【談話】
労働審判法の成立を歓迎し、個別労使紛争解決の有効な機関としての制度確立を期待する
2004年4月28日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
- 司法制度改革法案のなかで労働者にとってとりわけ重要な労働審判法が、本日、参議院本会議において成立した。全労連は、労働審判法の成立を歓迎し、労使の紛争解決に迅速かつ実効ある機関として発展し、将来的には労働参審制度の実現に道が開かれることを期待するものである。
- 労働審判制度の概略は次のようなものである。
(1)労働審判廷は全国の地方裁判所に設けられる。(2)審理は3回で解決する。(3)労使の審判官と職業裁判官が合議で行う。(4)調停を原則とするが、成立しない場合は解決案を決する。(5)労働審判に不服ある場合は異議の申し立てができる。申し立てによって労働審判の効力は失効し、自動的に地方裁判所に訴えの提起があったとみなす。
- 労働審判制度を実効あるものにできるかどうかは、制度を担うにふさわしい専門知識、経験、識見ある「審判員」を選任できるかどうかにかかっており、選任のあり方は極めて重要な課題である。衆参両院の法務委員会の附帯決議でも「労働審判員の任命手続については、公正性と中立性を確保し、その研修については、必要かつ十分な措置を講じるよう努めること」とされている。
国会論議における最高裁の答弁や附帯決議の趣旨からして、労働者から選任される「労働審判員」は、労働組合組織の違いによる排除を行わないことを明確にする必要がある。全労連は、法律成立に先立ち、労働審判制度の運用規則を制定する最高裁判所へ前記趣旨の申し入れを行ったが、最高裁は「当事者に意見を聞くことが制度成功の鍵と考える」と述べ、審判員選任手続策定に関して公平、公正、透明性を担保することを明言している。
- 労働審判制度は2年後にスタートする。全労連は、この制度が労働者・労働組合の期待に十分こたえうる制度として定着するために、引き続き全力をつくすことを表明するものである。