の組織運営の強化について提起しました。

 討論では8人が発言。DNPファイン二重偽装請負争議でたたかう原告の橋場さんは「さいたま地裁では職安法44条、労基法6条違反は認められたていたが、7月20日に最高裁で上告が棄却された。団交拒否で都労委に申し立てを行っている。非正規のたたかいを引き続きがんばっていく。ご支援を」と訴えました。
 自由法曹団の鷲見弁護士は「自由法曹団で安倍『働き方』で意見書を作成したので読んでほしい。働き方改革は、わずかな改善、大きなごまかしだ。いいこともあるけれど不十分なところがいっぱいあるが、利用しようという言い方は間違っている。本質をはっきりさせてどこで勝負するかだ」と強調しました。
 婦団連の柴田会長は女性団体でおこなったシンポジウムの内容を紹介しつつ、「一億総活躍社会、女性活躍と言うが、だれもが安心して働ける提案が必要。働き方改革と言うのなら、まず労基法を撤回してからだ」と訴えました。
 全労働の河村副委員長は「セルフキャリアドックという評価制度の導入が推奨されている。自社で行えば助成金が出るし、人材ビジネスを活用することもできる。キャリア診断をさせ、『あなたの価値はこんなものだ』と正社員の賃金下げに使われる危険性がある」と指摘しました。
 愛労連の知崎事務局長は、労働法制関係の学習会を系統的に実施していることを報告。「労働法制課題は労組が旗を振らないと進まないが、動きがにぶい面がある」と指摘しました。「最賃では、名古屋市、愛知県が11月議会で決議をあげる。攻撃の内容をわかりやすくして運動を進めたい」と発言。
 青森連絡会の小丹波学事務局次長は「働き方改革とのたたかい方は難しい。中央から地方への情報伝達が重要であり、迅速にホームページなどに載せてほしい。宣伝物についても検討してほしい」と要望が出されました。
 新婦人の小島中央常任委員は「会議で、『長時間労働是正、同一労働同一賃金と言うが、私たちの願いを取り上げているように装い、死ぬまで働けと言われているようだ』『地方の事業所が閉鎖され、東京への転勤か退職かを迫られ、東京に来て働いているが、残業代ゼロで寝る暇もない』『子育てができない、出張ができないからと役職を降りた』など女性労働者の実態が出された。子どもの話しをゆっくりと聞いてあげられること、普通に働くためには時短が大事。力を合わせ労基法改悪に反対したたかう」と決意を述べました。
長野県労連の野口事務局長は「安倍働き方改革の攻撃をピンチはチャンスととらえ、若い人たちに希望を与えられる、人権が守られる働き方を求めて前向きにがんばりましょう」と呼びかけました。
 伊藤事務局長のまとめを受け、方針と役員体制を拍手で承認。閉会あいさつを代表委員に選出された全労連の岩橋副議長が行いました。「安倍働き方改革はまやかし改革。最賃引き上げ、長時間労働規制、同一労働同一賃金を本当に実現させる立場で攻勢的にたたかっていこう。年明けに総選挙があると言われているが、安倍を退陣に追い込み、真の働き方改革を実現させよう」と訴えました。

 
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