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相談の事例に基づくQ&A

<雇用、賃金等に関する相談>

雇用について

ホームヘルパーの雇用はどうなっていますか。
2004年8月27日に厚生労働省労働基準局長が、介護保険で働くホームヘルパーは労働者であり、労働基準法を適用するようにとの通達を出しています。したがって、雇用に当たっては労働基準法やパート労働法に基づいて雇用契約を結ばなければなりません。しかし、多くのヘルパーは、直行直帰の登録型雇用で働いており、パート、登録、非常勤、有償ボランティア、アルバイトなどと呼ばれ、いまだに無権利な非正規労働者となっています。

移動時間、記録時間について

移動時間や記録時間は、賃金としてもらえますか。
2001年4月の厚生労働省の通達で、移動時間、記録時間を労働時間としてみるよう通達がでています。また、事業所の指揮命令下にあるときは、労働時間として見なければなりません。従って、移動時間や記録時間は賃金として要求できます。…資料1参照

就業規則について

登録ヘルパーでも就業規則はありますか。
10名以上雇用している事業所は就業規則を作成が義務付けられています。したがって、事業所は、登録ヘルパーに関する就業規則を作成しなければなりません。
同時に、事業所に、ヘルパーがいつでも見られるよう就業規則を掲示しておくことが義務となっています。ですから、いつでも、事業所に就業規則の説明や提示を要求できます。
さらに、雇用契約書は書面で手交することが義務付けられています。雇用契約を結ぶ際は必ず契約書を書面で交付してもらいましょう。

有給休暇について

登録ヘルパーでも年次有給休暇はありますか。
労働基準法で有給休暇は保障されています。対象期間中に平均週1日勤務する方でも、年1回年休が発生します。

実費支給について

通勤交通費や被服の支給を事業者に要求できますか。
通勤交通費やユニホーム、自転車の修理(自分の自転車で訪問しているとき)、自動車(自分の車で訪問しているとき)の燃料費については、事業者に要求する権利があります。

休日勤務、時間外労働、深夜労働時の勤務したときの割増

休日や深夜、早朝、夜間時に訪問したとき、賃金の割増は要求できますか。
介護報酬で、早朝や夜間の訪問に25%,深夜訪問に50%割増があります。また、労働基準法で残業割高は25%、休El出勤は35%、深夜割高は25%、但し、8時間以上で深夜の場合は50%の割増が義務付けられています。したがって、休日勤務、深夜勤務、早朝や夜間勤務をしたときは割増を要求できます。
なお、介護報酬の割増時間帯は、早朝は午前6時から8時、夜間は午後6時から10時、深夜は午後10時から翌朝6時となっています。

事業所の主催する研修会、職場会議に参加したときの賃金保障

業務で研修会やカンファレンス、または職場会議などに参加したときは、賃金や手当てを要求できますか。
事業者の業務命令で研修会やカンファレンス、職場会議などに参加したときは、賃金や手当てを要求できます。

待機時間について

事業所で待機していたときの賃金は要求できますか。
事業所で次の訪問に行くために待機、公園で待機など、自由利用ができないときは、事業所の指揮監督下にあるために、賃金の請求ができます。

キャンセル時の賃金保障

利用者の急なキャンセルによって仕事がなくなったときの賃金保障できますか。
2005年8月27日の厚生労働省基準局通達では「労働日及びその勤務時間帯が、月ごと等の勤務表により訪問介護労働者に示され、特定された後に、利用者のキャンセルが入り、休業させなければならなくなったときには、休業手当としてその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」とされています。厚生労働省の外郭団体である介護労働安定センターでも、キャンセル時の賃金補償について、休業補償として60%保障すべきとの考え方を示しています。

社会保険への加入

登録ヘルパーでも、社会保険や雇用保険に入れるでしょうか。
週30時間以上で社会保険に、週20時間以上で雇用保険に加入できます。ですから、移動時間、記録時間、研修、職場会議などを所定労働時間とすることが必要です。

通勤災害と労働災害の保障

通勤災害や労働災害時には、労災保険が受けられるでしょうか。
事業所は、労災保険に加入しなければなりません。したがって、通勤災害や労働災害に遭ったときは、労災保険を受けることが出来ます。もし、事業所が労災保険に加入していないときは、すぐに加入するよう要求していく事が必要です。

健康診断について

登録ヘルパーで労働時間が少なくても、会社の健康診断を受けることができますか。
労働安全衛生法では、正規職員と正規職員の4分の3以上の労働時間働いている非正規職員は年1回の健康診断を義務づけています。また、厚生労働省は、正規職員の労働時間数の2分の1以上働いている方は、健康診断を受診できることが望ましいとの通達を出しています。したがって、対象から外れる方については、利用者の予防とヘルパーの健康を考えたとき、事業者に健康診断の実施を要求することは出来ます。

