【談話】
「年金改悪法案」の閣議決定、国会提出に抗議する
〜「年金改悪反対」一点での国民的共同を〜
2004年2月10日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
- 政府は本日、「国民年金法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。
政府案では、保険料を現行の13.58%から18.30%(労使折半)と35%も大幅に引き上げる一方、20年にも及ぶ給付の削減を行うとともに、即時実施しなければならない基礎年金への国庫負担2分の1への増額を先送りしている。さらに、5年後には消費税増税の道を開くという「国民負担増法案」である。
この政府案は、「国民が老後に安心感を持てる制度に構築する(与党合意文書)」どころか、いっそうの年金不信と将来不安を増大させるものである。
また政府案は、これまでの5年ごとの見直しで当面の改革を行ってきたものを、今後は国会審議、法律改定無しで毎年自動的に「保険料引き上げ・給付削減」を行なえる仕組みを導入する。時の政府の失政の付けを国民に転嫁するもので決して認められない。
全労連は、労働者・国民に将来にわたって負担増を押し付ける「年金改悪法案」の国会提出に抗議し断固撤回を求めるものである。
- この「法案」の内容で具体的に試算すれば、厚生年金保険料では570万円の平均的年収で年約13万4000円の負担増となり、国民年金保険料では、1人年4万3200円の負担増となる。今回の保険料の連続引き上げは未納者問題を深刻化させ、景気への悪影響を及ぼすことは必至である。
年金給付額については、保険料収入の範囲内に給付水準を収める仕組みの導入により、経済悪化を口実に給付額を自由に切り下げようとするもので、将来的にはモデル年金で夫婦年55万円の削減となり、共働きや単身男性ではさらに削減幅は広がる。その上、物価スライド適用や年金課税の強化で大幅な削減となる。「将来支給される年金額がわからない」という国民の不安の声が出てくるのはこのような「法案」にこそ原因であり、自ら年金制度への信頼性を崩している。
- 日本経団連は、「社会保障制度全体をパッケージで改革する最後の機会とする」ことを真正面からせまり、総人件費抑制策の総仕上げとも言える社会保険料負担の全面回避をねらっている。この間財界と政府は一体となって倒産・リストラを進めた結果、常用雇用指数が若干上向きつつあるものの、300万人を超える失業者や所得減少などによって、社会保険制度を事実上崩壊させる要因となっている。
- 全労連は、この「年金改悪法案」の廃案と年金制度の改善を求めて全国からたたかいを強めていく決意である。
全労連は、(1)基礎年金の国庫負担の増額を約束に基づいて即時実施すること。(2)200兆円にものぼる年金積立金を計画的に取り崩して年金給付に活用すること。(3)リストラなどをやめ、雇用の確保で年金の支え手を確保することを緊急に政府に強く要請するものである。
全労連は、総力をあげて年金改悪反対闘争を04春闘最大の闘いと位置づけ、4・15年金ストライキを配置し、国会内外でのたたかいを強め、廃案をめざして奮闘する決意である。
職場・地域から「年金改悪反対」一点での国民的共同づくりにむけ、すべての労働者と国民に呼びかけるものである。