【談話】

プロ野球選手会の闘争妥結を歓迎する

2004年9月23日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1. 本日、労組日本プロ野球選手会(古田敦也会長)と日本プロ野球組織(NPB)との労使協議が行われ、(1)来季12球団に戻すことを視野に入れ、新規参入の審査を速やかに進める、(2)プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、ドラフト改革や年俸減額制度の緩和などを労使で徹底的に協議するなど7項目の合意に達した。これによって、選手会労組が予告していた25、26日の2週連続の週末ストは回避されることになり、6月13日のオリックスと近鉄の合併公表から約100日、性急な合併を批判して労使交渉に臨んできた選手会労組のたたかいは勝利的に解決することになった。今回の妥結は、ストライキという実力行使を背景に、圧倒的な世論の支援を受けてねばり強い労使交渉を継続した結果であり、全労連は選手会労組のたたかいの勝利を心から歓迎するものである。

  2. 全労連は7月の選手会労組との懇談を受け、定期大会においてたたかいへの全面支援を確認し、球場やターミナルを中心に全国各地で署名運動や宣伝行動を展開してきた。9月18〜19日の両日決行されたストライキは、70年に及ぶプロ野球史上初のものだったが、このストはまさに「値千金」の効果をもつものとなった。球界再編に向けて一方的に暴走する経営者側に対して、選手会労組は、合併の1年延期が無理なら新規参入を促すこと、合併時の選手の移籍に際しプロテクト対象から外して選手の意思を尊重することなど合併が選手の雇用・労働条件と密接に係わっていることから、道理ある要求をもとに球団側の誠実な対応と誠意ある回答を求めてきた。今回、NPB側が選手会労組の要求を受け入れたことは、至極当然のことである。

  3. 選手会労組のストライキは、わが国の労使関係のあり方、憲法・労働法にもとづく団結権・争議権保障、ひいては日本の民主主義の健全なる発展を考える上で、大きな教訓を残した。
     選手会労組には多くのファン・国民の支援が寄せられ、スポーツ紙がインターネット上で行った世論調査では79%のファンがストに賛成し、選手会の署名集約は120万人をこえた。一方、ストライキ決行を目前にして「損害賠償請求」を行うなどとした問題は、球団側に、労働組合の争議行為が、労組法による民事・刑事免責を受けており、こうした請求権は存在しないという初歩的知識さえ持ちえないことを白日の下にさらした。周知のように、プロ野球選手会は1985年、都労委によって労働組合(法内組合)として承認され、選手は他人によって使用されながら労働の対価を得て生活していることから「労働者」と判断されている。
     全労連は、今回の選手会労組のたたかいを教訓に合併など企業再編によって労働者の労働条件の一方的切り下げやリストラ解雇、転籍などが行われることのないようすべての経営者に求める。そして、労働者・労働組合は、企業再編リストラなどの攻撃に対してストライキを構え広範な労働者・国民の支持のもとにたたかい抜くことの重要性を改めて強調するものである。