【談話】
育児・介護休業法の一部改正法成立にあたって
2004年12月1日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
1. 少子・高齢化が大きな問題になり、子育てや仕事と家庭生活の両立支援が求められている下で、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律などの一部を改正する法律案」が1日参議院本会議で採決され、全会派一致で可決成立した。有期雇用労働者への一定条件での適用拡大、年5日の子どもの看護休暇、保育所入所ができない場合に6ヶ月を限度とする育児休業の延長、介護休業の要介護状態ごとに1回、通算3ヶ月の取得等の改正がその内容である。これらの改正は、内容は不十分であるが、私たちの要求を一定反映したものであり、一歩前進といえる。
2. 全労連は、法改正にあたり、特に次の点を要求してきた。・雇用契約を繰り返し定めのない雇用とみなされる労働者は育児・介護休業の適用対象となることを法律や政省令に明記すること。また、1年以上の雇用期間が経過した後は、残余の雇用契約期間(更新を含む)について対象とすること。・育児休業の期間は、子が3歳に達するまでに延長すること。また、複数回の取得ができるようにすること。特に、1年をこえて延長する場合は少なくとも再取得の対象とすべきである。・介護休業取得は、「継続して介護を要する状態ごとに1回、1回につき3ヶ月」とし、さらに期間を1年まで延長すること、取得予定日の数日前の請求を認めること。・育児・介護休業取得の際の代替要員の配置、原職復帰、所得保障の原則を明記すること。・子どもの看護休暇は有給で年10日以上とし、短期の病気の家族介護、検診、予防注射、保育園・学校行事参加等、家族的責任を果たすための休暇に拡充すること。・小学校就学前の子及び要介護の家族をもつ労働者の請求により労働時間短縮ができるようにすること。・家族的責任を有する労働者の転勤等には、本人同意を得ることを明記すること。・「不利益取り扱い禁止」規定を実効あるものとし、男性の育児休業取得を推進すること。
3. 審議の中では、法案作成時にこうした職場の切実な要求・実態把握がなされていない実情も浮かび上がってきた。また、パートや派遣など有期雇用者が短期契約を繰り返していれば対象となることも今後策定する指針で明確にしていくとした。
全労連は、05年春闘で、改正された法案を最低限の基準として、実効ある育児介護休業の協約をかちとるたたかいをすすめる。あわせて、すべての労働者に対する労働時間の法的な上限規制を設けることや有期雇用契約を厳しく制限し、期間の定めのない雇用を原則とすること、保育・福祉の公的拡充、「昇進・昇給をあきらめなければ、育児・介護休業をとれない」等の職場環境の改善など、職業生活と家庭生活の両立支援をさらに強化するとりくみを推進する。以上