憲法改悪反対共同センター

団体・地方代表者会議問題提起

06年4月23日
全労連会館内全日本民医連会議室

改憲につながる国民投票法案を断じて許さず、国民との対話を深め、06年末までに有権者過半数署名の達成めざし、共同センターはその先頭に立とう。

【I】緊急全国団体・地方代表者会議開催の目的

第164回通常国会後半において、改憲につながる国民投票法案をめぐる情勢はきわめて緊迫したものとなっている。
同時に改憲の具体化に不可欠な「戦争をする国」への「人づくり」のための教育基本法の改悪もまた緊迫している。
本会議の第1の目的は、国民投票法案や教育基本法改悪の反動的本質を学習するとともに、緊迫した情勢を正確につかみ、国民との矛盾、改憲勢力内部の矛盾を見据え、今後の闘いの展望と取り組みの具体化を計ることである。
第2に、国民投票法案上程を許さない闘いとともに、5.27国民大行動の成功、さらに5月末までに新たに300万の署名達成など、当面の取り組み推進にむけた意思統一を勝ち取ることである。
第3に、06年末までに、有権者過半数署名達成に向けて国民的総決起をどう作り上げていくのか。そのためにも、すべての自治体を網羅する地域の共同センターをどのように確立し、いかに強化するのか。この闘いにおける共同センターの果たすべき役割を明らかにすること。
第4に、改憲につながる国民投票法案や教育基本法改悪をめぐる緊迫した今日の情勢への緊急の対応についての意思統一を行なうこと。
以上4点が本代表者会議の目的である。

【II】国民投票法案、教育基本法改悪をめぐる情勢

(1) 改憲につながる国民投票法案をめぐる情勢

1、 衆院憲法調査特別委員会

3月30日、衆院憲法調査会理事懇談会が開催される。国民投票法制に関する論点協議を行う同協議会開催は、はじめて。

事務局作成の「論点整理一覧表」配布論点一覧表の案を各党持ち帰る。

4月19日、各党が提出した国民投票法制に関する「論点メモ」を踏まえ各党意見表明。

共産党は「論点メモ」の提出拒否、改憲につながる国民投票法案の本質を厳しく批判、そのうえで「調査」が特別委員会の本来任務から逸脱していると指摘。

論点整理は当初3月16日開始の予定だったが、二回見送られた。

「論点整理一覧表」の主な内容

(学習会レジメ参照)

2、国民投票法案自民党骨子案了承

自民党憲法調査会は,4月12日国民投票法案骨子案了承4月18日、自民、公明党は、与党協議会を開催し自民党案を与党骨子案として了承。

骨子案は、国民投票制度に加え、国会での憲法改正発議の手続きを整える国会法改正を含むものとなっている。

(2)教育基本法をめぐる情勢

自民・公明の与党検討委員会は12日「愛国心」で合意

「伝統と文化を尊重し、それをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」で合意

13日与党協議会が開かれ、検討会の合意を了承したうえ小泉首相に報告

与党検討委員会 03年5月以降 69回開催

安倍官房長官、2月、ライブドア堀江社長逮捕されたことについて

「やっぱり教育の結果」とし「教育基本法は改正しなければならない。」「国を愛する心を涵養する教育をしっかり書き込んでいただきたい。」と語った。

公明党
創価学会の牧口常三郎・初代、戸田城聖・二代会長
不敬罪と治安維持法で逮捕。牧口氏獄死

自民党「国を愛する心」
公明 「国を大切にする心」

今国会成立は不透明(毎日4月18日)

11日自民党会議

「公明は、我々の足元を見透かしているのではないか」との不満

安倍晋三官房長官「(家族や国家を)守るために自分は闘うという覚悟」を取り戻すこと必要(「自由民主」05年1月4,11日合併号)

同日中に与党協議会(自公両党の幹事長、政調会長、国対委員長)で今後の取り扱い決定

改正案提出 早くても5月の連休前後

今国会で成立させるには、6月18日までの会期を延長することが不可欠。

延長するかどうかは、政局判断

首相12日 改正案提出の見通し問われ
「国会の状況を見ながら、判断しなければならない。」
首相17日夜、教育基本法案の提出時期について改めて慎重な考えを示した。

4月19日自民・民主などでつくる日本会議国会議員懇談会と教育基本法改正促進委員会は、与党協議会がまとめた案の修正を求める署名活動を自民党の国会議員中心に行うことを決めた。
公明神崎代表,今国会での成立求める。日本会議国会議員懇談会の動きに「自分たちだけで法案を通せるというのであれば、どうぞご自由に」と不快表明。

