全労連第18回定期大会へのあいさつ
1999年7月27日
全労連議長 小林洋二大会参加者のみなさんご苦労様です。
来賓のみなさん、友誼組合のみなさん大会激励ありがとうございます。この間、協力共同していただいた、たくさんの労働組合から本大会のために、連帯のごあいさつ、メッセージをいただいたことに感謝します。
本大会は全労連結成10周年を迎えての記念すべき大会です。10周年の真価を発揮し、すべての労働者、労働組合の大同団結をつくり出し、失業者の増大をはじめ困難の打開にむかって、全労働者の期待にこたえる大会として成功させたいと思います。
政府・財界の労働者・国民への未曾有の攻撃は、未曾有の革新的な可能性をつくり出しています。政府の悪政と大企業の横暴は、失業者が340万を超え史上最悪を更新し、自殺者が32800人となり、中小企業の倒産が最悪となるなど、労働者・国民を途端の苦しみにおとし入れています。こうしたことが土台となって、職場に地域にかつてない変化が生まれています。それは根底からの変化であり、一時的なものではありません。今年の闘いは2月7日の8万人集会から果敢に闘われました。そしていっせい地方選挙での自民党の大幅後退、日本共産党の躍進。5月21日は、陸海空港湾労働者と宗教者のよびかけで戦争法反対の5万人集会。6月1日にはすべての労働団体が事実上共同する派遣法や盗聴法に反対する国会前座り込みになり、6月24日には文化人や法律家のよびかけで盗聴法反対のすべての野党、全労働団体の共同集会。日の丸君が代でも共同が発展した。
まさに政府の悪政と大企業の横暴な攻撃は、支配の墓穴を掘り、新たな共同の広がりをつくり出したのであります。
今私たちが重視すべきことは、一致点でのすべての労働者・労働組合の大同団結であります。その焦点は雇用、介護、戦争法であり、これを貫く憲法擁護であります。この一点での共同であります。何が違うかではなく、一致点は何かであります。それこそが困難を打開する確かな道だからです。組織をこえ、立場をこえ、垣根をこえ大同団結をつくり発展させることこそ全労連の最大の使命であり、真価であります。
とりわけ失業者の増大は深刻ですが、最大の問題は、大企業が3つの過剰をなくすとして、リストラ、首切りを強行していることです。失業者の増大に追い討ちをかけるものです。リストラではなく、ヨーロッパのように労働時間短縮、サービス残業をなくして、雇用の増大こそすべきであります。ところが政府は産業競争力を支援するとして、このような財界の首切りを規制するのではなく支援しています。言語道断であります。政府はこのような根本的問題点を持ちつつも、全労連の要求に部分的にはこたえ、自治体への2000億円の雇用特別交付金を補正予算で組みました。期限つきの不充分なものではありますが、公的雇用創出の契機として、自治体ぐるみでもっと本格的な公的雇用創出へむけ運動を強めていきたいと思います。
介護保険の来年実施というもとで、保険あって介護なしの実態はいよいよ深刻です。このままでは保険料の国家的詐欺といわれてもいたしかたない状態であります。今政府がただちにすべき最小限度のことは、介護の実態を正確に把握し、介護認定を抜本的に見直し、要介護者5人に1人程度のホームヘルパー約50万人を確保し、待機者9万人をなくす特養老人ホームの建設に着手する財政措置を講ずることです。こともあろうに、この機に国庫負担を削ろうなどと言うのは言語道断であり、現状の介護福祉は絶対に後退させてはなりません。そして、低所得者の保険料の減免、利用料の免除は、人道の最小限の措置です。これらの対応が来年4月までに間に合わないとすれば、保険料徴収を延期し、基盤整備を急ぐべきであります。年金医療の改悪など許されるものではありません。
憲法が重大な焦点になってきました。憲法擁護の一点での壮大な共同を大会の名において、労働界をはじめ、国民のみなさんによびかけたいと思います。憲法調査会の設置が衆議院で可決されましたが、9条を中心に改憲へのスタートであることはまちがいありません。改憲勢力にとってもそれは重大なカケであります。大多数の国民への挑戦であり、世界の流れに逆行するものです。改憲策動は一路反動、真暗な日本への道を歩むことはできません。これを契機に憲法を守り生かす21世紀への確かな道を拓くチャンスでもあります。ガイドライン法案での大きな共同はこれを発動させない、協力しない闘いへと発展しています。国旗国歌をめぐる問題でも、国民的討論の契機となり、天皇の国ではなく国民主権の日本、憲法を大切にする日本へと世論が広がっています。憲法擁護は労働組合大多数の世論であります。労働界の大きな共同にむけて全力をあげたいと思います。そして、労働界の共同を軸に国民的共同へと発展させましょう。憲法をめぐる闘いは世紀の決戦です。9条を中心にどういう日本をつくるのかという攻勢的な構えで闘いましょう。
さて、本大会の焦点である賃上げ闘争について申し上げます。本大会方針は、すべての労働者の底上げで大幅賃上げをということであります。
