【談話】
「ウソとごまかし」の年金改悪法案の採決強行に強く抗議する
2004年6月3日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
- 本日午後、参議院厚生労働委員会で、自民、公明両党は質疑を打ち切り、野党が反対するなか、小泉首相の目前で「国民年金等の一部を改正する法律案(年金改悪法案)」の採決を強行した。「ウソとごまかし」を政府自ら認めておいて、国民世論と議会制民主主義を無視し採決を強行した政府与党の暴挙に満身の怒りをこめて抗議するとともに、撤回を強く要求する。
- 政府は今回の法案を「100年安心」の抜本改正であると説明し、「保険料の上限固定方式」と「給付の50%下限」を条文に盛り込んだ。しかし、その後の国会審議を通じて賃金上昇によって保険料の固定どころか、青天井の引き上げが予測され、また年金給付50%維持は、ごく限られたモデル年金の新規受給者のみで、多くの受給者は40%〜30%台であるなど「ウソとごまかし」の内容が国民の前に明らかになった。
本法案は、「100年安心」どころか、だまし討ちの法案であり、中央公聴会も開かず採決を強行したことは、「良識の府」である参議院の場を踏みにじるもので断じて容認出来ない。消費税増税への道に踏み込む衆議院段階の3党合意による「付則」にも反対である。
- また、総理をはじめ閣僚に年金制度の未加入・保険料未納が発覚し、さらに与党である公明党3役と坂口厚生労働大臣の未納などが公表され、自民党は未加入・未納国会議員の公表さえ拒否している。
国民には、差し押さえを伴う強制徴収を実施する一方で、「保険料引き上げ・給付削減」の年金法案をあつかましく成立させることは、国会議員としての資質が問われ、未納閣僚の辞任を求めるのは当然の国民の声であり、直ちに辞任を要求する。
- 今回の年金法案の審議は、決して国民の年金への不安、将来への不安を払拭するどころか、逆に拡大するばかりである。
今回の改悪による日本経済への影響や、増大する厚生年金の空洞化問題の解決、年金積立金の無駄遣いの責任と解明など取り残したままの採決となった。諸外国に比べ、国民の年金制度への信頼は著しく低い上に、今回の改悪は生存権をも奪いかねない。高齢者世帯の6割が年金収入だけで生活している実態をみれば、全額国庫負担による最低保障年金制度の確立は国民の差し迫った切実な願いである。
全労連は、最後まで成立阻止にむけて奮闘するとともに、目前にせまった7月の参議院選挙で、年金改悪法案の成立強行をはじめ悪政を推進する政党や議員に国民の厳しい審判を下し、最低保障年金確立を求めてすべての組合員と全力で奮闘する決意である。