【談話】
職業紹介事業の規制緩和、製造への派遣導入などに反対する
「職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について
2003年2月21日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
労働政策審議会職業安定分科会民間労働力需給制度部会は本日、「職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について「厚生労働省案をおおむね妥当と認める」という報告を職業安定分科会に行った。
「法律案要綱」は、派遣労働者の労働条件や権利を確立する方向でなく、劣悪な派遣労働の一層の拡大につながるものとなっており、全労連は断じて容認することができない。「法律案要綱」では、職業紹介事業の許可について事業所単位から事業主単位へと許可手続きを簡素化、また、兼業禁止の廃止、募集地域の原則廃止などの規制緩和を盛り込んでいる。
職業紹介事業は本来、勤労権を保障するために国家が責任をもって行うべきものであり、営利目的の民間企業に拡大することは国民の勤労の機会均等を阻害することになりかねない。
「法律案要綱」は、労働者派遣法について派遣事業の届出単位を事業所単位から事業主単位に手続きを簡素化。「紹介予定派遣」について事前面接や履歴書の交付を解禁した。派遣期間を1年から3年に延長。物の製造への派遣解禁、社会福祉施設への医業の派遣解禁を盛り込んでいる。全労連は、派遣期間の3年への延長は不安定雇用を長期化し拡大するものとして反対である。派遣期間は延長するのではなく、1年を超えたら期限のない雇用とすること、仕事があるのに解雇するのは許されないことなどを明確にすべきである。3年への延長はまた、派遣労働者にとっては「退職の自由」が奪われることになりかねない問題を含んでいる。労働者が派遣期間中に退職することになった場合、派遣事業主は派遣先からの「債務不履行の責任」追及を中途契約解除した労働者に責任転嫁する恐れがある。
また、製造業への違法派遣を追認する「物の製造」への派遣導入に強く反対する。「ものづくり」は国の根幹をなすものである。製造業における派遣増大によって、この国の「ものづくり」への深刻な影響が危惧される。不安定・劣悪な労働では技術の熟練、継承が困難になることは実証ずみである。医業の社会福祉施設への派遣解禁も、医業全般への解禁につながるものとして容認できない。
労働者派遣法は「派遣労働者の就業条件の整備」を図るという規制内容をもっている。「法律要綱案」では、派遣労働者の安全・衛生に関して派遣元と派遣先の連絡調整を義務付けたが、その他の賃金や諸労働条件については明示されなかった。また、派遣導入にあたっては派遣先に過半数を組織する労働組合があるときはその労働組合に対して、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表するものに派遣の期間を通知しその意見を聴くとしている。派遣の導入にあたっては派遣労働者の労働条件も含めた労使協議を合意事項とするべきである。全労連は通常国会において、雇用の不安定化を促進する職安法・派遣法の改悪を阻止するため、広範な労働者・国民との共同を広げさらに奮闘するものである。
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