【談話】
トンネルじん肺訴訟に対する厚生労働省の控訴に強く抗議し、全面解決を求める
2006/07/19
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫
トンネル工事の現場でじん肺になった元労働者や遺族が国に損害賠償を求めたトンネルじん肺訴訟で、旧労働省が適切に粉じんの規制をしなかったことが被害を拡大させたと認定した東京地裁、熊本地裁の判決に対し、厚生労働省はこの判決を不服として18日、控訴した。厚生労働省は両地裁の判決に従い、じん肺根絶、全面解決に向けて誠意を持って取り組むべきであり、私たちは控訴に対して強く抗議するものである。
判決は被告である厚生労働省が、「長年にわたって、トンネル工事現場から職業病・じん肺を発生させてきたにもかかわらず、なんら対策を講じてこなかった」と国の責任を厳しく断罪し、損害賠償を命じた。熊本地裁、東京地裁の判決はじん肺患者と遺族が元請企業と和解した後、勇気を持って再び原告となり、たたかった成果であり、全国から寄せられた100万を超える「じん肺根絶署名」や40%を超える地方自治体決議を得るなど建交労をはじめとする労働組合、支援者の運動の成果である。
今日、アスベスト被害が拡大し、アスベスト新法のもとで一定の救済が図られようとしているが、非常に限定的なものとなり、国及び企業の責任が果たされているとはいえない。現在、各地でアスベスト訴訟が準備されているが、そういう点でも今回のトンネルじん肺訴訟における国の責任を真摯に認めようとしない厚生労働省の態度は看過できないものである。
私たちは8月下旬に予定されている仙台地裁の判決においても、国の責任が明確に断罪されると確信する。私たちはじん肺防止の行政責任を担っている厚生労働省が、控訴を取り下げ、トンネルじん肺原告団、弁護団および当該労働組合との協議の場を設け、早期全面解決をはかるよう求めるものである以上