日経連戦略は労働情勢を大きく変えているのです。1つは不安定労働者の急速な増大です。1つは賃金の業績主義、成績主義の広がりです。さらに失業者の増大です。この3つの攻撃は低賃金構造を拡大再生産するものとなっています。こうしたもとでの平均賃上げは労働者への波及力をきわめて弱いものにしています。すべての労働者の賃金の底上げをという闘いを最も重視して闘わない限り、大幅賃上げはありえないのです。賃金格差は数倍に広がっています。今春闘でかかげた誰でも15000円が勝ち取れれば、平均賃上げでは4〜5万円の賃上げとなるのです。こうした情況をふまえ誰でもの底上げ要求を軸に闘い、大幅賃上げをめざそうとするものです。こうした底上げ闘争は、全国一律最賃制確立への確かな道でもあります。
これは農産物の価格補償にも通じます。農業の自由化とあわせて、農村の荒廃は、農産物に価格の補償がないことであります。大企業大銀行には経営補償をし、何十兆円もつぎ込んだのに、労働者や農民・国民の生活と営業の補償はしない、ここに悪政の最大の焦点があります。
政府と財界のキーワードは国際競争力です。しかし競争にはルールがなければなりません。ルールなき競争は暴走であり、ひいては戦争になります。軍事的覇権主義と経済的覇権主義は一体であります。すでにヨーロッパを中心に規制緩和万能論、競争至上主義は破綻しつつあります。ルールある競争へとむかっています。経済的ルールの中心は生産を担う労働者・農民へのルールであります。フランス、イタリアなどでの週35時間労働制、イギリスの最賃制復活、全体としても社会保障の充実、農産物の価格補償、輸入規制で自給率は100%超えるのが先進諸国の状態であります。日本が世界の流れから孤立し、ルールなき競争の道を進むとすれば、日本経済と民族の危機を深め、自らの支配の墓穴を掘ることは必至であります。こうした立場で労働者の国際連帯活動をつよめてまいりたいと思います。
さて、自自公政権は、完全な公約違反の内閣であり、数の虚構の上になりたった内閣であります。どうとりつくろっても、選挙時の反自民ではなく自民党の悪政を助けるものであることは明白です。今、小渕内閣のすべきことは一刻も早く国会を解散し国民に信をとうことであります。総選挙では、リストラ首切り促進、戦争をする政府はもう変えるしかないという政権論が重大な焦点となることは必然であります。
自民党を中心とする政権は、憲法を変え、戦争をする国に変え、大企業大銀行は助けても国民のくらしや営業は助けない労働者の首切り支援の政府です。これを許すのか、憲法を守り戦争法発動を許さず、国民のくらしと営業を支援し雇用を守る政府をつくるかが迫られる選挙です。まさに21世紀のゆくえに直結した選挙です。全労連は政治革新の具体化として政権要求を初めてかかげて闘うものです。政党支持自由、政治活動自由の原則はいよいよ重要です。それは政治的中立ではなく政治活動を活発に行うことであることはいうまでもありません。組合役員の立候補の自由も保障するのも当然です。国会解散と憲法擁護を中心とする国民要求の総結集をめざし11月に国民的共同集会をよびかけます。
今年は全労連結成10周年を11月21日にむかえる年であります。全労連の結成は、財界の労働組合ハイジャックともいうべき右翼再編に反対して、労働者のためのナショナルセンターを私たち自身の手でつくろうとする闘いのなかから誕生しました。ナショナルセンター選択権の行使という日本労働運動史上初めてともいうべき経験でした。しかも10年前の情勢はまさに逆風でした。ソ連の崩壊を使って、資本主義万歳がさけばれている時でした。逆風の中で誕生した全労連は、10年間存在しただけではなく、結成時130万から150万に維持前進しました。労働者のためセンターが10年もの間存在した歴史は日本にはありません。しかも今、その真価を発揮するにふさわしい順風ともいえる情勢をむかえています。全労連の真価とは何か、今果たすべき役割は何か、本大会は10万人オルグ運動と結合して10万人規模の学習運動を提唱していますが、21世紀を展望しながら全労連の真価をみんなのものにして前進しましょう。また10年の全労連の足跡はもはや政府も無視することはできません。中労委をはじめ政府に対しても直接意見をいい、現実を動かす全労連になる瞬間にあると確信します。また10周年を記念し全労連会館を建設し、私たちの到達点とゆるぎない展望を示そうではありませんか。
すべての労働者の団結の母体全労連の存在と労働者の中に起こっている変化は、憲法をはじめとする大きな共同、そして壮大な労働戦線の統一にむかう条件を整えつつあると確信します。この10年の歩みの上にたって、史上最悪ともいえる政府財界の横暴きわまりない攻撃に対し、強大な共同そして労働戦線の壮大な統一という最も決定的な回答を出そうではありませんか。
全労連の真価は、すべての労働者の共同、団結、統一であります。かさねて大同団結をよびかけ大会のあいさつとします。
以 上