TOPへ
全労連第17回定期大会へのあいさつ
1998年7月28日
全労連議長 小林洋二全労連第17回定期大会は、参院選でつくりだされた画期的政治情勢のもとで開催されることになりました。この情勢をしっかりうけとめ、労働者と国民の期待にこたえる大会を立派に成功させようではありませんか。
参院選の結果は、労働者の怒りが爆発し、「自民党政治ノー」の明快な回答がだされました。自民党の得票率は25%にすぎず、約1,000万票が野党に移動しました。いわば1,000万国民の一票一揆ともいえる庶民の乱がおこったのであります。
そして日本共産党は、選挙全体をつうじて論戦をリードし、議席、得票とも大躍進しました。全労連は、協力共同してきた立場から、日本共産党の大躍進を歓迎し喜ぶものであります。
いま求められているのは、民意と著しいかい離のある国会を解散し、民意にもとづく国会にすることであります。衆議院の自民党過半数は選挙にもとづくものではなく、虚構の多数であります。野党は力をあわせて、国会解散のために全力をあげることをつよく求めるものであります。私は、臨時国会で選ばれる首相にたいして、国会解散をおくらせることは内閣の命を縮めるものだと警告するものです。全労連は、諸要求を結集し、国会解散の国民運動の先頭に立つことを表明するものであります。
野党や労働界の一部に「非自民・非共産」といった政治論がありますが、日本共産党の大躍進に示された国民の期待は、日本共産党を含めた、自民党に代わる政治であります。いま重要なのは、国民本位の不況打開をはじめ、政策の一致を追求し、国民のねがいを一つひとつ実現することにあると思います。そのことに背を向ければ、その野党もまた自民党と同じ道を歩まざるをえないのであります。
今日、問われているのは、自民党の甘えの構造であります。大銀行やゼネコンにはいたれりつくせり、しかし国民には痛みだけをおしつけてきたことです。このようなやり方が日本経済を危機におとしいれているのです。ここにメスを入れる政治、すなわち負うべき企業責任はキチンと負わせる資本主義のルールの確立であり、“銀行救済より国民救済を”といわれたように、消費税をせめて3%にもどすことをはじめ、国民のくらしと営業を守る政治への転換であります。惨敗してもなお反省なく、おごる自民党に未来はありません。
1,000万人規模の一票一揆ともいえる庶民の怒りは、日本の未来をつくりだす大きな力であり、方向を示しています。これは、21世紀の新しい扉を力強く開く足音を感じさせるものであります。そして来年のいっせい地方選挙ではさらに前進しましょう。地方自治は、民主主義と国民のくらしの要であり、21世紀を民主的に切り開く土台であります。
子どもたちにひろがる荒廃を克服し、子どもが人間として大切にされる社会の実現をめざし、この子どもたちとともに明るい希望のもてる21世紀へ前進しましょう。
本大会でもっとも深めていただきたいことは、全労連はいかなる役割を果たさなければならないかということであります。労働者・国民の状態悪化がすすむもとで、その根本原因を問いつつ、大多数が一致する課題をとりあげ、一歩一歩現実を変えることであります。そのためにもすべての労働組合の共同を追求し、管理職も含むあらゆる労働者・労働組合との共同をつくりだすことであります。全労連が日本労働運動の団結の母体となって奮闘することであります。
こうした立場に立ち、果敢に挑戦する主な課題について申しあげたいと思います。
まず労働法制の大改悪は、参院選の結果、廃案への展望が大きく開かれました。この条件を最大限に生かし、国会解散の国民運動とも結合しつつ、独自のたたかいをつよめ、必ず廃案にするために全力をあげましょう。とくに労働法制改悪が景気をさらに悪くすることを明らかにしてたたかうことが重要です。そして現にひろがっている改悪先どりの実態を告発し、職場からのたたかいを強化しましょう。
本大会に2つの政策提案をおこなっています。そのひとつは、雇用についてです。不況の長期化のもとで失業率が史上最悪となり、深刻な雇用不安がひろがっています。その打開の基本方向は、サービス残業をなくし、国際公約の年1,800時間労働を実現し、公的サービスの向上で1,000万人の雇用創出をおこなうことでありますが、当面する最大の焦点は、日本の産業の8割以上を担う中小企業の仕事と雇用の確保拡大であります。このためまず中小企業経営者との対話を全国でくりひろげ、実態をしっかりとつかみ、中小企業との共同を発展させましょう。この方向は、公共事業の生活型への転換と、中小企業への発注をはじめ国と自治体の行政を転換させ、大企業の横暴を規制することであります。公務員の一律削減がいわれていますが、国民サービス切り捨ての行革ではなく、教育、医療、介護、災害など公的サービス向上への転換です。
