【談話】
「行政改革推進法案」など行革関連5法案の拙速採決に抗議する(談話) −衆院行政改革特別委員会での採決にあたって−
2006年4月19日
全労連「もうひとつの日本」闘争本部
事務局長 坂内 三夫
本日、衆院行政改革特別委員会において政府・与党は、「行政改革推進法案」「市場化テスト法案」など関連5法案の採決を強行した。全労連「もうひとつの日本」闘争本部は、関連5法案が国民のくらしと安全、国と地方行政の根本にかかわる重大な問題であるにもかかわらず、公聴会も開かず、おざなりの審議で採決したことに強く抗議するものである。
行政改革特別委員会での議論は、「民にできるものは民へ」と国の責任を放棄する問題、国民の安全やくらしを支える公務・公共サービスの切り捨てと公務員の純減問題、特別会計合理化による労働者・国民生活への影響、政策金融の統廃合による中小企業などへの金融支援問題などについて、行政の受け手である国民の立場からの問題点解明について、充分な審議を尽くしたとはとても言えるものではない。同時に、公益法人への天下りや官製談合問題など、本来求められている改革は手つかずの状況である。
「行革推進法案」による公務員の純減は、国民に何をもたらすのか。身近な国の出先機関である職安や労働基準監督署などは統廃合を余儀なくされる。地方では、いまでも国が定める配置基準の75.5%しか配置されていない消防士をさらに削減するとしている。また児童福祉司の配置基準を満たす自治体は4割にもかかわらず、職員を削減する。児童及び生徒の減少に伴い少人数学級実現の好機にもかかわらず、教職員の純減によって30人学級実現を困難にするなど国民の切実な願いにも背をむけている。
全労連が行った全国キャラバン行動でも、自治体首長などから「国は仕事のみを押しつけ、金は削る」「地方交付税の削減で末端自治体は瀕死の状態だ」「財政がない中で、住民の安全、福祉をどうしたらいいのか」「国は何を考えているのか」などの怒りの声が寄せられている。
国民の立場に立った「行政改革」は政府の「大きさ」ではなく、格差拡大を是正し、社会保障の充実などで、国民が安心して安全な生活ができる社会を実現することである。いまこの国の政治に求められていることは、大企業・高所得者への優遇税制や減税をやめ、税の累進性を強化して、所得再分配機能を高めることである。雇用と労働の分野では、規制緩和路線でなく、解雇規制法の制定や労働時間の短縮、同一労働同一賃金、全国最低賃金制度の確立、女性やパート労働者の差別待遇の解消と均等待遇の実現である。
全労連「もうひとつの日本」闘争本部は、行政改革推進関連5法案の参議院での徹底審議を求めるとともに、国民にとって百害あって一利なしの同法案の廃案めざし、職場と地域を基礎に、民間と公務の労働者をはじめ、自治体を含む広範な国民各層との共同を広げ、全力をあげて奮闘するものである。以 上