【談話】

国民の命を切り刻み、不況をより一層深刻化させる
2003年度予算成立に抗議する

2003年3月28日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1. 本日3月28日午後、参議院本会議で2003年度予算案が、自・公・保与党の賛成多数で可決成立した。社会保障と税制の改悪により、国民に4兆円もの負担増を強いる予算案を強行したことに強く抗議するものである。
     一方、日本医師会など四師会をはじめ「健保本人の3割負担凍結」を求める全国的な運動の高まりと広がりを背景に四野党が共同提出した「医療凍結法案」を政府与党が審議未了・廃案に追いこんだことは国民の切実な声を踏みにじるものであり、断じて容認できない。
     また、これら4兆円もの新たな負担増に加え、賃金構造基本調査によれば労働者の賃金が調査開始以来初の前年比1.0%の減少、2万件にせまる企業倒産、この1年間で12万人以上ものリストラ「合理化」(東京商工リサーチ)による人員削減がおこなわれるなど、雇用・生活危機がいっそう深刻化している。

  2. 今回の負担増は、健康保険本人負担を2割から3割へ引き上げるのをはじめ、雇用保険料の再引き上げ、介護保険料の引き上げ、物価スライド凍結解除による年金給付額の切り下げなど、社会保障の改悪で約2兆7千億円にものぼっている。さらに配偶者特別控除の廃止や発泡酒・たばこへの増税、消費税免税点引き下げなど1兆7千億円にも及ぶ庶民大増税である。
     国民春闘共闘委員会の試算では、月例賃金35万円の40歳労働者(4人家族)一人当たり、年間10万円近い負担増がのしかかろうとしている。
     長期化する深刻な不況の下で、国民負担を増やすことは、GDPの6割を占める個人消費をいっそう冷え込ませ、日本経済に壊滅的な打撃を与えることは必至である。そもそも健康保険、雇用保険など、社会保険の財政悪化をまねいた原因は、政府と大企業が一体となって進めてきたリストラ「合理化」攻撃や賃金抑制による保険料収入の減少、大企業優遇・無駄な公共投資などに税金をつぎ込み、社会保障に対する国庫負担を削減し続けたことにある。97年橋本内閣時に健保本人負担増・消費税が5%へ増税されたことにより、不況の深刻化を招いたこととあわせて、受診抑制が引き起こされた。
     今後、必要な医療を抑制してまでも家計防衛しなければならない状況が、十分予測される。また、国民の命と暮らしをないがしろにする政治に未来はない。あわせて、小泉首相が米国によるイラクへの武力攻撃を世界各国に先駆けて支持・加担をすることは、多くの国民の「イラク攻撃反対」「国連中心の平和的解決を」の声を無視するものであり、世界に誇る平和憲法を持つ国を代表とする資格はない。

  3. 全労連は春闘後半戦を、03春闘での要求前進をはじめ統一地方選挙で自公保与党に審判を下し、住民本位、国民本位の政治を地方から実現すべく全力を尽くすことを表明する。
     同時にあらゆる社会勢力との対話・共同をいっそう広げ、建保本人の3割負担撤回をはじめ、イラク攻撃の即時中止、個人情報保護法案や有事関連法案、「首切り自由化法案」など労働法制の全面改悪を許さず、法案阻止にむけて全力を挙げて奮闘する決意である。

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