【談話】
05年度中央最低賃金審議会の最賃改定目安答申について
2005年7月26日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
- 中央最低賃金審議会は本日、厚生労働大臣に対し、2005年度の地域別最低賃金の改定目安として、ランク別に金額を引き上げる答申をおこなった。内容は、A〜Cランクは各3円、Dランクは2円というものである。一昨年の「0円」答申、昨年の「現行水準維持」など、3年連続で凍結目安を示してきた中央最低賃金審議会が、4年ぶりに有額の引き上げ答申を出したことになる。全労連は、この間の私たちの運動の高揚と最賃審議会労働者委員の奮闘を反映したものとして、今回の有額回答を評価するものである。
- 同時に答申内容の問題点も指摘しなければならない。今年も最終場面まで労使の意見が一致せず、公益委員見解として目安はまとめられた。そして従来どおり、小規模企業の賃金動向を調べた「賃金改定状況調査」結果を重視したものとなった。久々の有額回答は評価するが、3円では低すぎる現行最低賃金を生活保障水準へと引き上げることはできず、最低賃金法に明記された生計費原則は満たされないままである。その上、地域の賃金格差を容認・助長する内容となった点でも、重大な問題を含んだ答申と言わざるを得ない。Dランク地方の賃金改定率が0.0%であったところを、有額とした公益委員の努力は認めるが、やはりせめてA〜Cランクと同じ3円引き上げとし、格差拡大は避けるべきではなかったか。
- この間、わが国の景気は回復を続け、企業業績も改善が進んでいる。その一方で、労働者の生活改善は進まず、急増する低賃金・不安定雇用労働者の生活実態はむしろ悪化している。働いても生活できない低賃金がはびこる現実を改め、地域経済を活性化するために、今こそ地域別最低賃金の大幅引き上げが求められる情勢である。にもかかわらず、今回の審議でも使用者側委員は0円を主張した。景気回復は認めつつも、一部地域、中小零細企業の厳しい状況を最優先すべしとの主張であった。しかし、現行の最賃額は、中小零細の地場の賃金実態からみてもはるかに低い。実際には中小零細企業でも、最賃よりはるかに高い賃金を支払い、労働者の定着と熟練の向上をはかっているところが数多くある。こうした実態を省みず、低賃金構造と不公正取引を温存して賃金相場を引き下げることは、かえって地域経済の持続的な発展にとって障害となる。
- 全労連は、今回の答申にむけ、本日を含めて4次にわたる民間・公務一体による最賃デー行動を実施し、「地域別最賃を生活保障賃金へ」、「当面、時間額1000円以上、日額7400円以上、月額15万円以上に」、「地域間格差解消・全国一律制確立」、「産別最賃廃止反対」、「均等待遇実現」の要求を世間にアピールしてきた。各地方では、最賃生活体験運動、街頭宣伝、署名、行政機関との交渉、経営者団体・労働団体との懇談、自治体意見書採択運動、テレビ出演などに取り組み、地域別最低賃金制度の改革を求める世論を形成してきた。
今後、05年の地域別最賃改定の舞台は、地方最低賃金審議会に移される。各地方最賃審議会においては、ランク別格差を含みつつも明確な有額回答を提示した中央最低賃金審議会の目安をふまえ、その限界を突破し、地域別最低賃金の大幅引き上げを実現することが求められている。とりわけ東北、四国、九州などDランク地方の奮闘と自主性発揮に期待しつつ、全労連も各単産・地方組織とともにさらに運動を強め、生活保障最低賃金の確立を勝ち取る決意を表明するものである。以上