大会宣言

戦後50年余、21世紀を目前に控え、平和・民主の日本国憲法の持つ意義がいっそう重要性を増しているいま、全労連第16回定期大会は開かれた。私たちは新たな時代の幕明けに確信を持ち、日本の働くすべての労働者・国民と世界の働く仲間に思いを馳せ、平和と民主主義、より豊かなくらしの実現をめざし、いま150万人を超えた全労連の総力をあげて奮闘する決意を新たにした。

「オール与党」は、憲法を無視し沖縄の永久基地化をすすめる「特別措置法」改悪、自衛隊機の海外出動、消費税の増税、医療保険制度の改悪、女子保護規定の撤廃などくらしや平和をおびやかす国民いじめの悪政を積み重ねた。一方、野村証券、第一勧銀などの金融不祥事、政官財一体の度重なる汚職腐敗など、大企業本位・国民無視の政治が日本の平和と国民の生活に大きな脅威を与えている。

全労連は、運動の飛躍的前進をめざした兵庫における「全国討論集会」の成功を踏まえ、消費税増税中止、医療保険改悪反対、女子保護規定の撤廃反対、財界の21世紀戦略との厳しい対決となった97国民春闘など、かつてない共同の広がりをつくりだしてきた。また米軍基地のたらい回し反対へと発展した沖縄闘争、公共事業の見直しなどでも、新たな国民との共同を前進させ、大企業のための規制緩和を許さない多面的な運動や阪神・淡路大震災被災者への公的助成を求める制度要求等にもとりくんできた。

3日間の大会討論で私たちは、これらのとりくみを通じて悪政にたいする国民の怒りの強さを実感し、対話と共同の広がりこそ闘争前進のもっとも確かな保障であるとの教訓を明らかにした。また、明日に延ばせない切迫した要求を持って数多くの新しい労働組合の組織化をすすめ、全労連運動への新たな結集を広げた具体的な経験が交流された。

さらに大会の討論は、都議会選挙、続く三郷・那覇市議選挙、国分寺・宜野湾市長選挙での日本共産党と革新陣営の勝利は、決して一過性のものでなく、自共対決という新たな政治状況をつくりはじめていることを明らかにした。この政治的変化が日本の労働組合運動に新しい変化を生み、共同の条件をいっそう大きく広げていることも指摘された。全労連はこの情勢を、労働組合運動の展望を大きく切り開くものとして歓迎し、今後の奮闘へたたかう決意を確認した。

今日、世界の労働組合運動の新たな高揚に触れ、日本にあって悪政とたたかい、要求実現めざして奮闘する労働組合運動にかける国民の期待はひときわ大きいものがある。全労連は結成以来、その期待に応えることを原点として奮闘してきた。今こそ、一部の幹部のみに依拠する運動を克服し、全労連の組織の総力を結集して当たるときである。その中心的運動が要求を大切にする労働組合運動の飛躍をめざす10万人オルグ大運動であり、このとりくみの成功をめざし、全力を上げて奮闘しなければならない。

いま、職場では過酷なリストラ「合理化」に加えて賃金抑制が長期化している。また「オール与党」勢力は、反動的国家再編の「行革」・規制緩和とそれをすすめる「財政構造改革」計画、年金と医療保険の抜本改悪と民意を無視した介護保険を全面的に推進しようとしている。さらに、アメリカの戦争政策への協力を強める「ガイドライン」の見直しと有事体制の策動、歴代自民党のなし崩しの憲法形骸化のうえにたつ「憲法制度調査委員会」設置に見られる明文改憲などを企てている。しかし、これらの攻撃は労働者と国民の「オール与党政治」への怒りと矛盾を一層深めずにはおかない。大局における日本の歴史は確実に前進し、労働組合運動も大きな前進のチャンスを迎えている。

大会は、このチャンスを生かしきり、労働者・国民の困難を打開するための大闘争を組織することを決意した。

 要求と矛盾は、職場と地域に渦巻いている。だからこそ、たたかいのエネルギーも職場と地域に蓄積されている。運動の目線と重心を職場と地域に置こう。

 すべての職場の門戸を音高くたたき、「オール与党」政治に反対し、国民本位の政治の実現を求める生き生きとした息吹きを、職場と地域に確実に広げよう。そして歴史の新たな前進をもとめる国民の要求と力に連帯しよう。

98国民春闘勝利をめざし、切実な要求をしっかりにぎって、職場と地域からの対話と共同を積極的に広げる数百万の「要求アンケート」の集約を高く掲げ、全力をあげて打って出よう。

大企業の横暴を規制し経済の民主的再建をはかろう。

男女平等と働くルールの確立で労働者の雇用と権利を守り、国鉄闘争をはじめとするすべての争議を勝利させよう。

「行革」・規制緩和に反対し、国民本位の行財政を確立しよう。

世界の労働者と連帯し平和と民主主義を守る、など積極的な展望を持ってたたかおう。 そして、これらの推進力として、早期に200万全労連を達成し、21世紀への飛躍と展望を確かなものにしよう。

1997年7月25日
            全国労働組合総連合第16回定期大会