【談話】

イラクからの自衛隊の全面撤退を要求する

2006年6月20日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


 政府は20日昼、安全保障会議を開き、サマワを含むムサンナ州から多国籍軍が7月に撤収すると発表したことを受け、イラクに派遣している陸上自衛隊の撤退を表明する一方、クウェートを拠点にした航空自衛隊について国連や多国籍軍支援のために派遣を継続し、空輸先をバグダッドやアルビルに広げる方針を決めた。

 小泉純一郎首相は20日午後、首相官邸で記者会見し、イラク南部サマワでの陸上自衛隊の復興支援活動について「イラク政府からも住民からも高い評価と信頼を受けた」と成果を強調し、イラク戦争については「さまざまな措置は正しかった」と述べ、自衛隊のイラク派兵をどこまでも合理化しているが、これほど厚顔無恥な態度はない。

 そもそも、アメリカ軍を中心とする多国籍軍のイラク戦争は、サダム・フセイン政権の大量破壊兵器の存在を最大の根拠としていたが、その虚構はアメリカ政府自身によって否定されるというように国際法無視の大義なき侵略戦争であった。にもかかわらず、ブッシュ大統領は、その後も対テロ戦争の防止を旗印にして駐留を続け、現在も米軍とイラク軍の掃討作戦によってテロとは無縁の一般市民を殺害している。

 小泉首相は、アメリカによるイラク侵略を真っ先に支持し、大量破壊兵器の事実が無かったにもかかわらず、憲法9条を形骸化させるイラク特措法を制定し、自衛隊を2年半にもわたって海外派兵し、撤退を決めた今日においても、イラク戦争についての「さまざまな措置は正しかった」と居直っている。
 これは、アメリカ・ブッシュ政権の先制攻撃戦略に組み込まれた小泉首相の極端かつ屈辱的なまでの対米追随姿勢を如実に示すものである。また、航空自衛隊を今後とも継続派遣することは、イラク特措法からの逸脱であり、自衛隊員の命の危険を長引かせるとともに、イラク国民と日本国民の「全面撤退」の要求に背を向けるものであり許されない。

 私たちは、小泉自公政権に対し、イラクからの航空自衛隊の即時撤退とともに、自衛隊の海外派遣を常時可能とする「恒久法」の制定、「防衛省法」や国民投票法案などのあらゆる憲法改悪策動、在日米軍基地の再編強化決定の中止をつよく要求する。

以上