【L】世論の動向

(1)NHK世論調査(3月)

国民投票法案

「良く知っている」 3%
「ある程度知っている」 24%
「あまり知らない」 48%
「全く知らない」 18%

「よく知っている」「有る程度知っている」の人に

「早く成立させるべき」 23%
「時間をかけて議論すべき」 60%
「改正すべきでない」 16%

教育基本法改正

改正案の成立時期(72%の改正すべきと答えた人の中で)

「早く成立すべき」 21%
「時間をかけて議論すべき」 76%

(2)読売世論調査(4月4日)

今の憲法を改正する方が良いと思いますか。改正しない方がよいと思いますか

改正する方がよい 55.5%(昨年対比−5.1%)
改正しない方がよい 32.2%(昨年対比+5.1%)

一般論としても「改憲をしない方がよい」が少しづつ増え始めている。
運動の前進が、世論を確実に変え始めている。

今後9条をどうすればよいか?

「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する 39%(昨年調査比−5%)
「これまで通り、解釈や運用で対応する」 33%(昨年調査比+5%)
「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」 (21%昨年調査+3%)
「9条改正反対」は54%

9条については、憲法全体についての傾向よりも「改正すべきでない」の増加幅が大きくなっている。「9条を改正した方が良い」が5%減り、「改正しない方がよい」が合計8ポイント増えた。

憲法で強調すべき理念や考えについて

憲法で強調すべき理念や考えを三つ選べ ( )は05年

「平和の大切さ」 67,7% (67.9%)
「自然や環境の促進」 40.3% (39.4%)
「伝統や歴史の重視」 29.2% (20.9%)
「国際社会への貢献論」 26.3% (28.1%)

「平和の大切さ」を毎年多数の国民が選択していることは、運動の可能性、条件にとってきわめて重要。

いっぽう「伝統や歴史の重視」が05年にくらべ06年が、10ポイントほど上がっているのは、教育基本法改悪を意図したマスコミのキャンペーンが一定国民に影響を与えていることを示している。

(3)産経(4月11日)

国民投票法案は今国会で成立させるべきか

成立させるべきだと思う 38.1%
成立させるべきだと思わない 36.1%
わからない、どちらとも言えない 25.5%

(4)NHK世論調査(4月11日)

憲法を改正する必要があるか

改正する必要がある 42%(昨年比−20%)
改正する必要はない 19%(昨年比+2%)
どちらとも言えない 32%

9条について

改正する必要がある 24%(昨年比−15.4%)
改正する必要はない 39%(昨年と同じ)
どちらとも言えない 28%

沖縄海兵隊グァム移転費用

全額日本が負担すべき 1%
アメリカより日本がおおく負担すべき 5%
半分ずつ負担すべき 32%
日本よりアメリカが多く負担すべき 32%
全額アメリカが負担すべき 19%

(5)世論調査が示すもの

NHK3月世論調査でも明らかなように改憲につながる国民投票法案について、「良く知っている」「比較的知っている」人の合計は、27%に過ぎない。

産経4月11日世論調査は国民投票法案への賛否は拮抗している。

産経世論調査でも25.5%の人が「わからない」と答えている。この人々を対話を通じて改憲反対の立場に立ってもらえれば改憲は阻止できる。

圧倒的多数の国民が、投票法案の内容を知らないのが現状。

⇒国民投票法案の本質が自民党新憲法草案のような反動的な憲法改悪につながるものであることを、権力やマスコミより、いかに早く国民に伝えるかがカギ。

国民投票法案にしても、教育基本法にしても、内容を知っている人の中でも75%以上の人が、慎重審議が必要と答えている。

⇒慎重審議を求めている国民にどれだけ広く、早く二つの法案の反動性をあきらかにするとともに、岩国の住民投票の経験にも学び、法案をめぐる扱いの民主的プロセスの重要性の指摘も重要。

