【談話】

イラクからの自衛隊の早期全面撤退を要求する

2005年12月14日
全労連事務局長
坂内 三夫


 日本政府は12月8日、臨時閣議をひらきイラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の派遣期間を来年12月14日までの1年間延長決定を行なったが、全労連は、この暴挙に深い憤りをこめて抗議するとともに、早期全面撤退を強く要求するものである。

 今回の決定は、イギリス軍やオランダ軍の来年5月の撤退局面が予測されるもとでの延長決定であり、小泉内閣が日米軍事同盟を最優先し、米ブッシュ政権への忠誠を誓ったものであり、卑屈なまでの対米追随の政治姿勢を如実に示したものである。

 米ブッシュ大統領は、国連をも無視してイラクを侵略し、今日においても軍事占領を継続し抵抗勢力への無差別掃討作戦を行ない、暴力とテロの悪循環を作り出し、泥沼化をまねいている。

 イラクに派兵した「有志連合」は、軍隊の撤隊・撤収を決めた国があいつぎ、崩壊の道をたどっている。アメリカ国内でも戦死者の増加と戦費の拡大に直面し、米軍の撤退を求める世論と運動が起こっている。

 日本が、日本国憲法の前文と第9条の精神にたって紛争の平和的解決、国連中心の政治・外交関係の確立の方向に舵を切り替えれば、世界の中での「孤児」の道から、アジア諸国はもちろん、世界中から信頼され国際的に名誉ある地位を獲得できることは明らかである。

 ブッシュ政権がイラク侵略にあたって掲げた大義、旧フセイン政権による「大量破壊兵器の保有」や「テロリスト支援」が完全にウソだったことは今や世界の誰もが知っている。イラク南部サマーワに駐留する自衛隊は、いかに「人道復興支援」を掲げようともイラク国民からするなら占領軍の一員にほかならず、いかなる視点からも自衛隊の派兵延長を正当化する見出すことが出来ない。

 全労連はいま、日本国内で重大な問題となっている在日米軍基地の再編強化問題が、アメリカの戦争に全面的に加担するための憲法改悪の本質が今回のイラク派兵延長を決定した異常なまでの小泉内閣の対米追随姿勢と深く結びついていることを強く指摘する。したがって、全労連は政府に対し、イラクからの自衛隊の即時全面撤退を強く要求するとともに、在日米軍基地の再編強化に反対し、改憲策動と断固としてたたかう決意を表明する。

以上