【談話】

「日の丸・君が代」の強制は違憲とする東京地裁の判決について

2006年9月22日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和


 東京地裁は9月21日、東京都教育委員会が「日の丸・君が代」を強制する通達を出したことは違憲・違法だと訴えた裁判で原告の教職員401人の主張を全面的に認める判決を言い渡した。

 判決では「通達や都教委の指導、校長の職務命令は、教職員に一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するに等しい」とし、教育基本法10条にある「不当な支配」に当たり違法と判断している。また「公共の福祉の観点から許される制約の範囲を超えている」として、憲法19条(思想・良心の自由)にも違反すると結論付けた。

 1994年の政府統一見解では、「学校における『国旗・国歌』の指導は内心にわたって強制するものではない」とされており、それにも反する東京都教育委員会の通達は即刻廃止されるべきものである。また、卒業式や入学式などにおいて、教職員や児童生徒、保護者に「日の丸」への起立と「君が代」斉唱を強制しないこと、それを理由として教職員に不利益処分を科さないことを強く求める。政府と東京都教育委員会は、今回の判決を厳粛に受け止め、控訴することなく憲法と教育基本法が期待する本来の教育行政を実施すべきである。

 行政の教育現場への介入は、教育の「不当な支配」となりやすいことを今回の判決が明らかにしている。その点で、「教育振興基本計画」を通して、時の政府が教育をほしいままに支配する道をつけようとしている教育基本法改悪の問題点をも指摘するものである。

 自民党の安倍晋三新総裁は、26日召集の第165臨時国会で「教育基本法の改正を最重要法案として取り組んでいきたい」と表明しているが、今回の判決をふまえれば、そのような強行姿勢は許されるものではない。

 全労連は、「教育基本法改悪許さない各界連」とともに、あらためて教育基本法の改悪に反対し、平和憲法と教育基本法を生かす教育の実現のために全力を尽くすことをここに表明する。

以上