【アピール】

ILO勧告を武器に、一日も早い1047名の解雇撤回を!

― 国鉄闘争勝利へ全国各地から共同の大きな波をつくろう ―

2003年8月22日
全国労働組合総連合第8回幹事会


 国鉄の分割民営化から16年、1047名の仲間たちが採用差別・解雇されてから14年が経過しました。この間、国鉄の事業を全財産ともに受け継いだJRは、国鉄改革法をたてに「使用者」責任を否定し、地方労働委員会による不当労働行為としての断罪や中央労働委員会の救済命令、さらには当該労働組合からの解決交渉申し入れなどを一貫して拒否し続けています。また、多くの労働者や国民の反対を押し切って国鉄「改革」を強行した政府もまた、「一人も路頭に迷わせない」との自らの国会答弁や「組合所属による採用差別はおこなわない」との参議院での付帯決議、さらには不当な採用差別・解雇に対する労働委員会命令などを無視して傍観者的な態度をとり続け、事態の具体的解決に積極的にのりだそうとしていません。

 10数年という歳月は決して短いものではありません。この間、被解雇者とその家族は経済的にも精神的にも筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられ、いまなお厳しい生活を強いられながら一日も早い争議解決とJR復帰をめざしています。すでに被解雇者のうち国労組合員26名、建交労組合員2名が解決の日を見ることなく他界し、高齢化の進行は解決したとしても職場復帰が困難な仲間たちを増大させています。ILOもこの点を重視し、さる6月の勧告において「最終的に見出されるどのような解決もますます幻のものにしてしまう」として、解決の緊急性と日本政府や関係当事者の努力を強く求めています。政府やJRによるこれ以上の解決引き延ばしは、人道的にも、人権擁護の視点からも絶対に許されるものではありません。

 全国の仲間たちの支援のもとで国鉄闘争は困難ななかでも最近になって新たな局面を切り開いてきています。その一つは、きわめて不当な判決であったとはいえ全動労事件での東京高裁判決がJRの使用者性を初めて明確に認め、さらには採用差別があったことを認めたことです。二つ目は、ILOによる6月の重ねての勧告です。この勧告では、「政府と関係当事者が可能な限り最大多数の労働者に受け入れられる公正な解決を見出す方向で努力するよう強く主張する」と同時に「解決の緊急性」を強調しています。三つ目は、JR不採用問題の解決を求める地方議会の決議も619自治体に達していることです。こうした、新たな局面は、政府やJRが問題解決の当事者であることを改めて鮮明にすると同時に、たたかう側の共同の条件を拡大し、今が闘争解決に向けての重要な攻め時であることを明らかにしています。

 全国の仲間の皆さん。この攻め時の条件を生かして闘争の一日も早い解決を図るために、いま最も求められていることは、当事者である争議団・闘争団や関係労働組合が固く団結して、ILO勧告を武器に政府・JR・最高裁に向けての全国的な共同行動を発展させることです。
 こうした局面を踏まえ、全労連幹事会は全国の仲間たちに次のことを呼びかけます。
(1)「ILO勧告を武器に政府に解決をせまる」ことを共通の課題に建交労と国労を含む共同行動を地方・地域から創意を凝らして追求すること。
(2)最高裁での勝利判決に向けて展開されている個人・団体署名の取り組みを職場や地方・地域から緊急に強めること。
(3)政府・JRを社会的に包囲する宣伝行動やJR・運輸局・労働局、地元選出国会議員への要請行動などを地方・地域からとりくむこと。
(4)「全動労争議団を勝たせる会」の会員拡大や争議団と家族への激励行動を職場や地方・地域からとりくむこと。