1月20〜21日の2日間、全労連はオンラインによる第60回評議員会を開催した。17単産47地方の評議員、傍聴者を含め約200人が参加した。評議員会ではコロナ禍における21国民春闘だからこそ、賃金引き上げと底上げ、コロナ対策の拡充など求め、労働組合の役割発揮をめざした国民春闘方針案などを採択、決定した。また幹事退任に伴い、役員補充選挙もおこなわれた。
評議員会冒頭、小畑雅子議長が主催者あいさつ。1月18日からはじまった第204通常国会での、菅政権による後手で場当たり的なコロナ感染拡大対応を批判。そのうえで国民のいのちと暮らしを守る立場から検査体制の整備・拡充、逼迫する医療・公衆衛生体制の整備・拡充を指摘。そのうえで雇用や営業を守るため、持続化給付金や家賃支援給付金、雇調金特例制度の延長・拡充のため第3次補正予算案の大幅組み替えを求めた。
また、同19日に発表された経団連の「2021年版経営労働政策特別委員会報告」にふれ、いまこそ労働者・国民の苦難を軽減するため、溜め込んだ内部留保を中小零細企業の経営支援や労働者への賃上げに回すべきだと強調。コロナ禍で明らかになった新自由主義の破綻、労働者切り捨てによる財界優先の政策の誤りを正していくため、「格差なくし、8時間働けば誰もが人間らしくくらせる公正な社会へ転換をせまる」ことを高く掲げ、21国民春闘を元気にたたかいぬこうと訴えた。
また1月22日の核兵器禁止条約発効にふれ、国際政治の構造的な変化をしめすものであり、唯一の被爆国である日本政府に条約への署名・批准を求める運動を強めようと呼びかけた。
秋までには総選挙があるとして、21国民春闘をたたかいつつ、市民と野党共闘の発展で政権交代をめざしていくことも強調した。
要求でたたかってコロナ禍を克服職場・地域を活性化させよう
黒澤幸一事務局長が第1号議案「21年国民春闘方針案」「21年国民春闘賃金要求案」や附属文書「2020年秋季年末闘争の主なとりくみ経過」について提案。
21年国民春闘方針案では、コロナ禍の下、21国民春闘を通じて公正な社会への転換にむけ、「4つのつくる行動」(@賃金大幅引き上げ・底上げで、誰もが人間らしくくらせる「生活をつくる」、A安定雇用と労働時間規制で人間らしく「働くルールをつくる」、Bいのちがまもられ安心してくらせる「医療・社会保障と公共体制をつくる」、C改憲を阻止し、「憲法がいかされる社会をつくる」)と全体を貫く「3つのアプローチ」を提起した。また21国民春闘における「統一要求基準(案)」として、@賃上げ要求 月額25,000円以上、時間額150円以上、A産業内・企業内最低賃金要求(案) 時間額1,500円以上、B全国一律最低賃金要求(案) 1,500円、を提案した。
歴史の転換点、労働組合が輝く21国民春闘に
討論では、コロナ感染拡大に伴い、「多くの職場で労組の働きかけでコロナ慰労金や手当を獲得」(全労連・全国一般)の事例。医療・介護現場の実態を訴えるなかで、「『いのち守る署名』項目内容が国民の共感を呼び大きな広がっている」(日本医労連)などが報告された。最賃闘争では「県議会で最低賃金に関する意見書を全会一致で採択」(福岡)、「春闘学習会に自民党最賃議連事務局長の務台俊介議員を呼び、現状認識や実現の方向について共有できた。」(愛知)など全国一律最賃制実現への大きな前進が語られた。
また「父母・保護者、市民レベルからの全国的なとりくみで40年ぶりに35人学級を実現」(全教)、「42年ぶりに399人の定員増」(国公労連)などコロナ禍での教育や公務公共サービス拡充の前進も報告された。
東北の被災3県からは東日本大震災から10年を迎え、進まぬ人間復興の現状について報告。国の責任による生業と被災者への支援、「原発ゼロ基本法案」の審議、早期成立を訴えた。
討論のまとめ
2日間にわたる討論を受けて、黒澤事務局長が「討論のまとめ」をおこなった。
黒澤氏はコロナ禍でも労働組合に団結するころでコロナの事態を克服することができるという確信に満ちた討論だった。そのうえで、@いのちを守る、くらしと雇用を守る21国民春闘に、Aコロナ禍、要求でたたかって克服する、そして職場や地域を活性化させていく取り組みに全力をあげる、Bいま歴史の転換点にあり、全労連、労働組合が輝く21国民春闘にし、春闘前段から夏季闘争にむけて継続的なたたかいの重要性を強調した。
・21国民春闘方針(PDF884KB)
・評議員会アピール(PDF13KB)