ところが労働戦線再編後の第二一期任命以降今日にいたるまで、内閣総理大臣が行なってきた中労委労働者委員の任命行為は、労働委員会制度の趣旨にも、また憲法第二八条および第一四条(法の下の平等)にも背くものとなっている。労働組合の一潮流である日本労働組合総連合会(「連合」)が推薦する候補者のみを繰り返し委員にしてきたことは、労働省自身が一九四九年に発した「第五四号通牒」に照らしても不公正な「偏向任命」である。
そして何よりも重大なことは、このような不公正な「偏向任命」が、労働委員会制度を形骸化して、不当労働行為からの速やかな救済を求める多くの労働者の人権を侵害していることである。
いま歴史の節目に立って、労働行政は労働者・国民から遊離した不公正、平和と民主主義の流れに逆らう「偏向」を虚心に克服し、一掃すべきである。戦後半世紀の歴史の中でためされた憲法と労働組合法の原点に立ち返り、時代と民主主義の要請に応えるべきである。
私たちは、今年十月に行なわれる第二四期中労委労働者委員の任命にあたり、内閣総理大臣と労働大臣・労働省が、今度こそ「連合」に属さぬ労働組合である全国労働組合総連合(全労連)と純中立労働組合懇談会(純中立懇)が推薦する候補者を労働者委員に選任することを強く要求するものである。
右、決議する。
一九九六年七月二五日
全国労働組合総連合第一五回定期大会