大会宣言

21世紀に向けて、いま日本の歴史は音をたてて流れ始めた。
参院選における自民党の惨敗は、財界とアメリカの利益のために国民をまったく顧りみない自民党政治への、国民のきびしい審判であった。それは、この国の主権者が国民であり、国民こそが新しい日本の歴史の真の形成者であることをドラスティックにしめした。
これに対して自民党は、国民の意思と無縁な総裁選で世論をそらし、国民をあざむく「たらい回し」によって政権を維持しようと、姑息であるが危険な策動を行なっている。

全労連第17回定期大会は、労働者・国民のくらしと雇用の危機がいっそう深刻さを増しているもとで、自民党による「不良債権処理」「労働法制全面改悪」「新ガイドライン」など国民犠牲の反動的策動の継続を許すのか、それともこれらの策動とたたかい、解散・総選挙で跳ね返し、国民本位の不況打開と政治の転換にむけ開き始めた歴史の扉をいっそう大きく開くのかと言う、日本の歴史の進歩と反動をめぐる鮮やかな対決軸の上で開催された。

大会の討議は、民間・公務、大企業・中小企業、「正規」・非「正規」、管理職・一般職を問わず、あらゆる種類の労働者がいま、行革・規制緩和と激しいリストラ「合理化」、のもとでの首切り、解雇、失業の増大、過酷な長時間・過密労働とサービス労働等との全国各地のたたかいの豊かな経験と仲間たちの昼夜をわかたぬ奮闘が明らかにされた。
大会討議は同時に、これらの困難が、戦後最悪の深刻な不況と大企業・大銀行の横暴、下請け単価の切り下げと銀行の貸し渋り、大型店の無秩序な進出と農産物の輸入自由化のもとで、深刻な打撃を受けている広範な中小業者・農民と共通する困難であることをも鮮明にした。

これらを通して大会は、激動する今日の情勢が、広範な労働者・国民に、職場と地域の違いを超えて一致する要求で共同を広げる条件をもたらしていることを確認した。そして、切実な要求が渦巻き、共同への客観的条件が成熟している職場と地域では、この条件を生かす「総対話と共同・10万人オルグ大運動」を軸に、県労連と地域労連、単産・単組の仲間たちの地を這うようなたたかいが、力強くしかも創造的に積み重ねられている。
その豊かな実践は内外の労働者を励まし、全労連の運動と組織を飛躍させる条件を踏み固めているばかりでなく、全労連運動に対する社会的な評価と期待を急速に高めている。いま全労連は、たたかいの視野をいっそう広げ、共同の対象を文字どおりすべての労働者・国民に広げることを、内外から強く求められている。
全労連は、この到達点の上に改めて「すべての労働者の団結の母体」と言う全労連結成の原点を据え直し、「運動と組織の多数派へ」の展望に向かって前進すべき時を迎えている。

大会は、これらの情勢と教訓を受けて、不況を国民本位に打開するため「消費税を3%へ」の大運動の推進とともに第一に労働法制と年金・医療制度の改悪阻止、第二に大幅賃上げ、雇用安定と国民本位の不況打開、第三に全労連組織の強化と拡大と言う三つの課題に、すべての組織が「力を集中」することをよびかけた。
さらに大会は、日本のすべての労働者・国民に向けて、「緊急雇用対策(案)」と「年金大改悪阻止要求(案)」を発表し、この二つのテーマでの討論と合意形成の運動をよびかけた。

去る1989年11月21日、全労連結成大会が採択した行動綱領「希望に輝く未来のために」は、「全労連は、労働者の切実な要求実現と働く人びとの希望に輝く未来のために、すべての労働者・国民とともに、その歴史的役割を果たすことを最大の目的とし、行動します」と高らかに宣言した。新しい歴史の扉が開き始めたいま、この宣言は、ますます新鮮に、いっそうの切実感と躍動感を加えて、私たちの歴史的使命を実感させている。

21世紀までに残された885日は、世界と日本の、そして全労連の「希望に輝く未来」にとって、その1日1日が決定的な日々となるだろう。そこには、民主的で平和な時代への可能性が含まれている。この重厚な日々の中でこそ私たちは、豊かな暮らしと文化、確かな平和と民主主義を築かなければならない。
いま「希望に輝く未来」に向かって開き始めた歴史の扉を、すべての労働者・国民、世界の労働者とも連帯して、私たち自身の手で大きく押し開こう。そのために解散・総選挙をはじめ、職場・地域を基礎に経済・社会を民主的に転換することが急務となっている。これらの推進力として、1日も早く200万全労連を達成し、強大な全労連運動を軸に21世紀への飛躍と展望をつかみとろう。
1998年7月30日
全国労働組合総連合第17回定期大会