【談話】
年金改悪法案の衆院厚生労働委員会採決強行に断固抗議する
2004年4月28日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
- 本日、衆議院厚生労働委員会は、「国民年金等の一部を改正する法律案」の審議を打ち切り、採決を強行した。国民の7割以上が賛成しない法律案を公聴会も開かないまま国会の数の力で押し切ったことは、国民主権と議会制民主主義を否定するものであり断固抗議する。
国民的関心が高く、現在と将来にわたって国民生活に密接にかかわる年金制度を、わずか30時間程度の審議で衆議院を通過させることは、ますます年金不安と不信を拡大させるもの以外何物でもない。さらに、日歯贈収賄事件、閣僚の保険料未納問題や、年金積立金の年金以外への使用に対する明確な解明がないまま成立させたことは、国民の政治不信の拡大にもつながり、許せるものではない。
- 短時間の審議であっても、年金改悪法案の問題点が明らかになってきた。保険料の引き上げが、ますます年金制度の空洞化を進め、日本経済にも深刻な影響をもたらすこと。また、「マクロ経済スライド」の導入による給付削減は生存権さえ踏みにじる事態を引き起こす危険性を持っていること。不安定雇用労働者の年金加入に対する手立てもないまま、一方的な保険料の引き上げだけが先行していること。政府案も民主党案も消費税増税に道を開くことなどが明らかになった。
このまま改悪法案の成立を許せば、100年安心どころか、制度の崩壊を招きかねない。
- 現在の年金制度に対する緊急課題は、無年金者や超低額年金者の解消である。この年金の空洞化に歯止めをかけることなしに日本の年金制度への信頼や期待は生まれない。全労連は、この状況を解消する政策として「全額国庫負担による最低保障年金制度の創設」を提案し国民的論議を呼びかけてきた。今後も引き続き「誰もが安心の公的年金制度の確立」めざして力を尽くしていく。
政府与党により年金改悪法案は衆議院厚生労働委員会で採択強行されたが、全労連は同法案の今国会での成立を阻止し、廃案めざして、全国からさらに運動を強める決意である。