【声明】

郵政民営化法案の強行成立に抗議する

2005年10月14日
全国労働組合総連合郵政民営化反対対策委員会
責任者(全労連副議長)國分 武
政産業労働組合中央執行委員長
山崎 清


 政府と自民・公明与党は本日、「慎重に審議を」求める国民の意志を無視し、郵政民営化関連法案を衆議院に引き続き、参議院でもわずか1日半の審議で採決を強行し成立させた。まやかしの「小さな政府」論をふりまき、国民に真実を語らずに得た議席を背景に数の力をもって、国民生活に不可欠の郵政事業解体につながる法案の成立を強行した小泉内閣に、断固抗議するものである。同時に、対案となる法案を提出した民主党も、国民いじめの悪政に手を貸し、採決に事実上同意するなど反国民的な対応は許されるものではない。

 政府与党は、総選挙にあたって、郵政公社の事業運営が独立採算で税金が投入されていないにも関わらず、「郵政公社職員を民間人にすることで税金が節約できる」かのような主張を繰り返しただけでなく、郵政公社法に基づく国庫納付金が民営化された場合の法人税より多額であることや、民営化によって経営が赤字になる事実を国民に示して来なかった。

 小泉首相は、選挙を「郵政民営化の是非を問う国民投票」と位置づけたものの、小選挙区では郵政民営化賛成議員の総得票数は3389万票、反対議員の得票は3419万票と反対票が約30万票多いとマスコミ報道でも明らかになっている。この事実は、国民の半数は郵政民営化を無条件で信任していないことを示している。むしろ、共同通信の世論調査では郵政民営化関連法案を「特別国会で成立させるべき」と答えた37.1%に対して、「慎重に議論すべき」が53.4%と過半数をこえている現実こそが国民の声である。

 郵政事業は、三事業一体で「公共の福祉の増進」と「国民経済生活の安定」をかかげて、国民生活になくてはならないものとして134年間にわたってサービスを提供してきた。阪神淡路大震災や新潟中越地震における民間宅配の配達中止と対照的に、避難場所へも配達した郵政職員の活躍や、通帳・証書・印鑑などのない方にも非常取扱いで「即時払い」した対応はまさに「民間ではできない」ことを如実に示している。儲けを目的とする民間金融機関は、1998年から2004年までの6年間で7601の支店を統廃合で廃止してきた。与党が成立を強行した郵政民営化関連法案は、郵政事業をバラバラにし、金融と通信のユニバーサルサービスをズタズタにするものである。小泉「構造改革」と郵政民営化は、国民生活に不可欠のサービスを解体し、公共料金の払込みや年金の受取りなど基本的な国民の権利を剥奪するものであり到底許されることではない。

 全労連と郵産労は、「日本国民の財産・利益・利便性」よりもアメリカと日本の金融資本の要求に応える政府の姿勢に重ねて抗議し、金融と通信のユニバーサルサービスをはじめとした国民のための郵政事業確立を求めて、広範な国民と共同して引き続き全力をあげるものである。

以 上