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2024年度政府予算案の策定に対する財務大臣要請

 「軍事費削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会は12月14日、来年度予算編成中の財務省に対して、物価高騰対策としての消費税減税、全国一律最賃1,500円など、社会保障の拡充、くらし、雇用など国民生活優先の2024年度予算編成を求めて申し入れをおこないました。
 参加者を代表して全商連の太田義郎会長が鈴木俊一財務大臣に要請書を手交し、各団体代表からも、8要請項目(末尾に記載、重点項目として「別紙」下線部分)に沿って申し入れをおこないました。
 全商連の太田会長は、「国民生活に一番影響し景気回復に繋がるのは、なんといっても消費税の引き下げだ。所得の低い人から税金をとるインボイス制度の中止とともに、ぜひ予算編成に反映していただきたい」と要請しました。
 引き続き、全日本民医連の岸本啓介事務局長をはじめ、全生連の前田美津恵副会長、全労連の黒澤幸一事務局長、新婦人の西川香子副会長、民青同盟の酒巻眞世副委員長、農民連の笹渡義夫副会長が具体的要求について要請をおこないました。
 これに対し大臣からは、いくつかの要請項目に対して政府の考え方を述べるとともに「皆さま方と違うところはあるが、物価高騰対策や国民生活を守るというところは共通した思いはある。診療報酬の話もあったが、賃上げは重要な課題でその必要性は感じている。また、中小規模事業者の資金繰り対策も、金融機関に対して事業者の立場に立ってやっていくよう要請している。きょう申し入れていただいたことは、財務省の関係する課にそれぞれ伝えていく」と応じました。
 なお、要請には日本共産党の小池晃 参議院財政金融委員、田村貴昭 衆議院財務金融委員、同秘書らが同席しました。

 

財務大臣 鈴木 俊一 殿

2023年12月14日
「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」
国民大運動実行委員会

代表世話人 全国労働組合総連合議長       小畑  雅子
同   全国商工団体連合会会長       太田  義郎
同   農民運動全国連合会会長       長谷川 敏郎
同   新日本婦人の会会長           米山  淳子
同   全国生活と健康を守る会連合会会長    吉田  松雄
同   全日本民主医療機関連合会事務局長  岸本  啓介
同   日本民主青年同盟委員長       西川  龍平

2024年度政府予算案の編成に対する申し入れ

 2024年度政府予算案の編成にむけて、大詰めの作業がすすめられているものと承知します。
 昨年からのエネルギー価格や原材料の高騰は食料品や日用品などの値上げに波及し、国民生活を直撃しています。日銀生活意識調査でも9割が「物価が上がった」と回答、1年前に比べ「ゆとりがなくなってきた」と感じる人が57.4%にのぼり、2010年3月調査以来の12年9か月ぶりの高い水準です。また、日本の企業の9割を占め、日本経済を支える中小企業の経営状況も厳しい状況です。10月に発表した帝国データバンクの調査では、企業倒産数が17か月連続で前年同月を上回り、コロナ禍前の2019年以来の高い水準となりました。こうした背景には、「ゼロゼロ融資」返済の本格化や物価高騰による収益悪化があります。
 このような中小企業倒産の増加や困窮する国民生活の一方で、大企業は9期連続の設備投資増、内部留保額は554兆円(金融、保険をのぞく)と前年から7.4%増となり、11年連続で過去最高を更新しています。まさに、「大企業栄えて、中小・民滅ぶ」という事態です。
 また、23年春闘では30年ぶりの賃上げとなりましたが、異常な物価高には及ばず、実質賃金は10月段階で18カ月連続マイナスとなっています。23年版労働経済白書は、「最低賃金1%引き上がると時給が低いパート労働者の賃金が0.8%上昇」と指摘、最賃引き上げがパート労働者の賃金底上げに影響が大きいことを改めて明らかにしました。全労働者の4割は非正規労働者であり、その多くが女性です。低賃金状態にある非正規労働者の賃金底上げや処遇改善による差別是正は喫緊の課題です。
 さらに、社会保障を見ても年金保険料は1990年時に月8,400円だったものが、2020年には1万6,540円に倍化、健保本人の外来医療費が90年の1割負担が3割負担に、年金支給額に至っては2013年〜23年度で実質7.3%減額となっています。先進国で唯一の賃金マイナス状態にあり、社会保障の負担増、給付減が追い打ちをかけています。
 政府は8月下旬に「新しい資本主義実現会議」で2030年代半ばまでの「最賃1,500円」実現を打ち出しましたが、労働者全体の賃上げ・底上げのためには早期に実現することが喫緊の課題になっています。
 私たち「軍事費を削って」国民大運動実行委員会は、80年8月の結成以来、「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実」を基本要求に掲げ、その実現にむけて取り組んでまいりました。
 こうした点をふまえ、深刻な個人消費低迷打開にむけて、世界100以上の国・地域で実施している付加価値税=消費税の5%への減税と10月導入のインボイス制度の即時撤回、大企業優遇税制や金融課税など不公平税制の是正、所得再配分策を講じることが必要だと思います。
 貴職におかれましては、安定した雇用と社会保障の拡充など国民生活を第一に考えた2024年度予算編成を求め、政府予算策定にあたり下記の要求を申し入れます。

