特別決議
「あやまれ・つぐなえ・なくせじん肺」
トンネルじん肺闘争の勝利をめざす支援決議
- 提案組合
- 全国鉄道力車労働組合
- 全日本運輸一般労働組合
- 日本医療労働組合連合会
- 日本国家公務員労働組合連合会
- 全日自労建設農林一般労働組合
- 宮城県労働組合総連合
- 東京地方労働組合総連合
- 新潟県労働組合総連合
- 長野県労働組合総連合
- 福井県労働組合総連合
じん肺は世界最古にして最大の職業病といわれています。じん肺は粉塵を吸い込むことによって肺の組織が壊されてしまう病気で、現代医学をもってしても治すことができません。また、職場を離れても進行するという進行性の病気です。じん肺は多量の粉塵を吸い込まなければ絶対にかかることはない病気で、じん肺を防止する方法も古くから確立されてきました。にもかかわらず、じん肺法制定後も大量のじん肺患者を発生させてきました。現在もなお毎年1千人以上の重症患者が発生し、1千人を超えるじん肺患者が亡くなっています。とくに、近年の高速道路や新幹線の建設、ダム工事などをはじめ、大規模公共事業の行われるなかで、重症のじん肺患者を大量に発生させています。トンネル労働者は「わたり坑夫」と言われるように、全国のトンネル工事現場を転々し、出来高給と無権利状態におかれながら、「国のため、会社のため」と働かされてきた結果、じん肺という恐ろしい病気にかかっています。
こうしたなかで、じん肺被害の救済を求めてじん肺訴訟が広がってきました。これまでに、企業のじん肺加害企業責任を明確に認める26件の判決と73件にのぼる勝利和解を勝ち取ってきました。
これらのじん肺訴訟を中心とするたたかいの成果にたって、1996年10月に「全国トンネルじん肺補償請求団」が結成され、現在団員は1064人に増えています。請求団は「これまでのじん肺裁判闘争の到達点にたって、基本的には、裁判によらずしてトンネルじん肺被害者の「あやまれ・つぐなえ・なくせじん肺」の要求を実現するたたかいをすすめています。しかし、これに対して大手ゼネコンなどが誠意をもって解決に当たる姿勢を示さないなかで、全国請求団代表による訴訟を、東京地裁をはじめ18地裁に4陣にわたって起こしました。原告318人(遺族を含む)、被告企業128社を相手にすすめています。しかし、鉄建公団は全面的に争う姿勢をとり、ゼネコン各社も時効問題などを主張し裁判の引き延ばしをはかろうとしています。
トンネルじん肺闘争の意義は、このたたかいをつうじて、大手ゼネコンをはじめ、企業と業界・国の責任を明らかにさせ、すべての被害者の救済とじん肺根絶の対策を確立させることであり、さらには、労働運動として労働者のいのちと健康をまもり、安心して働く労働環境の改善をはかるうえできわめて重要な意義と役割を果たすものです。
そのためには、このじん肺闘争を社会問題・政治問題として発展させることが、いよいよ重要になっています。10月1日から15日に行われる「なくせじん肺全国キャラバン」をはじめ、トンネルじん肺闘争の重要さを踏まえ、全国各地でたたかいを支援し早期全面解決にとりくみましょう。
私たちは、トンネル労働者のつぎの要求実現をつよく求めてたたかうものです。
- 鉄建公団と大手ゼネコンなど、じん肺を発生させた社会的責任を認め謝罪すること。
- 大手ゼネコン・公団の責任でじん肺被害を償うに相応しい賠償と解決金を支払うこと。
- その際、「消滅時効」を理由とする責任回避をせず、等しく損害賠償を行なうこと。
- じん肺患者を出さないため今後万全のじん肺防止対策を行なうこと。
右決議する
1998年7月30日
全国労働組合総連合第17回定期大会