【談話】
規制改革・民間開放推進会議による派遣法など
労働法制のいっそうの規制緩和に反対する2005年2月22日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
規制改革・民間開放推進会議は2月15日の第12回本会議において、平成16年度「追加答申に向けた主要検討項目」素案を提示した。雇用労働分野の項目では以下の点が労働者の雇用と働き方に重大な影響を及ぼすことが懸念され、このような市場原理優先、労働者無視の規制緩和は容認することができない。
(1)派遣における事前面接の解禁
労働者派遣制度における事前面接は派遣先による採用行為となり、職業紹介とのけじめがなくなるとして禁止されている。派遣は本来、臨時的・一時的な労働力の需給調整システムであり、派遣元・派遣先・派遣労働者の三面関係によってなりたっている。派遣元は専門能力を持つ派遣労働者を雇用して、派遣先の要請に応えて、必要な能力を持つ労働者を派遣する責任を負っている。実際に労働者を指揮命令して就労させる派遣先が面接による労働者の選考を行うのであれば派遣元は必要がない。
派遣先の直接面接は、派遣元・派遣先・派遣労働者の三面関係を否定することになり、職業安定法で禁止された違法な労働者供給と考えられる。派遣先が面接をするのであれば、労働者を派遣先に直接採用すべきであるというのが労働者派遣法の建て前である。
事前面接を解禁することは労働者派遣制度の根幹にかかわる問題であり、容認することはできない。
しかし、現実には打ち合わせや説明会と称して事実上の面接が行われているケースが圧倒的である。現実の追認となるような法改悪でなく、違法な行為の取締りを強化し、労働者派遣制度の基本理念を厳守すべきである。(2)労働時間規制の適用除外の拡大においては「ホワイトカラーの従事する業務のうち裁量性の高いもの」を労働時間規制適用から除外すべきとしている。2003年の労働基準法改定では企画業務型裁量労働制についての適用範囲の拡大、手続き緩和が行われたばかりである。すでに変形労働時間制度、フレックスタイムなどの労働時間にかかわる規制緩和が行われており、長時間・過密労働が原因となった過労死、労働災害、メンタルヘルスの増大が社会問題化している。これ以上の労働時間の規制緩和は認めることはできない。
規制改革・民間開放推進会議は、実業家と学者の中でも規制緩和論者だけをメンバーとするゆがんだ構成をとっており、労働者の権利破壊に直結する数多くの施策を打ち出している。昨年12月に出された第1次答申での労災保険の民営化、市場化テストなども、市場経済万能主義にもとづく、民間への市場開放のみを追及したもので、労働者の働き方と生活のあり方に、深刻な悪影響を及ぼしている。そして、これらが、労働者代表の意見反映などをまったく経ずして、現実の労働行政に強い強制力をもって、上から押付けるという異常なシステムとなっている。私たちは従前から要請しているように規制改革・民間開放推進会議に労働者代表を入れることを重ねて要望し、引き続き規制改革・民間開放会議に対する批判と監視を強めていく。