感染症対策について

訪問して利用者が結核に感染していることがわかった。事前に事業所やケアマネから連絡がなく、対策もとられていなかった。どうしたらよいのでしょうか。
利用者が感染症に感染していたとき、事業者はヘルパーに周知徹底を図ることが義務づけられています。また、必要な教育や感染症対策を作ることを要求していくことは絶対に必要です。同時に、感染症に感染したときは、事業所に医療費保障や休業補償を義務づけることが必要です。

訪問中の車の駐車について

訪問中に駐車違反でつかまった時には、事業所に罰金で支払った金額を要求できますか。
定期的に車(事業所の車、または自分の車で)で訪問する場合は、事業所が警察に必要な資料(警察においてあります)を提出し、警察署から駐車許可書をもらうようにしてください。許可書があれば駐車違反になることはありません。(警察の所轄によって違いますが、6ヶ月ごとに更新のところが多いです。詳しいことは、所轄の警察に聞いてください)。また、訪問中に万が一許可書がなくて捕まったときは、直ちに事業所に連絡をして対応を相談することは必要です。

<介護業務に関する相談>

ケアプラン以外の仕事を要請されたとき。

利用者にケアプラン以外の仕事を要求されたときはどうしたらよいでしょうか。(例えば、家族の方の洗濯や調理、庭仕事、簡単な修理、ペットの世話など)
制度的にはケアプラン以外の仕事を要請されたときは受ける義務はないとなっています。事業所かケアマネを通して利用者に介護保険の仕組みを話して、理解を求めることが必要です。しかし、介護保険適用にはなっていないが同居の家族もほとんど家事をできない状態であるなど、利用者が生活困難なケースについては行政の介護保険課や社会福祉協議会に相談してください。

医療行為について

家族がやっているからと、利用者から医療行為を要求されましたがどうしたらよいでしょうか。
たんの吸引については厚生労働省が一部認めていますが、それ以外の医療行為は医師法違反となります。医療行為をして、もし事故になったとき、責任はヘルパーや事業者が負うことになります。認められた医療行為であっても、ケアマネージャーや担当医と連絡を取り相談しながら行いましょう。また、緊急時のときは、かかりつけの医師や訪問看護婦に連絡が出来るようなシステムを作ることが必要であり、ないときは、事業者に要求することが必要でしょう。

教育・研修、事例検討会、ケアカンファレンス実施について

業事所に研修や教育の実施を要求できますか。
専門職としての身分保障の確立や、利用者の立場にたった質の高い介護サービスを提供するために、事例検討会、ケアカンファレンス、現任教育、入職後研修を行い介護技術のレベルアップが必要あり、事業所に教育や研修の実施を求めていきましょう。今回、医療改悪と合わせて、重度の要介護者を在宅へ移す動きが強まっています。より高い技術を持ったホームヘルパーはこれからますます必要とされてきます。

セクハラについて

セクハラにあったときはどうしたらよいでしょうか。(または、セクハラにあったが)
ヘルパーは他の職所と違い、勤務形態が一対一になるために、利用者またはその家族(特に結婚しない40代から50代の男性)からセクハラに会う機会が多いので、セクハラにあったら毅然として対応することが重要です。同時に、必ず事業所やケアマネに報告しましょう。

<介護サービスに関する相談>

利用者とトラブルにあったときや、またヘルプサービスに関する相談はどこにもって行ったら良いのでしょうか。
第一に事業所またはケアマネに相談することです。もし、事業所やケアマネで対応できなかったら、行政の介護保険課に相談しましょう。しかし、事業者の相談も含めて、行政で対応しないときがあるので、行政に相談窓口の設置を要望していくことも必要でしょう。

<お金のあつかいに関する相談>

利用者と間でお金に関するトラブルがありましたがどうしたら良いのでしょうか。

ヘルパーの方は、日常的に訪問しているので、利用者から個人的にお金を預かって欲しいと言われることがありますが、絶対に預かることはしないで下さい。どんなに親しい関係でも、トラブルの原因になりますので。
また、訪問時に利用者や家族から「お金を盗まれた」と言われた事例がありますが、必ず自分の考えで判断するのでなく、事業所に連絡して対応してください。(業務に関する相談は、大変難しいケースもあります。そのために、対応が難しいと判断したら、事業所やケアマネ、または自治体の介護保険課に話すように伝えてください。)

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Last modified: Tue Aug 3 09:14:58 JST 1976