【談話】

「有明海における干拓事業漁業被害原因裁定事件」の裁定について

2005年8月31日
                     全国労働組合総連合
                     事務局長 坂内三夫


 公害等調整委員会は30日、2003年4月16日に有明海漁民17人と福岡県有明海漁連が「漁業被害の原因は諫早湾干拓事業にある」と申請した「有明海における干拓事業漁業被害原因裁定」について、申請を却下した。
 全労連はこの申請棄却について極めて遺憾であり、強く抗議する。

 今回の裁定にあたって公害等調整委員会は、異例の4名の研究者を専門委員に任命し、専門委員は申請者と国の双方から研究者証人尋問を行い、これまでの研究成果を踏まえ、独自のシミュレーション調査を行なうなど詳細な報告書を公害等調整委員会に提出した。
 この専門委員報告書は、魚種と魚場ごとに漁場環境の変化を検討している。その結果この干拓事業との関連性について、諫早湾近傍場については、明確に結論づけることが出来るとし、それ以外の漁場についても、強弱の程度の違いは有るものの可能性を肯定している。本来この専門委員会報告書を見るならば法的因果関係の認定は十分可能である。
 しかし今回の裁定は、詳細な報告書があるにもかかわらず、「客観的データの蓄積や科学的知見がなお不十分」として申請を却下した。本来、中長期開門調査を怠り客観的データの蓄積と科学的知見の前進を阻んできたのは政府・農水省である。

 全労連は、佐賀県労連をはじめとする九州各県労連とともに、「有明の海をよみがえらせる」ために引き続き運動を進め、現在たたかわれている最高裁および佐賀地裁との裁判支援を強化する決意をここに表明するものである。