【声明】

郵政民営化法案の衆議院本会議での採決強行に抗議する

2005年7月5日
全国労働組合総連合郵政民営化反対対策会議
責任者(全労連副議長) 國分 武
郵政産業労働組合
中央執行委員長 山崎 清


 政府・自公与党は、5日、衆議院本会議で、国民の圧倒的大多数の声を無視して郵政民営化関連法案を採決した。
 自民・公明・民主の各党は、「法案の『修正』が終わってからきちんとした審議をすべきだ」と言っておきながら、3党が4日の衆議院特別委員会、5日の衆議院本会議での採決に合意し、「修正」提案後、短時間の審議で採決を強行したことに断固抗議する。
 国会が、反対意見を無視して、法案にどんなに欠陥があっても、短期間で押し通そうという姿勢は、議会制民主主義に反するものであり、断じて許されない。
 郵政民営化法案は、全国一律のサービスが義務づけられ民間にできないサービスを提供している郵便貯金・簡易保険を、単なる銀行・保険会社に変質させるだけでなく、国民への基礎的な通信・金融サービスを担っている郵便局の全国ネットワークをずたずたにするものであり、国民にとって「百害あって一利なし」の悪法であることが、これまでの国会審議を通じて明らかとなった。
 郵政民営化の真の目的は、みずからのもうけ口を広げるための郵貯と簡保の縮小・廃止を求めてきた大銀行、生保業界や米国金融資本の要求にこたえることにある。
 2,616の自治体から「民営化反対」や「慎重審議」を求める要望書が政府に寄せられていた。また、共同通信社の世論調査では、「今国会で成立させるべきだ」21%、「民営化する必要はない」23%、「今国会にこだわる必要はない」48%で、何が何でも今国会で成立させるべきだと求めているのはごく一部であり、国民はこの法案を早期に成立させることを望んでいない。
 小泉首相は、「公社であるかぎりリスクのある資産運用ができないが、民間になればそういう点で経済的に活性化する」とのべ、国民の資産をリスク(危険)にさらすことを容認する姿勢を示している。
 また、郵政公社存続の場合、国庫納付金を納めた後でも、692億円の黒字となるのに対し、民営化しようとする郵便貯金銀行の経営の見通しは、2016年度の収支が600億円の赤字になり、それ以降も赤字続きになることが、政府の試算でも明らかとなっている。
 さらに、民営化会社は、分割するために、各会社間で支払う手数料に消費税が課税され、新たに預金保険料なども支払うことになり、民営化したために新たに発生する支払額が政府資産によれば2,745億円も発生する。この額だけ郵政公社の方が民間会社より確実に利益があがるのである。
 それだけではない、郵貯の民営化は、バブルに踊った大銀行救済のために郵貯資金で、預金保険機構の欠損を穴埋めする狙いもある。預金保険機構は、バブルに踊った金融機関の破綻の穴埋めで積立金が現在3兆5億円の欠損をだしており、民営化した郵便貯金会社が10年間で支払う預金保険料9,100億円が、結果として銀行業界の過去のツケを何の責任もない郵便局の利用者に支払わせることになる。
 そもそも何のための民営化なのか、小泉首相はいまだにまともな理由を示さないまま、「改革の本丸」と称して、法案を一部修正しただけで、まともな審議も行わずに法案を採決することは断じて許すことはできない。
 全労連と郵産労は、郵政の民営化に反対し、郵政民営化関連法案の成立を阻止し、国民のための郵政事業の確立にむけ引き続き全力をあげるものである。