【談話】
労働組合法改正法案の成立にあたって
2004年11月10日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
本日、11月10日、参議院本会議において、労働組合法改正法案が全会一致で可決・成立した。今回の改正内容は(1)計画審査の導入、公益委員会議による証拠提出命令、証人出頭命令の導入、(2)命令の取消訴訟における新証拠の提出制限、(3)公益委員の常任化と少委員会の導入、労働委員会事務局員の研修充実、である。
全労連は2000年4月に「労働委員会の民主化提言」を発表、以後、労働委員の選出のあり方も含めて、労働者の救済機関としての機能強化と民主化を求めてきた。
今回の改正が労働委員会の審査の迅速化、命令の適正化に資するものとなるよう期待したいが、労働委員会が今日の情勢のもとで果たすべき役割を考える時、改革の不十分さを指摘せざるを得ない。今回の改正で公益委員会議のよる証拠提出命令や証人出頭命令の導入は効果が期待されるが、不服申し立てができるためかえって審査の遅延を招くのではないかとの危惧はぬぐえない。また、成立した和解についての債務名義化が金銭支払いに限定されたことは問題である。和解の実効性確保には職場復帰などのすべての和解を債務名義とできるよう改正すべきであった。公益委員の常勤化は任命手続の透明性、公正さが確保されるような選考手続がなされることを求める。
また、労働委員会命令取消訴訟は「審級を省略し、第一審を高等裁判所とする」ことを私たちは強く求めてきたが、今後の課題となったことは残念である。
衆参両議院の附帯決議では(1)裁判所の緊急命令の運用見直し (2)実質証拠法則の導入 (3)審級省略の三点が今後の課題として示された。
私たちは労働委員会が労働者の救済機関として迅速かつ適正な判断を行い、紛争解決に高い能力を有するためにも、改革すべき点はまだ多く残されていると考える。特に、労働者委員の任命について、系統別選任・民主的選任を行うことが労働委員会の民主化に欠くことができない。
附帯決議および残された課題解決にむけ、関係当局の積極的な取り組みを要望し、全労連も引き続き労働委員会の民主化と発展のために取り組む決意である。