読売4月4日世論調査では、改憲支持−5.1% 改憲反対+5.1%

9条改正支持−5%、9条解釈改憲及び9条改正反対+8%

NHK4月11日世論調査

改憲必要−20%、9条改正必要−15.4%

⇒これらの数字は、この間の運動が確実に世論を変え始めていることを示している。このことに確信を持つとともに、いかなる策動を改憲勢力が行おうとも、微動だにしない世論を急速につくりあげることが強く求められている。

【IV】共同センターの運動の到達点

各県のとりくみの努力によって共同センターは、ほぼ全県に結成され、全国的ネットワークの役割を果たすことができることとなった。
この間、地方ごとの全県活動経験交流集会が、積極的に開催された。この交流会が、地域の運動を活性化する上で極めて大きな役割を果たしてきた。(大阪、新潟、東京、秋田、神奈川、兵庫、岡山、福岡など)
また、全県的交流集会を通じて、地域の共同センターの確立が力強く前進を開始した。
多くの都道府県で数千人規模の講演会を成功させてきている。この講演会成功に「九条の会」とともに地方の共同センターが大きな役割を果たしている。また、地方にとどまらず、最近では地域レベルでも千人規模の講演会が成功し始めている。(神奈川、秦野1500人)

草の根レベルでの運動では、地域単位から、丁目、小学校区単位までの組織が積極的に作られ始めている。(京都、大阪堺・羽曳野、名古屋市、長野市、東京町田、小倉、南区西部地区、など)

この点については、全国的に大きな前進を見せてはいるものの、地方、地域間で大きな落差が生じている。

住民過半数署名は、高知・長野の先進地方で住民過半数を突破したところも生まれてはいるが、全体としては遅れた分野になっている。

しかし、大阪の共同センターが11月府民過半数署名を提起。堺はすでに住民一割に近づきつつある。高知・土佐清水市、長野市・徳間地域では有権者の過半数をすでに突破。

教訓として、(1)草の根の組織の確立、(2)何よりも徹底した対話活動、(3)週一回の宣伝・署名の「継続こそ力」などの点が指摘されている。

憲法の署名運動を取り組む上で、その団体の切実な要求と結合したとりくみにすることは決定的に重要である。全教は、すでに200万を越える署名を集約している。

このとりくみの最大の教訓は、教育基本法改悪反対と結合させたことである。

労働組合の職場からの運動も全教や自治労連、JMIU・建交労、国公労連などでは一定の前進を見せている。しかし、春闘など諸闘争が優先され職場における憲法闘争は、かならずしも緊迫した今日の情勢に対応したものとなっていない。今後取り組みを急速に強化することが強く求められてる。
運動のスケールを一挙に広げるうえで構成員一人ひとりが立ち上がることは決定的に重要。女性の過半数を目標にとりくんでいる新婦人は、当面会員一人30名、または女性の10%の署名を目標に5月までに集めた班には「ピース賞」で顕彰する。また、のぼりを立て、ハンドマイクで宣伝し署名を集める「命かけたい」など創意溢れる活動がとりくまれている。

【V】具体的とりくみ

(1) 憲法改悪阻止、改憲につながる国民投票法案阻止の取り組み

1、国民投票法案提出阻止に向けた緊急行動

1、 中央諸団体は、国民投票法案反対の団体決議を採択し、自民・公明両党に可能な限り直接手交する。
2、 地方の共同センターは、構成団体に積極的に呼びかけ、自民・公明両党県本部に可能な限り直接手交する。
3、 自治体首長などとの懇談、地元国会議員への要請活動を強化する
4、 国民投票法案が上程された場合は、その廃案めざし国会行動を強化する。具体的行動は、別途提起する
5、 学習会の開催、団体機関紙などを通じ、国民投票法案、自民新憲法草案、教育基本法についてのキャンペーンを展開するなどし学習活動を推進する
6、 従来からとりくんできた団体署名、職場決議については、引き続きとりくむ。

2、06年末までに国民との対話を深め、住民過半数の署名の実現めざして

運動を進める上での三つの節

第1の節 5.27国民大行動までに新たに300万の署名を

各団体は、5.27国民大行動にむけ、当面、新たに構成員の2倍以上の署名目標を設定し総達成に取り組む。

地方は、地方の実情と全国的目標を考慮し具体的目標を設定する

第2の節

9.2全国交流集会までに、すべての自治体を網羅する共同センターの結成と対話を通じた多数の署名協力者及び団体を 

第3の節 06年12月までに住民過半数の署名達成を
1、

すべての地方・地域・団体は、全住民との対話を深め、06年末までに住民過半数署名実現にむけた具体的計画を作成する
労働組合、学生などは、全従業員、全学生過半数などを目標にする。

