【声明】

参院選の結果と全労連の取り組みについて

2004年7月20日
全労連第43回常任幹事会


  1.  7月11日行われた参院選の選挙結果は、3年前小泉政権誕生直後の参院選で66議席を獲得した自民党は、改選50議席を維持することもできず49議席にとどまった。連立与党である公明党は11議席で1議席増となった。自公両党あわせても改選議席の過半数(61議席)にも届かなかった。また、民主党は改選議席38に対し50議席と大きく議席を伸ばした。一方憲法擁護を掲げる日本共産党は、改選15議席に対し4議席と議席を大幅に減らし、護憲を掲げる社民党も2議席と現状を維持するにとどまった。
     今回の参院選は、年金改悪・消費税増税、そして、自衛隊の多国籍軍への参加の二つのテーマを最大の争点として闘われた。
     全労連は、2・25地域総行動、ストライキを含む4・15全国統一行動など年金大改悪阻止を04春闘の最大の課題として闘ってきた。また、3・20などアメリカのイラクへの軍事占領を許さず、自衛隊のイラク派兵に反対する闘いでも、この間その先頭に立って闘ってきた。参院選の最大の争点にこの二つの課題が位置づくうえで、全労連のこうした闘いは、極めて積極的役割を果たすものとなった。
     今回の参院選の結果は、何よりも「構造改革」の名の下に国民に我慢と痛みのみを押し付け、その上さらに年金改悪・消費税増税を推進し、憲法9条をも踏みにじり自衛隊の多国籍軍参加を強行する自公政治への国民の怒りの表明であり、小泉自公政治に対し労働者・国民が厳しい審判を下したものである。
     今回の労働者・国民の選択の方向は、紆余曲折を経ながらも、今後情勢を切り開く大きな力になることは明らかである。しかし、その一方で、今回の選挙の結果、自公両党そして民主党など改憲勢力が、国会内で圧倒的多数を占めることになったことも見過ごしてはならない。憲法をめぐる情勢が緊迫化している今、この選挙結果がもたらす情勢をいささかも甘く見ることは断じて許されない。

  2.  全労連は、今回の参院選を迎えるにあたって、第13回幹事会において、「=憲法をめぐる戦後史をかけた政治戦へ= 平和に、人間らしく生き働く社会をめざし、参院選で小泉自公政治の根本的転換を」を決定し参院選での国政の民主的転換をめざし取り組みを強化してきた。
     選挙闘争方針は、小泉自公政治が広範な労働者・国民と深刻な矛盾に直面していることを指摘し、この矛盾こそ国政の民主的転換を可能と、新たな展望を切り開くものであることを明らかにした。また、今回の選挙結果が今後の憲法をめぐる闘いに決定的影響を与えることも強く訴え、参院選を「戦後史をかけた政治戦」と位置づけた。そのうえで、選挙方針は総選挙の経験を踏まえ、「二大政党制」の持つ本質が、巨大企業の利益を確保し自民党政治の枠内にとどめようとするものであることを厳しく指摘し、この本質を広範な労働者・国民に知らせることの重要性をも強調した。
     全労連は、政党支持の自由、政治活動の自由を堅持するとともに、職場からの主権者意識を高める学習活動、そして積極的な対話と討論を呼びかけるとともに、全労連新聞特集号を発行した。この全労連新聞特集号は、53万部が発行され、これらの活動を促進した。また、公示日の6月24日「主権者国民として、投票権を行使し、労働者・国民本位に国政の流れを変えよう」とのアピールを発表するとともに選挙戦最終盤の7月1日には、「年金制度改悪、消費税増税・改憲勢力に厳しい審判を=「期日前」制度の積極活用も=」のアピールを発表し、選挙権の積極的行使を呼びかけた。
     しかし、全体的には職場の異常な多忙さなども手伝い、職場における学習や対話は、必ずしも十分とは言がたいものにとどまった。討論や対話、そして学習の不十分さは「二大政党制」の本質に対する組合員の理解の不十分さを生み出し、参院選最終盤、世論調査などを通してのマスコミの「民主、自民を逆転」などの大キャンペーンの影響を強く受けることとなった。こうした事実は、全労連運動全体を通じて、選挙時に限らず、日常的な情勢や政治討議の重要性を改めて浮き彫りにした。

  3.  選挙後も、小泉自公政権は、引き続き国民の怒りや要求に背を向け続けている。それだけに、臨時国会において、参院選で示された小泉政権に対する労働者・国民の厳しい審判に応える野党各党の責任は重大である。とりわけ、年金改悪や自衛隊の多国籍軍への参加に反対を表明した民主党を含む野党各党が、これらの公約の実現にむけ誠実に努力することは決定的に重要である。全労連は、民主党を含むすべての野党にその実現を迫る運動をすでに開始している。
     小泉政権に示された労働者・国民の激しい怒りをさらに大きく結集し、引き続き自公政治の根本的転換と改憲阻止にむけた全労連の果たすべき役割は、今後ますます重要性を増している。
     これらの課題に応えるうえでも全労連の基本路線を踏まえつつ、全労連としての選挙闘争のあり方を今日の情勢に対応するものとするための検討が強く求められている。また、憲法をめぐる情勢が、いよいよ山場をむかえる今、改憲を許さない国民的共同の強化とともに、9条の改悪を断じて許さない政治戦線の構築にむけ草の根からの運動を飛躍的に強化することも強く求められている。
     全労連は、これら新たな課題にむけて積極的に奮闘するとともに、今回の参院選で労働者・国民が示した審判をしっかりと受け止め、切実な要求の実現を目指し、職場・地域を基礎に国政の民主的転換めざし引き続き奮闘する。