【談話】
医療制度の大改悪に反対してたたかう

−「医療制度改革関連法案」の国会提出について

2006年2月10日
                                       全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫


 1、政府は本日、「医療制度改革関連法案」(以下「法案」)を閣議決定し国会に提出した。法案の内容は、医療費抑制を至上命題に国民・患者、とくに高齢者と団塊世代に給付削減と大幅な負担増を強いることをはじめ医療制度の大改悪であり、全労連は反対である。

 2、法案では、第1に、高齢者の窓口負担の現行1割を2割(現役並所得者は現行2割を3割に)に引き上げ、70歳以上の長期入院の食事・居住費を患者負担にする、高額療養費の自己負担額を引き上げるなど国民・患者に給付削減と大幅な負担増を強いるものとなっている。
 第2の医療保険者の再編統合は、政管健保は国と切り離した公法人の運営とし財政運営は都道府県単位を基本に、地域の医療費を反映した保険料にする、国民健康保険の運営も都道府県など広域化する、地域型健保組合の設立を容認などであるが、保険者を都道府県単位を基本にすることは国の運営責任と財政負担の軽減、保険者ごとに医療費抑制を競わせることにねらいがある。
 第3の新たな高齢者医療制度の創設では、75歳以上の高齢者を対象とした独立保険を創設し、被扶養者からも保険料をとる、保険料は年金から天引きするとされている。高齢者の負担増と給付削減によって高齢者医療費を抑制するものである。
 こうした給付削減と負担増では、病気の早期発見・治療を妨げ、お金がなければ医療が受けられなくなる事態を招きかねない大改悪と言わざるをえない。

 3、法案に関連して、医療給付費を従来見通しに比して11兆円削減し、2025年度45兆円に抑制する将来目標が設定されているが、今後長期にわたりさらに厳しい医療給付抑制と患者・国民負担増を強いるものである。
 また、すでに診療報酬の過去最大3.16%引き下げが決まっているが、医療水準の低下、いまでも苛酷な医療労働者の労働条件、人員体制への悪影響、患者の保険外負担増などが懸念される。

 4、だれもが、いつでも、どこでも、安心して医療を受けられる医療保障、医療制度の確立は国民共通の願いである。日本の医療費はOECD加盟国30国中17位であるし、国内総生産(GDP)に占める社会保障支出は16%にすぎない。社会保障支出を先進資本主義国並にするだけで改善も可能である。同時に、日本の事業主負担は先進諸国に比べて低いことが想起されなければならない。
 全労連は、国民の安全・安心を脅かす医療制度の大改悪、小泉政権の掲げる「小さな政府=大きな国民負担」に反対し、職場・地域から広範な国民諸階層との共同を強め全力でたたかうものである。

以上