【談話】

2006年度予算政府案の決定について

2005年12月24日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


1.全労連は本日、閣議決定された2006年度予算政府案が、定率減税廃止や医療制度改悪など、国民に新たな負担と犠牲を押し付けるものであり、強く抗議する。
予算規模は、一般会計総額が79兆6,860億円と05年度当初予算比で3%削減という「緊縮型」予算となっている。その内容は大型公共事業や軍事費の無駄は温存する一方で、一般歳出は2年連続減額で、国・地方財政の「三位一体改革」で一兆円超の補助金削減や医療費の抑制、診療報酬のマイナス改定、公務員総人件費抑制等の歳出抑制、定率減税廃止など国民生活に厳しい予算編成となっている。

2.政府は「サラリーマン増税は行わない」という選挙公約を投げ捨て、来年1月の半減に引き続き、07年には定率減税を全廃、年間3.3兆円もの増税を国民に押し付けようとている。その一方で、史上空前の利益をあげる大企業への法人税減税を恒久化し、研究開発費減税などの特別優遇措置も一部手直しをしながらも温存している。
社会保障では、高齢者の負担増や診療報酬3.16%の引き下げで、医療費の国家負担を2,737億円削減している。介護保険では介護報酬を0.5%引き下げ、国庫負担を90億円削減している。05年10月に導入した介護保険施設の食費・居住費の保険外負担を含めると改定率はマイナス2.4%となり、在宅の軽度者向けサービスの報酬も平均で5%もの削減となっている。また障害者「自立支援」法の成立で、障害者の福祉サービスの利用に1割の自己負担を導入するなど、社会保障制度の一層の後退を冷酷に進めている。

3.大企業が史上空前の大儲けの影で、厳しい経営を余儀なくされている中小企業への対策費を05年度予算より10.1%も削減している。一般歳出に占める中小企業対策費は0.34%で1963年の中小企業対策費設置以来、最低となっている。中小企業切り捨て、大企業優遇の政府の姿勢が露骨に表れている。また、近年、深刻さを増している若年層の不安定就労、失業対策費も減額されている。
 「三位一体の改革」の名で義務教育制度を始め、児童扶養手当や児童手当、施設介護給付費の国庫負担割合を引き下げることは、教育・社会保障における国の責任を放棄するものである。
 一方、大都市拠点空港整備など大規模公共事業費はいずれも30%前後の増額を行うが生活密着型公共事業は減らしている。
軍事費については、あいかわらずの聖域扱いで「ミサイル防衛」システム導入費に過去最高の1,399億円をつぎ込み、また今回、自衛隊の海外派兵司令部である「陸自・中央即応集団」新設を認めるなど際限のない海外派兵、「戦争国家」体制への道を推し進めようとしている。

4.全労連は、無駄な大規模公共事業と軍事費の大幅削減を要求するとともに、史上空前の利益をあげている大企業に応分の負担をおこなうことを求める。低所得者や高齢者など社会的弱者への容赦ない負担増の押し付けは社会を疲弊させ、一層の退廃を招くものである。恒久減税と銘打って実施した定率減税は堅持し、社会保障、教育、暮らし関連に手厚い予算を充当すべきである。
 小泉構造改革による「小さな政府」づくりは、予算編成においても貫かれているが、これが国民生活に徹底的な痛打を与える情け容赦ないものであることがあらためて明らかになってきた。
全労連は、国民生活優先の予算組み替えを要求するとともに、06春闘を通じて、職場・地域から憲法改悪を許さず、「小さな政府」論に反対し、労働者・国民の暮らしと平和が守られる政治の転換をめざして、奮闘する決意をここに表明するものである。

以上