2024年度政府予算案に対する重点要請項目

  1. 軍事費の2倍化をやめ、くらし・営業・雇用など国民生活優先の予算組み替えをおこなうこと。また殺傷能力を持つ武器の輸出に対する緩和をおこなわないこと。
     その財源として大企業・富裕層への優遇税制をただし、応分の負担を求める税制改革、不要不急予算の削減をおこなうこと。
  2. 消費税減税をはじめインボイス制度の廃止、賃上げ・底上げによる個人消費拡大、日本経済の回復をはかること。
  3. 返済期を迎えている「ゼロゼロ融資」を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられる措置を講じること。また原材料費やエネルギー高騰に対し、中小企業の価格転嫁対策を講じること。
  4. 小口緊急融資の返済猶予・救済措置をおこなうこと。
  5. 国民のいのちと生活を守り、ケア労働者の処遇を改善するため、24年診療報酬・介護報酬改定率を大幅に引き上げること。新型コロナウイルス感染症によるクラスターなどで、今もコロナ前からの減収や患者・利用者減が続いている医療機関・介護事業所に対する対応支援資金の融資について、返済猶予・救済措置をおこなうこと。
  6. 自治体による全学校、公共施設への生理用品の無料配布にむけた予算を講じること。
  7. 地域医療の統廃合・再編反対、ケア労働者の処遇改善を含む医療・介護・福祉提供体制、公衆衛生体制の拡充をはかること。
  8. 後期高齢者の医療費窓口2割負担の廃止、介護保険制度の拡充、生活保護基準引き下げを元に戻し物価高騰に見合った支給水準に引き上げること。
  9. 「マクロ経済スライド」を廃止し、物価上昇に対応した「増える年金」への改革、「頼れる年金」制度への改革と持続可能な年金財政の確立をおこなうこと。
  10. 健康保険証の廃止、マイナ保険証への「一本化」を中止すること。
  11. 中小企業の賃上げへの直接支援策を抜本的に強化し、早期に「全国一律最賃1,500円」の実現をはかること。
  12. 「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書による労働法制の規制緩和でなく、労働保護法制の強化をはかること。
  13. 教員の長時間労働是正にむけた教職員増と少人数学級の実現。国の責任で学校給食費の無償化をはかること。
  14. 高等教育の無償化にむけて、大学・専門学校の授業料引下げ、入学金の廃止、給付制中心の奨学金制度に改善すること。奨学金返済の猶予措置を拡充するとともに、返済中の奨学金について減額すること。
  15. 食料自給率の向上を国政の基本目標とし、早急に自給率50%実現にむけて施策を講じること。 
  16. 飼料、肥料、資材、燃油高騰補填にむけた緊急対策を講じること。
    価格保障・所得補償の充実をはじめ農業、酪農、畜産、漁業への支援を抜本的に強化すること。

以 上

 
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