【談話】

「違法・脱法リストラを反省し、ただちに原告・組合員らを地元職場に戻せ」
NTTリストラ・札幌地裁の全面勝利判決について

2006年9月29日
全労連NTTリストラ闘争本部
事務局長・寺間誠治


 1.NTTが2002年に強行した11万人リストラに関し、子会社への転籍拒否を理由に遠隔地へ配転したのは違法として、北海道の通信労組組合員5人がNTT東日本を相手に提訴していた訴訟の判決で、札幌地裁(笠井勝彦裁判長)は本日、組合員らの請求を認めNTT東日本に総額300万円の慰謝料の支払いを命じた。
 笠井裁判長は、判決で「配転はいずれも人事権の乱用で違法」と述べ、原告らが「業務上の必要性はなく、不当配転」とした主張を全面的に認めた。この判決は、他の4地裁で争われているNTTリストラ裁判への追い風となることはもちろん、横行する民間大企業リストラについても、一方的判断による配転の強行などに歯止めをかけるものとして、重要な意義を持つものである。
 勝利判決は、裁判闘争を支えていただいた単産・地方組織、弁護団や全国の皆さんの支援の力によるものであり、これまでのご支援ご協力に対し改めて心から感謝するものである。

 2.NTTリストラに対しては、全労連・通信労組が全国7地裁で裁判を提起し、名古屋では、昨年8月に(福岡も併合)勝利和解が成立している。現在、東京、静岡、大阪、松山の各地裁で係争中となっており、今回の札幌地裁判決は初めてのものである。
 問題となっている「異職種・遠隔地配転」は、純粋持株会社NTTが2001年4月に発表した「NTTグループ経営3カ年計画」に基づき、NTT東・西会社が策定した「構造改革をめざす業務運営の見直し」、すなわち「NTT11万人リストラ計画」の具体化として、実行されたものである。「計画」は、NTT東・西会社が行っていた電話業務に係る業務を新設地域子会社へ「外注化」し、50歳以上の社員には、「NTTを退職して、15〜30%の賃下げで地域子会社へ再雇用させる」というものであった。NTTリストラは、「利益の最大化」を追求するため、情報通信サービスの切り捨てと総額人件費削減を目的にしたものであり、退職再雇用を拒否した組合員らに対しては、一方的な不利益配転を強行した。このような配転命令は通信労組組合員らがリストラに逆らったことに対するみせしめに過ぎないものであった。

 3.全労連は、NTTが今回の判決を真摯に受けとめ、控訴をせず判決を遵守することを強く要求する。
 純粋持株会社方式による大規模リストラは、他の企業にも大きな影響を与え、労働者の働くルールを破壊するものとなってきた。全労連は、NTTリストラを止めさせ、違法性が明確となった「50歳退職・賃下げ再雇用」制度の完全な廃止に向け、さらに奮闘することを表明する。

以 上