この提案をもとに、全国各地から実践と対話をつうじて政策のいっそうの充実をはかり、不況打開と雇用を守る大規模な運動の発展を呼びかけるものであります。
もうひとつは年金の大改悪を阻止し、安心してくらせる老後保障を求める政策提案であります。政府は、高齢化がすすむもとで年金財政はもたないので年金4割減か年金保険料倍加かという史上最悪の改悪方向を示していますが、日本社会は、寿命だけがのびたのではありません。経済も大きく成長したのです。この富をなにに使うのかであります。老後とは富の再分配によって保障されるべきであり、その力は日本には充分にあるのであります。基礎年金への国庫負担が3分の1に削減されましたが、当面の改悪をやめさせるために、これを国会の付帯決議にもとづき2分の1にすること、そして莫大な年金積立金をとりくずすこと、賃金引き上げをおこなうことで財源はうまれるのです。将来は、基礎年金は全額国庫負担にして、すべての国民に年金を保障すること。これこそ21世紀の日本のすすむべき方向であります。しかし政府・財界は、公的年金をなくし、国民の自助努力にさせようというねらいがあるから大改悪をするのであり、決して財政問題ではありません。99年大改悪を阻止し、年金改善の展望をつくる一大国民運動の先頭に立って奮闘しましょう。
医療の連続改悪を許さず、もとにもどせというたたかい、介護の確立など社会保障充実に向け、全力をつくすものであります。
賃金闘争についてですが、賃金抑制とあわせて賃金格差、不安定雇用の著しい増大による低賃金の拡大再生産がすすんでいます。こうしたもとで、生計費原則を堅持し、大幅賃上げ要求は当然ですが、同時に、パートなどの不安定雇用労働者のたたかいを重視し、最低引き上げ要求を全労働者のたたかいとしてたたかうことがいよいよ重要になっています。この点から独自のアンケートも実施することにしました。これは、日本労働運動の画期をなすとりくみです。もっとも非人間的な状態を正面にだし、これでも労働者を人としてあつかっているのかという列島各地からの人間の叫びをあげるたたかいであります。このたたかいは、能力給による賃金差別へのたたかいとかたく結びつくことはまちがいありません。
そしてもうひとつは、賃金要求でのたたかう共同であります。賃金要求は、広範な労働者の世論によってつくることで力になります。要求アンケートを大規模に成功させることをあらためて強調するものです。同時に、日本労働運動では賃金要求を決める多様なしきたりもあります。こうしたもとで賃金抑制をうち破るために、かかげた要求をかちとるたたかう共同の発展が重要になっていると考えます。賃上げは、不況打開にとって決定的に重要であり、はげしい賃金抑制が不況を深刻にしてきたのであります。財界はリストラ「合理化」をすすめ、国際的産業再編をすすめていますが、このようなコスト競争は国際的な非難をまぬがれることができません。“国際ルールを守れ”という国際連帯をつよめ、賃金・時短などのたたかいを強化するものです。
アメリカの戦争に自動参戦するという新ガイドライン関連法案を許さない広範な共同をひろげ、日本の平和・中立に向かってたたかいましょう。原水爆禁止世界大会を成功させ、人類の悲願である核兵器をなくせの世界の世論をリードし、唯一の被爆国としての責任を果たそうではありませんか。
最後に、全労連が内外の期待にこたえ、ひろがる共同を発展させて、日本労働運動の団結の母体になるという役割を果たすという任務にふさわしい組織的前進をなんとしても実現しなければならないと思います。職場・地域におこった政治の変化にしっかり立脚し、組織拡大を全体の課題にして全力をあげましょう。組織が社会的影響力を発揮するには、全労働者の10%をこえることが必要です。産別・地域ですでに10%を突破しているところもありますが、情勢の変化のなかでどこでも可能性が大きくひろがっています。全国各地で産業別に10%突破を合い言葉に、当面200万全労連を早期に達成し、21世紀のおそくない時期に500万全労連に向かって前進しましょう。
全労連会館は今年中に建設に着手する予定です。全組織の格段のご協力を要請してあいさつとします。
以 上