2、 各団体は、団体が当面掲げる最も切実な要求と結合し旺盛な市民との対話と署名推進の活動にとりくむ。
3、 それぞれの地方・地域の実情に応じて「九条の会」などとも連携し、対話と宣伝・署名、学習活動を推進する。その際、「どうして変えるの? 平和憲法」のリーレット(1部3円)を大量に活用する。
4、 すべての地方は、共同センターの構成団体と協議し、全自治体に地域共同センターの確立をめざす。場合によってはいくつかの自治体にまたがることもあるが全自治体を網羅できるように努力する。
5、 これまでつながりのなかった団体について積極的に訪問し、署名推進の協力を要請する。
6、 秋に向け全国的な署名・宣伝大行動、全国キャラバン、9月9日全国一斉行動などについては、今後具体化にむけ検討する。
7、 地方・団体の計画や具体的とりくみは共同センターに集約し、全国に紹介するとともに、9月2日の全国交流集会に反映する。

3、5.27国民大行動の成功をめざす(別紙)

この大行動を成功させ、全住民との対話、有権者過半数署名推進の一大決起の場とする。

4、中央集会などの成功に向けて

1、

5.3集会の成功に向け取り組みを強化する
5月3日(水)日比谷公会堂、午後1時開会

2、

「憲法改悪のための国民投票法はいらない5.19集会」
5月19日(金)日比谷野音PM6:30
主催 5.3実行委員会

3、

6.10「九条の会」全国交流集会の成功に積極的に貢献する。
日本青年館AM11:00

4、

共同センター第4回全国交流集会(別途提起)
9月2日 会場未定

5、憲法改悪と関連したその他のとりくみについて

教育基本法改悪法案の提出を許さない緊急行動など

教育基本法改悪阻止の闘いは、共同センターとしての中心的課題ではない。

しかし、この問題は改憲策動と深く結びついた課題である。同時に、教育基本法改悪をめぐる今日の緊迫した情勢、この情勢の展開が今後の憲法闘争に与える影響の大きさを考慮し共同センターとしても一定の行動提起を行う。

(1) 自民・公明両党へ抗議要請の集中

1、 すべての団体は、両党党本部への抗議・要請行動を行う
2、 各地方組織は、県レベルで自民・公明両党の県本部に対し抗議・要請行動を行う。
3、 地域組織、単組・支部・分会は、両党に対し抗議のFAXを送付する

(3) 宣伝行動の強化

1、 関係諸団体と協議し緊急のビラ配布など宣伝行動を強化する。
2、 当面各団体所有の宣伝カーの積極的運行をはかる。

(4) 中央集会への積極的参加

1、

「教育基本法改悪阻止・法案の国会提出許すな!」4.28中央行動
主催 全教・教組共闘、子ども全国センター・教育基本法全国ネットワーク

4月28日(金) PM11:00〜15:30
社会文化会館三宅坂ホール
AM11:00〜12:00 中央決起集会
PM12:00〜13:00 国会デモ
PM13:30〜15;30 議員要請/国会前座り込み行動
2、

「教育基本法改悪阻止・法案の国会提出許すな!5・10総決起集会」
主催 全教・教組共闘・子ども全国センター/教育基本法全国ネットワーク 

5月10日(水) PMJ:00〜16:30
PM1:00〜PM2:00 国会前座り込み・国会議員要請
PM2:30〜PM3:30 中央決起集会 日比谷野音
*  PM3:30〜PM16:30 国会デモ

(5) 憲法・平和運動に関する全国的青年ネットワークへの援助を

6月10日「九条の会」全国交流集会の夜、さまざまな傾向の全国の青年が集い、一泊2日の予定で交流会を開催する。会場は、「九条の会」全国交流集会が開催される日本青年館。地方・団体は、宿泊費、旅費を含め援助し、青年代表派遣にむけての援助を。

問い合わせ 全労連青年部 布施 03−5842−5611