【談話】
「公務員制度改革に関わる政労協議」について 2006年5月30日
全労連「公務員制度改革」闘争本部
本部長 坂内三夫
1.昨日、公務員制度改革等に関する日本政府と連合との3回目の協議(いわゆる「政労協議」)がひらかれ、公務員の定数削減などをふくむ総人件費改革の推進にむけて内閣に内閣官房長官を本部長とする「国家公務員雇用調整本部」を設置することが確認された。
しかし、この本部の設置の内容と手続きには重大な問題を含んでいることを看過できない。この間の国会論戦でも指摘されたように、国家公務員の定数を削減することは、国民生活に不可欠な公務サービスを切捨て国民の安全・安心を脅かすことにつながる重大問題である。また「5年間で5%純減する」ために配置転換や採用抑制などを行なうことは重大な労働条件の変更問題であり、何よりも当該労働組合との十分な協議と合意がその前提になければならない。しかるに「雇用調整本部」を当該労働組合との協議もなく、政府が一方的に組織を設置しており、全労連はこの「雇用調整本部」の設置に強く抗議するものである。
2.「政労協議」では、過日成立した行政改革推進法をふまえて政令にもとづき「労働基本権を付与する公務員の範囲について検討する場」を設置することについても合意されたが、これも多くの問題を含んでいる。第一に、ILO「結社の自由委員会」は、「結社の自由原則に合致させるようにすることを目的として、全ての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する」と三回にわたって日本政府に求めている。にもかかわらず、関係当事者である全労連との「政労協議」が行なわれないまま、「検討する場」の設置が決められたことである。第二に「検討する場」に参加する委員の選出についても、何ら全労連の要望・意見を聴取することもなく決定されている。
3.全労連は、これまで再三にわたって政府に対して、公務員の労働基本権問題での交渉・協議を求めてきたが、これまで行政改革推進事務局長以下の対応に止まり、かつ回数も限られている。また、04年にはILO勧告をふまえた「当面の労働基本権保障の具体的要求」を政府に提出し、この5月には「公務・公共サービスと公務員制度」についての「見解」をまとめて提案しているが、これらの内容が「検討の場」に反映するための措置も何ら保障されていない。
全労連や当該労組をふくむ関係者との十分な協議が行なわれないまま、事態が推移し続けることは断じて容認できない。全労連は、ILO勧告の内容にもとづき公務員労働者に労働基本権を保障すること、そのため全労連と担当大臣らとの「政労協議」をただちに行なうことを政府に強く求める。
全労連は、その実現のためILOへの働きかけをはじめとして、すべての労働者・労働組合が一致して国内外の世論と運動を強化するものである。
以上